夜の出来事
「・・・・・そうか・・・やっぱり中井君は死んだのか・・・それはつらかったろうな・・。」
今私達はさっきの人にいろいろと今までのことを話していた。
「はい・・・」
「?ちょっと待って下さい。やっぱりって?」
「ん?あぁ・・・・実はな、うちに中井君からヘリをだしてこっちにいる皆を救出してほしいと無線で連絡があったときに彼に「きみは?」と聞いてみたら彼はこう言ったんだ。
「俺は・・・・感染してる。だから無理だ。それより皆だ。現在、28人ぐらいいる。全員が
脱出できるよう頼む。」とな。私はそれを聞いて感動した。彼も一緒にヘリに乗せてつれて帰
りたかった・・・・。だが彼はそれを否定して君達の命を優先したんだ。」
「そんな・・・あいつ最初から知ってて僕達を守ってくれたのか・・・」
「自分の命を捨ててまで・・・・もしかしたらまだ助かったかもしれないのに・・・」
「うぅ・・・・」
「すまない。私は彼を助けられなかった・・・・本当にすまない・・。」
「・・・何でよ!!」
「「!?」」
「まだ助かったはずじゃない!!なのに・・・なのにそれを・・・彼を助けられなくて今更
すまないなんて・・・もう・・・もう遅いよ!!・・・皆で・・・皆でここから出ようって
ひっぐ・・やぐぞぐじたのにぃ・・・やっと脱出できるって時にひっぐ・・・感染してるな
んてぇ信じられないぃ!うわあああああああっ!!」
そのとき私は気づいたらそんなことを言って大声で泣き叫んでいた。
隣に座っていた人が慰めてくれていた。
気づかないわけがなかったけどやっぱり皆静かに泣いていた。
「―――・・・すみません」
「いやいいよ。きっと彼女のほうがショックが大きかったんだろう。」
「そうですね・・・多分鈴木さんは中井のことが好きだったんだと思います。だから精神的な
ダメージもとてつもなかったのでしょうね・・・。」
「そうだろうな。」
―――現時刻12:00。
「いいか?あの島へヘリを飛ばして、中井君、もしもいたらだが生存者をここへ連れて来い。
分かっていると思うが、どんな奴がいるか分からん。注意しろよ。」
「はい。行って参ります。」
「うむ。気を付けろよ。」
ババババババババババババ・・・
ヘリが行った。私に出来ることといえばこのぐらいだろう。あとは中井君が潔く来てくれるか
だ・・・。まぁ、気長にヘリの帰りを待つとするか。
―――ヘリ―――
「・・・大丈夫かなぁ・・」
「あぁ・・・・その中井って奴がもし完全なゾンビと化してたらつれて帰ることできないじゃ
ないか。」
皆が頷いた。しかし一人だけは違った。
「そのことだがご安心を。」
念のためにと同行している科学者の一人だ。
「中井君が完全なゾンビになっていてもつれて帰りますよ?」
「は?何言ってんだ?」
「もしかしたら、今の科学技術なら直せるかもしれないのでとりあえずつれて帰るんです。」
「そうか!もし直ればあの子たち絶対喜ぶな!!」
「しかし・・・・」
一人が何か言いかけた。
「しかし、なんだ?」
少しの間、間をおくと彼は小さく呟いた。
「直らなければもしかしたら殺すことになるかもしれない。」
その言葉を聞いて皆は黙り込んだ。
「まぁ、まだ決まった訳じゃないけどね。」
「そ、そうだよな!!まだ決まった訳じゃないからな!」
「そうだな!」
「とにかく彼・・・中井君を捜すんだ。」
「おし、二人ずつで別れて捜すんだ!」
「はい!」
皆それぞれで二人ずつで別れて散ろうとしたがやめた。
「ん?どうしたんだ?」
「しっ・・・静かにしてください。何かいます。」
「何か?」
ザァァァァ・・・・
風の音、カラスの鳴き声、そしてその中にかすかに別の音が混ざっている。
「ゾンビか?」
「分かりませんとにかく離れないでください。決して散ってはいけませんよ。」
「分かった」
ガサガサッ
「!!」
音がした。全員そちらへ銃を向ける。
「何だ?」
「知らんが警戒を怠るな!」
「うん。絶対怠るなよ?じゃないと、死ぬからね?」
「!?」
「な、何者だ!?」
「いつの間に・・・・って君は!!」
後ろに気づいたら立っていたのは今回のミッションで捜せと言われていた中井君だった。
一体いつの間に・・・かなり警戒していたにもかかわらず難なく俺達の後ろに立つなんて・・・。
皆も同じことを考えているらしい。顔で分かる。
「やだなぁ、そんなに警戒しないでいいですよ。それより、何故自衛隊がここに?まぁ大体予想はついていますけどね。」
「多分君の予想は当たってると思うよ。にしても、何故感染してるのにそんなに余裕そうなんだ?それになぜ普通のゾンビみたいに暴走しないんだ?」
「・・・・知らない。まぁとりあえず、さっさと用を済ませようか。」
そういって彼は妙に急いでヘリに乗り込んだ。
「え?もしかして一緒に帰ってくれるのか?」
「それ以外何がある?それより早く乗れ。」
「あ、あぁ・・・」
俺達がヘリの方に歩いていくと
「遅い!!急げ!!早く乗り込むんだ!!」
「?・・・分かった・・・・」
俺達はどうなってるのかわからずに急いでヘリに乗り込んだ。
「間に合ったか・・・?」
「な、なんだよ?間に合うって・・・」
ドガーーーーンッ
「!?」
「ちっ間に合わなかったか・・・」
いきなりの出来事だったからすぐには分からなかったが少ししたらやっと状態が?みこめた。横で一緒に飛び立とうとしていたヘリが突如爆発したのだ。
「何だ!?一体何が起こってるんだ!?」
「何をしている!!早く上昇してこの島から離れるんだ!!」
中井君がそう怒鳴ると同時にヘリが上昇した。
「!!なんだ!?」
「どうした!?」
一人の隊員が急に叫んだ。
「石だ!でっけぇ石が飛んできてる!!」
「何だと!」
「くっ」
「な、中井君!?」
いきなり中井君が立ち上がり、外に飛び出したのだ。
そしてこっちめがけて飛んできている石をパンチで砕いた。
「すげぇ!」
「それより中井君おちるぞ!!」
「いや大丈夫だ落ちてない」
「!!」
中井君は何もなかったように椅子に座っていた
「本当にすげぇな・・・」
「にしても、あれは何だったんだ?」
「・・・・あの島にはただのゾンビだけじゃなく少し特殊なゾンビもいるんだ。おそらく、あれもそいつらの仕業だろう。」
「・・・・・」
「すまないな、もっと早く伝えていれば・・・・」
「いや、いいさ。こういうのには犠牲はつき物だ。」
「そうか・・・あ、それよりもあっちに帰ってもあいつらには内緒にしといてくれよ。」
「何故だ?」
「それは秘密だ。とにかく、頼むぞ。」
「あ、あぁ・・・・。」
なぜかは分からなかったがとりあえずそうすることにした。
「さぁ、ヘリポートが見えたぞ」
「おぉ・・・やっとか・・・」
ヘリはヘリポートの中心に降りた。
「おぉ!帰ってきたか!」
「はい。ただいま帰りました。」
「で、君が中井君だね?」
「あぁ。そうだ。」
あれ?いきなり口が悪くなったような・・・きのせいか?
なんて思いながら二人の後に続いた。
「ほらここから完全な日本だよ。」
「・・・・帰れた・・・のか・・・」
「そうだ。おかえり。」
「・・・・・」
「どうした?」
「帰ったぞーーーーーーー!!」
「うぉ!?」
びっくりした。いきなり叫びだしてどうしたんだ?
・・・いや、当たり前か・・・あれ?
「大声出して大丈夫なのか?」
「・・・・・そうだった・・・」
その場にいた皆が漫画のようにずっこけた。
「やれやれ・・・なんだそりゃ。」
「まぁ、すんなり帰ってきてくれてよかったよ」
「そうですね。」
次話へ続く!!