第九話
一年後。
新たな冬がやって来た。
空は厚い雲に覆われ、今は止んでいるが町には雪が積もっている。
そして、湖はまた凍った。
町で一番高い場所にいたから、きっと見つけたのも一番だった。
迷いなく、走った。
姉達に怒られたり、偉い人に驚かれたり、兵士さんに止められそうになったりした。
でも走った。
体は止まってくれないし、なぜか息も辛くなかった。
町を出る。
門の外には一面の銀世界が広がっていた。
だけど遠くに、一つだけ動いているものがある。
それに向かってひたすら走った。
遠くにいた人がこっちに気づいた。
走ってくる。
こっちも走る。
だんだん近づいて、思わず涙が出そうになって、結局我慢できなくて、泣きながら走った。
――会えた。また会えた!!
走り寄ってその人に思いっきり抱きついた。
その人は思いっきり抱き締めてくれた。
「会いたかった、会いたかった!!
ずっと、ずっと待ってました!!
ずっと、信じて待ってました!!」
「私も会いたかった! 本当に会いたかった!!
必ず会えると信じていました!!」
シルバとスノーは抱き締め合った。
声を上げて泣きながら、何度も互いの名前を呼び合った。
「もう離しませんから! もう二度と! 一人で行かせたりしませんから!!」
「約束します! これから先、ずっとあなたを! あなたの側で守り続けます!!」
シルバとスノーはお互いを決して離そうとはしなかった。
今、二人はやっと自分を傷付けてまで守り抜いた、本当に大切なものを取り戻した。
その日、草木の生えない雪原に、
二輪の笑顔の花が咲いた。