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眼前に繰り広げられない恐ろしい有様

 選手交代したものの、よく考えてみれば、その後のことなど考えていなかった。

 やることも無くふらふらホテホテと歩く私と塚田。ぶらぶらとショッピングモール内を散策する。

 さすがに日曜日である。中学生と思しきカップル、ベビーカーを押している家族連れ、などなど辺りは人の群れ、群れ、群れ、である。皆、幸せそうな顔をしている。買い物というのは実に楽しい。それが恋人であったり、家族とともに、であれば尚のことであろう。

 この人の群れの中で、友人のデートをストーキングしているのは我々くらいのものだ。我々だけというのは一寸誇らしいようであるが、その実ただの阿呆の集団でしかないことも承知している。いずれにしても、世間の皆様に大手を振ってお話できるものではない。生きていてすいません。


 塚田とさらに散策を続ける。

 その間、驚く程どうでもいい話題で時間をつぶす。

 そのあまりにもどうでもいい話加減は、ここで書いて紙面をつぶすのがもったいないと判断する程である。少しだけお話しすると、ひぐまに襲われたと時は如何様いかようにしてその場を脱出するか、とかそういう内容である。

 このひぐま相手にマウントポジションを奪うという、いつ使うとも知れず、また絶対に成功しないであろう不毛な会話と知識は、さすが大罪を背負い、天下に名を馳せた我々である。時間はドブに投げ捨てるものだ。


 それにしても、次の順番が回ってくるまでは暇である。ストーキングの順番待ちというのもいかがなものかと思うが、まぁ仕方が無い。

 さらにブラブラと洋服、おもちゃ、本を見ることにする。

 前にも書いたが、これでは私と塚田がデートをしているようななものではないか。私の希望としては、黒髪メガネで読書好き、できれば図書館司書をしているような女性と文学哲学について語り合いながらぶらぶらしたい。しかし現実はそれとはまったく違う。私の理想と正反対に、貧乏神を冠するおっさんが横におり、読書について語り合うことも無く、マウントポジションがどうとか話しているのである。なんたる有様であろうか。

 現実は非常で不親切ある。人生のやり直しを要求する。リセットボタンはどこだ。しかし電源ボタンはまだ押したくない。人生の取扱説明書が無いことが悔やまれる。


 そうこうしている間に片岡より私にメールが入った。中村・間宮組からさらに後続の林・片岡組へと順番が移ったのであろう。なにか動きがあったのであろうか。

「対象は今レストランに入り、食事をしている。ここは俺たちが見張っている!今のうちにお前たちは食事を取るんだ!なぁに、俺たちのことは心配は要らない。お前たちにすぐ合流するさ!」


 分りやすい死亡フラグが立っているような気がする。片岡の電源ボタンが危ういのかもしれない。これがハリウッド映画だったら、林と片岡に何かとてつもなく恐ろしいことが起こるに違いない。片岡のメールの宛先を見れば、間宮にも同じメールが送られているようである。連絡の手間が省けたと思い、またせっかくのお誘いである。塚田は中村・間宮組にメールをし、フードコートで合流し食事をとることにした。

 そぞろフードコートに集まり、思い思いに食事を採る我々。間宮の食事風景は相変わらずであったが、本筋と関係ないので割愛させていただく。


 すると、今度はその場にいる全員にメールが着信した。やはり死亡フラグがたたったのであろうか。もしや大型トラックとでもカーチェイスを始めたのだろうか。


「エマージェンシー!エマージェンシー!加藤が……加藤が……!彼女と手を繋いでレストランから出てきた!!ともかく次の目的地に行きそうだ!各員準備されたし!」


 その場にいる他の独身貴族を見る。塚田と間宮が静かに、しかし確実に嫉妬の炎を燃やしているのが見て取れた。無論それは私もである。

 恐ろしい事態とはこのことであったか。携帯電話を持つ手に力が入っているのが分かる。しかし中村は「俺は三次元に興味は無いよ」と言いたいげに鼻で笑うばかりではあった。そして中村のメガネがキラリと光る。多分このメガネは、今流行のPCグラスなのではないか。でなければ、こんなに露骨に光るわけが無い。

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