次の日
鳥のさえずりが聞こえる。
午前6時。外で自衛隊が訓練してる声がする。
「・・・・はぁ・・」
「どうした?ため息なんかついて・・・」
「分かってるでしょ?」
話しかけてきた彼は少しうつむき黙った後、
「そうだな・・・なんだか寂しいな・・・・あいつがいないってだけで・・・・」
そうつぶやいた。
「うん。何でだろう・・・他にもたくさん死んだのに中井君がいないだけですごく寂しい。」
「それはそうだろう。あんな別れ方だしそれに、鈴木さん、君が中井君のことを好きだからだ。」
しばらくの沈黙の後
「べ、別にショックなんか受けてないからな!?」
「ふ~ん・・・受けてるんだぁ・・・」
私が少しからかうと彼は顔を真っ赤にして否定した。
「な、受けてねぇって!」
「いいっていいって。」
彼は自分の都合がわるくなるとそそくさと逃げていった。
まったく・・分かりやすいんだから。
「どうやら、精神的に余裕は出来てきたようだな。」
「中丸さん・・・・」
彼と入れ替わりで入ってきたのは昨日私達を助けてくれた?人だ。
「少し、心配で見に来てみたが、君は大丈夫なようだ。ただ、弥生さんがかなり危ないな。」
「どうかしたんですか?」
「それが、彼女、最後の戦いのとき噛まれたようなんだ。」
「!!」
絶句した。まさか、弥生ちゃんが・・・・
「まぁ、大丈夫だろう。少し、特別な人が治療してくれてる。」
「そ、そうですか。で、その特別な人とは?」
「ゾンビのことに関して、かなり詳しい人だ。」
「その人に逢えますか?」
「いや無理だ。」
「何故ですか?」
「いや・・・それは・・・秘密だ。」
「?」
なぜかは分からなかったがとりあえず、そのことを考えるのはやめよう。
とりあえず今は弥生ちゃんの無事を祈るばかりだった。
「おい、聞いたか!?弥生が・・・」
「うん今聞いた。」
「そうか・・・大丈夫かなぁ・・・・。」
「大丈夫だよきっと。何かすごい人が見てくれてるらしいから。」
「そうだな。」
・・・・・・・本当に誰なんだろう。特別な人って。
ゾンビに詳しいってことはゾンビを作った奴らの誰かかな。
でも、だったら分かるはずだし・・・・・。
もしかして・・・・いや、なわけないか。
「もう大丈夫だよ。幸い全身にウイルスが回ってなかったからな。」
「そうか。すまんな。」
「いやいや。友達が苦しんでるのに見捨てるわけにはいかないだろ?」
彼がそういうと中丸は苦笑した。
「お前らしいな。お前は昔から変わっとらん。」
「そうか?」
「あぁ。そうだ。」
彼は苦笑いを浮かべると、何もない空間を見つめてつぶやいた。
「でも、きっと、まだ戦いがおわったわけじゃないんだ。だから、彼らにはもう少しの間がんばってほしい。まぁとりあえずは終わったから彼らを頼んだよ?疲れてるだろうからしっかりやすませてやれよ。」
「分かってるさ。」
彼と中丸は二人そろって笑った。
次話へ続く!!