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出会いという言葉の持つ引力魔力

 合同コンパ。なんなる甘美な響きであろうか。合コン。合コンである。健康な独身男性である私にとって、その言葉全てが余すことなく瑞々しい果実と言える。肩を並べる言葉としては給料日くらいしか思いつかない。いつかだかと待ち望む、という意味では勝るとも劣らない。合コンと言う言葉はそれほどの引力をはらむのである。


 コンパの歴史を紐解いてみる。明治期に学生や書生が同じ寮、クラスで肩を並べる人たちと、互いに親睦を深めるために酒の席をともにする習慣が生まれたそうで、その事に端を発するらしい。つまり、合コンとはコンパを異なるグループで一緒に行う、ということになる。野球部とサッカー部で交流を深める、なんてことが行われるわけだ。

 しかし。現代的には「男女の出会いの場」と言う意味合いのほうが強い。男性グループと女性グループで同じ席を囲み、出会い、交流を深める。今日もどこかで男女が出会い、話に花が咲き、酒を酌み交わし、親睦を深めているのだろう。

 合コンといえば学生や社会人のものだと思われがちだが、よわいを重ねてもコンパはあるのだ。ただ名前が芋煮会に変わるだけである。


 最後に合コンをしたのはいつだったであろうか。

 最後といえば、大宮・高島・笹山と飲んだ、あれも含まれるのだろうか。少なくとも私は合コンとは思っていない。以前にも書いたが、あれは三人と一人の飲み会であり、結末に至っては賛嘆さんたんたる破壊の女神様ご光臨、としか言いようがない唾棄だきすべきものである。封印された記憶を思い起こすのは出来れば避けたいところであるし、歴史の闇に葬り去りたい出来事だ。


 その前はいつか、と思い出してみる。

 そういえば貧乏神こと塚田に連れられていった、社会人コンパというのもあったような。参加費は確か男性が一万円。結構な値段だ。しかしながら、参加者には綺麗な女性が多く、参加者自体も多数で盛り上がっていた。美味い酒食しゅしょくに楽しい会話。結果的に絵画を買わされそうになったことを除けば楽しい会であった。


 さらに記憶を掘り起こしてみる。大学時代はどうだったろうか。

 近隣にある女子大との合コンがあった。それはそれで間違いなく大学生っぽいものであり、今思えば青春だったかもしれない。そして、王様ゲームをしようという流れになった。王様ゲームの説明は省くが、その時私は鬼のような引きを発揮し、男子に耳を噛まれ、男子に乳首をもてあそばれ、たるんだ腹筋に男子から接吻を受け、そして、いやこれ以上は語りたくは無い。早々に記憶に蓋をして、梵字の書かれたテープでその蓋をぐるぐる巻きにすることにした。


 その他ずいっと思い起こしてみて、碌な記憶が無い、という結論に至った。


 何度でも言うが、私は私の運命を司る神に一言申し上げたい。あなたは私の運命を何故こうも弄ぶのだ。あれか、私の運命を弄ぶとアプリか何かでポイントでも貰えるのか。で、そのポイントでアプリ内でのアイテムとでも交換できるのか。それともガチャでも引けるのか。もしそうなら訴訟も辞さないし、腕のいい弁護士を用意したい。

 とまぁ神に恨み言を言っていても一向に埒は明かないし、面白いわけでもないので話を進める。


 何故合コンの話をしたか。勘のいい方なら言うまでもないであろう。いや。勘が悪い諸氏であっても、これまでこの物の怪日和をご覧頂いている剛の者であれば、傾向と対策でお分かりいただけるであろう。

 そうである。近々合コンを開催するのである。

 男側の幹事は私。女子側の幹事は大宮と高島。河童と狐と狸の布陣である。


 読者諸兄。言いたいことは分かる。あの大惨事を忘れたのかと。経験からすら学べない貴様は阿呆を通り越して呆れた男である、と。私には諸兄の表情がありありと目に浮かぶ。呆れ返り、もしアメリカ通販番組であれば、オーバーリアクションで肩をすくめ、首をかしげ、「Oh……」と口から零れているのであろう。


 しかし待っていただきたい。今回だけは話が違うのである。


 話を端折れば、黒髪眼鏡で読書好きな女子との出会いが、目の前に吊るされているのである。馬に人参、河童に胡瓜、中学生男子に打ち捨てられたエロ本である。そんな垂涎すいぜん極まりないものが目の前にあるのである。熟考するまでも無く承諾を出すのは仕方が無いではないか。


 とりあえずここまで話を進め、まずはいつも通り事の起こりからお話したい。

 それを聞けば、私を軽蔑する読者諸兄であってもご納得頂けると思われる。

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