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夏とアイスドール  作者: 高崎菜優多
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10/17

僕らの運命(さだめ)

週末、二人で杉原のお姉さんの家へと向かった。

その時、杉原はそれなりに育ちがよいことを知った。

お姉さんは驚いたように僕を見ていた。

杉原が友達を家に連れてくることはほとんどないそうだ。


「うわぁ、ちっちぇ~」


杉原は赤ん坊を見てうっとりとしていた。

僕はお姉さんに聞いた。

やはり兄弟は似ているものだ。

ふわりと笑う顔がとても似ている。


「お名前はなんて言うんですか」

「秋(あき)って書いて、『しゅう』ってゆうの。」

「秋ちゃん、可愛らしいですね。」

「うち、みんな季節の名前だから。私の名前も冬香だし。」


赤ん坊と遊んでいる杉原に目をやって、幸せそうにわらっていた。


「夏来って学校でもあんな?」

「え?」

「夏来ね、中学校までずっと学校嫌がってたんだけど」


お姉さんは信じられないとばかりこちらを見ていた。

僕も信じられなかった。

杉原はいつも、明るくて社交的だから。


「星司!見ろよ!めちゃくちゃ可愛いよ!」


杉原に呼ばれて僕は赤ん坊のそばによる。

手足が短くてぷにぷにできゃあきゃあと笑っている。


「人見知りしないんだな」

「それな!姉ちゃんに似たんだな!」


僕は、赤ん坊をみる杉原に見とれていた。

いつもに増して優しい顔だった。

きっと杉原が父親になったら、すごい優しい子になるんだろうなって思った。

料理上手で社交的で、優しくて。

この人と家族になったらきっと楽しい。

辛いこともきっと一緒に共有してくれて、それから家族の時間を誰よりも大切にしてくれそうだ。

そんなところが僕の気持ちを大きくさせた。

あぁ、僕は杉原が好きなんだと。

この表情が僕は一番好きなんだと。


「俺も子供欲しいな~!可愛い!!」


はしゃぐ杉原をよそに、僕は一瞬びくりとした。


「星司?」


そして、杉原に呼ばれて気づいたんだ。

僕は急に現実に引き戻された。

それから虚無感が僕を襲った。


(そうだ僕には・・・・無理なんだ)


気がついてしまった。

僕には、彼を幸せにすることができないことを。

僕は、僕が好きだと思った表情(かお)をさせてあげられないことを。


(どんなに頑張っても、僕には無理だ)


君に家族を作ってあげれないんだ。

なんでこんなに虚しいんだろう。

なんでこんなに苦しいんだろう。


「星司?大丈夫?どうした!?」


杉原が僕に近寄った。

その優しさが胸にしみた。


「大丈夫。」

「大丈夫じゃないだろ?俺に話せる?」

「本当に大丈夫だから」

「無理するなよ?」


僕は杉原に思いっきり抱きついた。

好きだと気づいてから僕らの運命を突きつけられた。






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