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ゾンビ島  作者: tomita
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中井海斗

・・・まったく。

何であいつらに会わないようにしてるのに同じ場所で寝起きせねばならんのだ。

見つかったりしたらどうするんだよ。

「なぁ、少し聞きたいことがあるんだが・・いいか?」

たった今俺の目の前にいるのは中丸進。聞く限りでは、どうやら米軍のお偉いさんだとか。

「なんですか?」

「うむ・・・では、いきなり単刀直入に聞くが・・・なぜあんなにすんなり帰ってきてくれ

たのだ?感染しているなら、そんなにすんなり帰ろうとしないのではないか?」

なんだ。そのことか。

なんかやけにまじめな顔で聞いてくるからよっぽど重要なことなのかと思った。

「・・・もともとそのつもりだったんだよ。あんたらがくることは予想していたからな。」

俺がそういい終わると中丸さんの顔が怒りでいっぱいになった。

「予想していただと!?ふざけるな!!お前、あの子がどんなに悲しんだか分かってるのか

!?一緒に帰れると思っていた奴が最後の最後で感染したなんて言われてお前をあの場所に

置いていかなくてはいけなくなったあの子の気持ちが・・苦しみがお前は!分かるのか!?」

中丸さんの言葉が次々とじぶんに刺さる。

分からないのではない。俺は・・・何だ?俺は一体どうしてわからないんだ?

・・・・あぁ、そうか。考えてみれば簡単なことだった。そう。俺は恐れているのだ。

鈴木さんの気持ちを・・・・。

「・・・考えてみろ。確かにそんな別れ方とてもつらいだろう。だがな、俺は今でこそ普通

でいられているが、いつ暴走するか分からない。もし、一緒に帰ってきて街中で俺が暴走

してしまったらどうなる?たとえ俺が殺されてもあいつはそこで同じ悲しむ。それに、

もし人が死んでみろ。周りから鈴木さんに対するいじめなどもあっておかしくない。

「こいつのせいで人が死んだ。」「こいつが帰ってこなければこうならなかった。」

「こいつも死ねばいい。」どうせ馬鹿な人間はそういうだろう。

お前はそれでいいと思うか?それに、そんなことは絶対ない。なんていいきれるか?

無理だろうな。俺は嫌なんだよ。それが。鈴木さんは真っ直ぐなまま生きてほしい。

俺はもう遅いけど・・・・あいつを見守ってやるくらいならできる・・・・から。」

俺が言ったことに最初のほうは否定するようなそぶりをしていたが、後からはなにやら

真剣な顔で聞いていた。

「・・・・・すまない。そこまで考えているとは思っていなかった。」

「いや、いいんですよ。僕も言い方が悪かったようですね。」

もう気づいていた。話し方が変わった(というか戻った)のもあるが、

自分の中でじわじわと地道に進んでいる感染のことに。

「あれ?僕?さっきまで俺じゃなかったけ?」

と中丸さんが首をかしげている。

「あぁ、僕は元々自分のことは僕って言ってたんですよ。

だけどあの生活の中で気づいたらそうなってました。」

「ははは、まぁ、そうだろうな。」

中丸さんと僕が二人一緒に吹き出した直後

ガチャッ

とドアが開いた。

「「あ。」」

「え!?」



                   次話へ続く!!


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