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オペレーション:ネメシス  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †動乱† ――政府首都グリードシティ――
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第12話 総力戦

 ビリオン=レナトゥス。民間企業にして世界最大の軍事企業。いくつもの大企業を吸収・合併して生まれた組織。ヒライルーという1人の若い女性がそのトップに君臨し、事実上の独裁国家のような組織でもある。

 ヒライルーに率いられたビリオン=レナトゥスは、世界大戦にも深く関わり、大戦の随所で姿を現し、その状況をかき乱す。

 かつては連合政府に所属していたが、同政府が衰退するとあっさりと見限り、分離・独立を果たした。その名残か、彼女らビリオン=レナトゥスは無数の連合政府軍用兵器を所有している。


「――では、首都中に現れた連合軍も……」

「ええ、恐らくはビリオン=レナトゥスの兵団よ」


 クェリアはビリオン=レナトゥスと手を結び、無数の軍用兵器や魔物をグリードシティに解き放った。国際政府の軍民と私たちクリスター政府特殊軍を滅ぼすために。

 ビリオン=レナトゥスの狙いはクリスター政府の勢力拡大に歯止めをかけることだ。この首都に攻め込んだクリスター政府特殊軍一般部隊は40万人。60万人中、40万人がこの首都にいる。私たちが全員死ねば……


「うわあぁっ!」

「やだぁっ!」

「強すぎる……!」


 5体のデストロイ・フィルド=トルーパーは、レーザー光線を次々と飛ばし、辺りを破壊し、火の海へと変えていく。レーザーが着弾すると同時に轟音が鳴り、地面が砕け、真っ赤な炎が舞い上がる。数人のクローン兵が吹き飛ばされる。


「クリスター政府特殊軍一般部隊長官ソフィアをロック・オン。破壊する……」

「…………!? ソフィア将軍、逃げてくだっ――」


 マシンガンでデストロイ・フィルド=トルーパーと戦っていたコハクが叫ぶ。そのデストロイ・フィルド=トルーパーは目にも留まらぬ勢いでコハクの脇腹を殴りつけると、私の方に向かって走ってくる。進路方向にいるクローン兵を殴り飛ばす。


「させるな!」

「ソフィア将軍をお守りするんだ!」

「デストロイ・フィルド=トルーパーを破壊しろ!」


 数十人ものクローン兵がデストロイ・フィルド=トルーパーに向かっていく。彼女たちはアサルトライフルや魔法で走ってくるデストロイ・フィルド=トルーパーに攻撃を浴びせる。だが、デストロイ・フィルド=トルーパーは少し怯むだけで致命傷には至らない。

 その内、1人のクローン兵が剣でデストロイ・フィルド=トルーパーの左胸を貫こうとする。だが、剣は少し刺さっただけだった。


「なっ!?」


 デストロイ・フィルド=トルーパーはレーザー光線でそのクローン兵の身体を撃ち抜く。レーザーは彼女の身体を貫き、近くの建物に着弾して爆発を起こす。


「普通の身体じゃない!」

「ど、どうすれば……」


 クローン兵たちの間に動揺が走る。デストロイ・フィルド=トルーパーは当然、普通に作られたクローン兵じゃない。彼女たちは遺伝子を高度に組み替えられ、その身体の中には機械が相当なレベルで入っている。脳にもメスを入れられ、思考回路は人間のそれとは異なっている。――まさに、生体機械兵器!


「いやあぁあッ!」

「逃げてぇ!」

「…………!」


 別のデストロイ・フィルド=トルーパーがレーザーを飛ばし、混乱の極みに陥っているクリスター政府軍に浴びせていく。何度もお腹に響く爆音が起こる。……たった5体のデストロイ・フィルド=トルーパーによって、戦況が引っくり返されている。


「破壊せよ」

「攻撃せよ」


 感情のない声。デストロイ・フィルド=トルーパーたちは歩きながら、手のひらからレーザーを飛ばす。その度に爆音と悲鳴が上がる。黒いアイ・ガードで覆われたデストロイ・フィルド=トルーパーの瞳。そこには、何の感情もない。


「もういやぁ!」

「ここから出してぇ!」

「死にたくないよ!」


 私は泣き叫ぶクローン兵たちの声を耳にしながら、動乱の戦場を走り続ける。すぐ近くに暗雲の発生装置があるハズだ。それさえ壊せば、グリードシティから撤退できる。


「ソフィア将軍――!」

「…………! アルマンディン!」


 微かに聞こえた私を呼ぶ声。目を向ければ、建物と建物の間にアルマンディン少将がいた。彼女の脇腹からは血が流れていた。


「アルマンディン、大丈夫!?」

「わ、私は大丈夫ですっ……! そ、それよりも、この先にコマンダー・ライカがっ!」

「コマンダー・ライカ……!?」


 そう言えば、戦いの途中でコマンダー・ライカの姿がなくなっていた。唯一残っている再生したクローン将官。その彼女が……

 私はアルマンディンと共に路地の奥へと走って行く。狭く複雑に入り組んだ路地を進んだ先には、小さな扉があった。その上には看板まである。――カフェ・ドリーム。

 私はその扉を開け、店の中へと入る。そこはカフェじゃなかった。最新鋭のコンピューター機械が並ぶ広い空間だった。その部屋の中心には、円柱状のエネルギー波に囲まれた大きな黒いクリスタルが浮かんでいた。


「もしかして、アレが暗雲を発生させているクリスタル……!」

「お、恐らくは……!」


 よく見ると、部屋には数人のクローン兵が倒れている。クリスター政府のクローン兵とコマンダー・ライカだ。

 そのとき、入ってきた扉とその周りの壁がいきなり吹き飛び、炎と瓦礫が飛び込んでくる。いや、それと一緒に数人のクローン兵まで……


「ま、まさか……!」


 扉があった場所の先は、炎の海だった。3つの大きな黒い影がこっちに向かって歩いて来ている。――デストロイ・フィルド=トルーパーだ。

 チラリと天井を見れば、監視カメラが私たちを捉えていた。あのデストロイ・フィルド=トルーパーたちは、クリスタルを守る為に戻って来たに違いない。


「……悪いけど、あのクリスタルは壊させて貰うわ」


 私は白い破壊魔法を剣に纏うと、デストロイ・フィルド=トルーパーたちに背を向け、クリスタルに向かって走り出す。デストロイ・フィルド=トルーパーたちも走り出し、私を追って来る。

 あんなに大きな体なのに、デストロイ・フィルド=トルーパーは早い。あっという間に追いつかれそうになる。だが、そのとき、デストロイ・フィルド=トルーパーたちは後ろから押し倒される。


「行かせない!」

「ソフィア将軍、クリスタルを破壊してください!」

「デストロイ・フィルド=トルーパーは私たちが止めておきます!」


 3体のデストロイ・フィルド=トルーパーを止めたのは、ルビー、サファイア、コハク、ヒスイ、ヘキギョク、タンザナイト。6人の戦闘系クローン准将たち!

 私は彼女たちに頷き返し、そこからクリスタルに向かって飛ぶ。そして、白い衝撃波を纏った剣を振り上げ、勢いよく邪悪なクリスタルに向かって剣を振り降ろした――!

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