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始まりはいつも突然に

 以下に今回会議の内容、会話を収めた議事録を掲載させていただく。

 これは発言者とその発言内容を取りまとめたものである。しかしながら、発言を羅列しているので若干読み難いかもしれない、それを事前に申し上げておく。



【私】しかしだな、なんだって今さらこんな会議なんて始めるんだ?


【片岡】いいじゃないか面白ければ。いやがらせを考えるということだろ?


【塚田】断じて否。正義の鉄槌だ。これは聖戦である。


【間宮】うむ。迷える子羊に希望の光だ。


【中村】まさしくもってそうであるな。諸君。


【加藤】えっ?お前ら何者?


【塚田】メサイア。いわゆる救世主。


【間宮】アイカンナッスピークジャパニーズ。


【林】塚田、せめてメシアって言え! 一瞬分らんかったわ! あと間宮、日本語で話せ、日本語で! そしてそんな滑舌のいい英語があるか! そしてわざわざ英国風にいうな! さっさと藻屑にかえれ!


【加藤】よくそんな長い台詞せりふ、噛まずに言えたな。


【中村】素晴らしいぞ! 俺は感動した!


【林】うるさい! 黙れ! あと台詞せりふとか言うな!


【加藤】それはそれとして、いい加減本題進めようよ。これは俺たちの昔からの悪い癖だ。じゃ、話を進めるな。で、塚田はなんでスーツなんだ?


【林】そこじゃねえだろ! そこじゃねえだろ! 本論は!


【中村】大事なことだから二回言ったんですね。


【私】相変わらずカオスだな。


【塚田】ノー。カオス。ケイオス、ケイオス。リピートアフターミー。ケイオス。


【私・間宮・中村・片岡】ケイオス。


【林】進歩が無いにもほどがあるだろ! 昔っから! いい加減呆れ果てるわ!


【片岡】それは褒めているのか?


【林】褒めてねーよ! 全然褒めてない!


【加藤】大事なことだから二か


【林】褒めてねーよ!


【中村】三回目きたー!


【林】うるせえ! 何も来てねえよ!


【私】お? 間宮、そのサキイカどこから出したの?少しくれ。


【間宮】俺のものは俺のもの。欲しければリピートアフターミー。ケイオス。


【私・片岡】ケイオス。


【間宮】どうぞ。


【私・片岡・塚田】ありがとう。


【間宮】塚田、お前は言ってないだろ。やらんよ。俺の聴力を舐めないほうがいい。


【林】だからさ! 話を! 進めろ!


【片岡】そう怒るな林。毛が抜けるぞ。


【林】……。


【中村】効果はバツグンだ!


【私】で、どんな嫌がらせをしよう。


【片岡】いい加減話しを進めないとな。そうねえ……うん……ふんどし祭りとかどう? チョコレート売り場を我々がふんどし姿で練り歩くの。すり足で。


【私】警察沙汰だろ、常識的に考えなくても……。


【片岡】いや、百人くらい集めれば大丈夫じゃない?


【加藤】それだともうテロだな。この会議はテロ組織の指定を受けます。


【私】テロ首謀者には厳しい刑罰が待っていると聞く。今回の場合、首謀者は塚田になるのか?


【片岡】多分。そうなったら俺たちみんなで塚田を差し出そう。


【加藤】そうしよう、南無三。


【塚田】差し出されよう!


【私】やる気だな、じゃあそれで行こう。


【間宮】でもふんどし祭りは、ふんどしが手に入れないと話が始まらない。


【中村】ふんどしが売っている所なんぞ知らんよ。どっかある?


【私】分らんな……。


【間宮】流石の俺も、ふんどしを人数分は持っていない。


【私】あ、一応持ってはいるんだ。どこで買ったんだ?


【間宮】和用品屋さん。


【塚田】おおう。いくらくらいだった?


【間宮】いや、覚えていない。いくらだったかなぁ。


【塚田】下着だからな、そんなに高いものじゃない気がする。一人当たり千円もあればいけるんじゃないか?


【片岡】千円とか。俺には高級品過ぎる。却下だ。


【加藤】なんか一生分の、ふんどしっていう言葉を聞いた気がするな。


【中村】もうふんどしはいいや。ふんどしから離れよう。


【塚田】いやもうちょっとふんどし言っておこうぜ。いい機会だし。ふんどしふんどしふんどし。


【私】何だよいい機会って。


【塚田】ふん! どし! ふん! どし! ふーん……


【塚田・間宮・中村・加藤】どしどし!


【加藤】相変わらず思うけど、なんか俺たちって無敵な感じだよな。無敵で素敵で不敵。


【片岡】まぁな。しかし何かを購入して何かアクションを起こすこと自体、この会議の趣旨からは遠くないか? 再度言うが、俺、金無いよ。


【間宮】いや、今回は特別だろう。塚田がはじめてやる気を出したんだし。なぁ塚田。


【塚田】まぁ何だっていいよ。もう飽きた。


【中村・加藤】早っ!


【私】お前がそんなんじゃだめだろ!


【中村】むーん……。こうさ、カップルが集まる公園とかになんか仕掛けたいよね。


【加藤】初めて建設的な意見が出たな。やるな中村。


【中村】流石俺。


【林】内容は不健全だがな。


【片岡】バカ。それがいいんだよ。


【中村】こうさ、カップルが集まる公園でいきなり殺陣たてをはじめるのはどう?模擬刀振り回して。


【私】やっぱり警察のお世話になりそうだな……。


【塚田】つか、それただのアトラクションじゃねーか。うまくいったら拍手喝采はくしゅかっさい雨あられ。喜ばしてどうする。


【間宮】うーん、たしかにそうだな。ダメか。


【加藤】ここで片岡がこの停滞した会議に、希望を与える救世主のごとき一言を発した!!


【片岡】ケイオス。


【中村】さすが片岡、分かってる。錆び付いていないな。


【塚田】もうね、様式美だよね。なんだろ、横綱の土俵入りみたいなの。


【林】……。


【片岡】あ、林がキレかけている。少しは花も実もある話をしようよ。


【加藤】というか、俺、彼女いるんだけどね。



 加藤の最後の発言が場の空気を一変させた。


 私はその言葉が出た瞬間の空気を例える術を持たない。あえて言うならば液体が一瞬で凝固ぎょうこした瞬間といえる。例えがよく分からないのは自覚しているので、ご勘弁願いたい。

2018/12/25 加筆修正

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