帰国
島が離れていく。
やっと脱出できたのに皆元気がない。
理由はいうまでもない。中井君がいないから。他にもたくさん死んだけど中井君がいないとい
うショックのほうが大きかったのだ。
「・・・み、皆、げんきだせよ!中井以外にもたくさん死んだじゃないか。なにも中井ひとり
でそんなに落ち込むことじゃねぇよ。」
「うるせぇ!おまえなぁわかってねぇな、確かに今までたくさん犠牲が出た!だけど海斗は
ちげぇだろうが。あいつは俺達を守るために・・・無事にあの島から脱出させるために死んで
いったんだぞ!?なのに・・・なのにお前はぁ!・・・・うぅ・・」
「そうよ!全然分かってないじゃない!」
「いっそお前もあそこで死ねばよかったのに。」
「そ、そんな・・」
「よしお前ヘリから降りろ!」
「そうだそうだ!」
「降りろ!飛び降りてしまえ!!」
「やめて!!」
「!?」
「あ・・・」
さっきまでうるさかったヘリの中がいっきに静かになった。
「なにしてんのよあんたら。こんな所でその子を落としたら中井君の死が無駄になるじゃない
!!」
「そ、そうか・・・」
「ごめん鈴木さん・・・」
しばらく静かになったあといきなりだれかが叫んだ。
「陸地だ!」
皆が一斉に彼が指差す方向を見た。
そこに見えたのは
「ほんとだ!ヘリポートがある!!」
ヘリはゆっくりとヘリポートの中心に着陸した。
ガラッとドアが開いて目の前には誰かが立っていた。
「ほらほら、ヘリから降りて。」
その人は外見に似合わず優しそうだった。
「は、はい・・」
「よし、では改めて、本物の日本へおかえり!」
その人がそう叫ぶと周りにいた人たちも同じようにおかえり!と叫んだ。
「え・・」
「うーむ・・16人かだいぶ減ったな・・・・ん?おかしいな。中井海斗君はどうした?」
その言葉で皆また暗い表情に戻った。
「・・・やべ・・・す、すまん余計なことを聞いてしまった。」
「いえ、大丈夫です。」
「そ、そうか・・・すまんな。じゃ、じゃぁとりあえず建物の中に入ってくれ。あ、あと、
武器はそこの二人のどちらかに渡してくれ。」
「はい・・・。」
こうして今までの地獄の戦争は終末を迎えたのだった。
もしかしたら次話へ続く!!