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一.衛姫のお願い 3


玄武

『 そうなった未熟な術者は破門される。

  破門された術者が集まると──……これ以上は耳汚しになるか。

  稀にだが、術者に従わない〈 式(しき)神(がみ) 〉も居(い)るという事だ 』


衛姫

「( …………その先が気になるけど…今は聞かないでおくわ。

   ──ねえ、心臓と魂を使わないで、足りない〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を補う方法はないの??」


玄武

『 断念するか? 』


衛姫

「( しません!

   別の方法を聞いてるの。

   人の心臓や魂なんて、どうやって集めればいいの?

   か弱い女の子に無茶な注文しないで )」


玄武

『 注文はしてない。

  他の方法も無い 』


衛姫

「( …………そんは筈ないわ。

   玄(げん)武(ぶ)が知らないだけかも知れないじゃない? )」


玄武

『 それはない 』


衛姫

「( ……………………あっ!

   〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を持っていて困っている人も居(い)るわよね?

   術者には誰でもなれるわけじゃないみたいだし。

   〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を持っている人の中には〝 自分から〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉が無くなって欲しい 〟って思っている人も居(い)ると思うの。

   ──ううん、絶対に居るわ!

   その人達の〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を上手く使う方法はない?

   玄(げん)武(ぶ)は私の〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を変換して使うのよね?

   要らない人達の〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を私の方に流れて来(く)る様(よう)にするとか…。

   その〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を使ったらどうかしら?

   名案じゃない?

   佛(ぶっ)性(しょう)──だったかしら?

   ええと……〝 人間は誰でも〈 神(かみ)佛(ほとけ) 〉の霊能を観(かん)受(じゅ)、観(かん)応(おう)する性(せい)能(のう)を生まれながらにして持っている 〟って言ったわよね?

   性(せい)能(のう)を止(と)めたり、絶ったり、無くしたり……出来ないの? )」


玄武

『 なかなか良(い)い所を付いて来たな。

  無理だが 』


衛姫

「( また〝 無理 〟なの?

   どうして?

   調達するのも無理って言うし…… )」


玄武

『 可能ではあるが、不可能に近いのだ。

  佛(ぶっ)性(しょう)を止(と)めたり、絶ったり、無くしたりは出来ない。

  人間自身にも〈 式(しき)神(がみ) 〉にもだ。

  〈 神(かみ)佛(ほとけ) 〉がされておられる事を〈 神(かみ)佛(ほとけ) 〉に生かされている立場の者が、どうこう出来るものではない。

  仮にだが… 〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を要らない者から衛(えい)姫(ひめ)へ流れる様(よう)に出来たとしてもだ、衛(えい)姫(ひめ)の身体(からだ)が持たない。

  健康体の者でも、他(よ)所(そ)から流れ込んで来(く)る〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉の量に身体(からだ)が耐えられないからな 』


衛姫

「( ……私…死んじゃう? )」


玄武

『 寝たきりになるだろうが、死にはしない。

  ワタシが居(い)るからな 』


衛姫

「( 寝たきりって……。

   一生?

   寿命が来(く)るまで?? )」


玄武

『 そうだな。

  ……ああ、寝たきりになるのは健康な人間の方か。

  衛(えい)姫(ひめ)は病弱だからな……植物人間になるか 』


衛姫

「( ……植物人間?? )」


玄武

『 そうだ。

  生きているのか、死んでいるのか…見る側には判(わか)り難(にく)いが、死んではいない状態だな。

  ワタシが守(ま)護(も)るし、話し相手にもなる。

  植物人間になったとしても安心していい 』


衛姫

「( …………植物人間にはなりたくないわ。

   勿論、寝たきり生活も嫌(いや)だわ……。

   他人の〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉の流れを変える事は出来ないのね…… )」


玄武

『 人間の身体(からだ)に負担が掛かるからな。

  まあ、流れを変える自体が不可能だ。

  良(よ)かったな 』


衛姫

「( …………喜んでいいのかしら??

   ……〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を調達するのって難しいのね… )」


玄武

『 そうだな 』


衛姫

「( ……………………本当に〝 心臓 〟と〝 魂 〟を用意するしかないの?

   〈 霊(れい)能(のう)力(りょく) 〉を補う為に……誰かを殺めるしか…… )」


玄武

『 ワタシの実体化を諦めれば済む事だ 』


衛姫

「( ──それは嫌(いや)なの!!

   玄(げん)武(ぶ)には実体化してもらいたい。

   私の見えている姿で実体化してもらいたいの!!

   私は諦めないわよ )」


玄武

『 そうか… 』


衛姫

「( 一寸(ちょっと)!

   顔を隠しても笑ってるのがまる分かりよ!! )」


玄武

『 そうか? 』


衛姫

「( もう〜!

   私は諦めないんだから! )」


玄武

『 いい方法を見付けられるといいな 』


衛姫

「( ………………思ってないでしょ〜〜〜 )」


玄武

『 そんな事はない。

  楽しみにしている 』


衛姫

「( 本当かしら? )」


玄武

『 衛(えい)姫(ひめ)、外出してみるか? 』


衛姫

「( え? )」


玄武

『 ≪ 京の都 ≫を上から眺める空の散歩だ 』


衛姫

「( そんな事…出来るの?? )」


玄武

『 それぐらいは簡単だ。

  ワタシは並みの〈 式(しき)神(がみ) 〉ではないからな 』


衛姫

「( したい!

   空の散歩したいわ。

  玄(げん)武(ぶ)、お願い!

   ──あっ、でも…私が此(こ)処(こ)(部屋)に居(い)ないと騒ぎになってしまうわ。

   …どうするの? )」


玄武

『 心配ない。

  〈 十(じゅう)二(に)支(し) 〉に衛(えい)姫(ひめ)の身代りをさせるからな 』


衛姫

「( そんな事も出来るの?

   今までしてくれなかったわよね )」


玄武

『 そうだな 』


衛姫

「( どうして急に『 外出しよう 』なんて…… )」


玄武

『 たまにはいいだろう?

  気分転換だ 』


衛姫

「( …………まあ、いいわ。

   ねえ、空の散歩は今日(きょう)? )」


玄武

『 明(あ)日(す)だな。

  今日(きょう)はもう日が暮れるからな 』


衛姫

「( うん…明日(あした)が楽しみ。

   玄(げん)武(ぶ)、明日(あした)…宜しくね)」


玄武

『 任せておけ 』


衛姫

「( ふふっ… )」

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