帰還
「皆は体育館にいるよ」
体育館の扉を開けて中に入る。
中は静かだ。
「おーい、帰ってきたよー?」
「中井?」
「あぁ、まぁ一応。」
電気がいきなりついたかと思うと誰かが飛びついてきた。
「やっと帰ってきた!どこいってたのよ!」
「弥生か・・・・」
「なぁ、本当にどこ行ってたんだ?」
「・・・・・・俺が実験台として捕まってたとこ。」
「「!!」」
「そこで、隠れていたあの実験者どもを皆殺しにした。それだけ・・・・」
「・・・・」
そういや鈴木さんがいないな。
「じゃ、ちょっと鈴木さんにあってくるよ。」
廊下を歩いていく外はいつの間にか雨がふっている。
鈴木と書かれた扉を開けて中に入る。
どうでもいいことだけど夜に勝手に女子の部屋に入るって怪しいだろ。
部屋の奥でかすかに寝息が聞こえる。
寝ているか。彼女の近くに行き、すぐそばにかがむ。
「えーと・・・寝ているから聞こえないかもしんないけど今帰ったから。あと、もしかしたらもうすぐ皆助かるかもしれないから。安心してくれ。・・・・・でも、そのときはさよならだ。」
ドアが閉まった。
ゆっくり起き上がるとさっきの言葉の意味を考える。
(助けがもうすぐ来るでもそのときにはさよならだってどういうこと?助けがもうすぐ来るのはうれしいけどそのときはさよならって・・・)
その瞬間またあの言葉が頭をよぎった。
(感染・・・・そうだとしたら、私と中井君どっちなんだろう。でも彼は安心してくれといっていた・・ということは感染してるのは・・・・ってそんなわけないでしょ。なにかんがえてるのよ。)
立ち上がり窓のそばに来て外を眺めた。
「私、やっぱりいつのまにか中井君を好きになってたんだなぁ・・・。」
町は、もうかわりはてていた。
「おはよーっ」
「あ、おはよー」
皆も、もういつものように元気になった。この世界が感染者に支配されているということもまるで忘れてしまったかのように普通の日常が一日一日過ぎていく。
でも、この日常ももうすぐ終わる。
救助がくるからだ。できるだけ一人も死なずに帰してあげたい。
12話に続く!!(^o^)/