表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私を避け続ける婚約者様。どうか解消してください  作者: おつかれナス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/8

八  最終話

「サリド様、お待たせ致しました」


 そう言って玄関ホールで待っているサリド様の元へ走って行く。


「アリーチェ様待って!まだこちらが・・」

「えっ?すみませんシシィ様」


 サリド様との結婚式を三ヶ月後に控えている今、私の領地が遠く離れていて何かと不便との理由でシシィ様のお屋敷に滞在させていただいている。

 サリド様は


「今まで婚約者としての触れ合いが無かったから、侯爵家にそのまま住めば良いよ」


 と言っていたが、私の両親の手前侯爵様が


「未婚の男女を同じ屋敷には住まわせられない。幸いシシィとは仲が良さそうだから」


 と、ルイードル子爵にお伺いを立ててくれた。

 ルイードル子爵も娘と仲が良く、また次期侯爵夫人となる私にこれからも娘と仲良くして欲しいとの気持ちで、二つ返事で引き受けてくれた。


「サリド様、良いですか?アリーチェ様と仲良くしたい気持ちは良く分かりますが、節度を持って接してくださいませ」

「シシィわかっているよ。信用ないなぁ」


 ハハハ、フフフと笑っているがサリド様もシシィ様も目が笑っていない。


 まぁシシィ様が心配するのも無理もない。

 あの日からサリド様の触れ合いが増え、場所を構わず私に触れてくるのだ。


 嬉しいんですけどね。


「アリーチェ様、楽しんでらしてね!帰ったらお話聞かせてください」


 そう言いながら玄関の外まで見送りに出てくれた。


「あっ、シシィ様にお願い!と言うか、ご相談なのですが・・」

「何でしょう?」


 首を傾げながら待っている。サリド様も私の言葉を待っていて


「サリド様に聞かれては困る事なら先に馬車へ・・」

「なっ!シシィ、僕とアリーチェに隠し事は!」


 早く言わないと二人が喧嘩を始めてしまう!


「サリド様に聞かれても大丈夫です!あのシシィ様、私の事はアリーチェと呼んで欲しいのです」

「えっ!よろしいのですか?うれしいです!では私の事もシシィと呼んでください!!」


 二人が同時に笑顔になる。


「行って参ります、シシィ」

「ええ、行ってらっしゃいませアリーチェ」


 嬉しい、前から言おうと思っていた事がようやく言えた。

 私は馬車に乗っても嬉しくて、ずっと笑っていた。


「少し焼けますね、僕が呼んでもそこまで喜ばれてはいないのに・・」

「えっ?そんな事はありませんよ?嬉しいですよ!」


 まさかシシィと自分を比べるなんて・・


「それでは・・僕の事はサリド、と呼んでもらえますか?」

「そっ・・それは・・」

「ダメですか?」


 可愛らしく首を傾ける。

 う〜〜〜


「ずるいですぅ〜」


 顔を赤くしてサリド様を睨むが、全く効き目なし。


「そんな顔も可愛いですね。結婚したら呼んでくださいね」

「・・・善処いたします・・」


 そう答えるとサリド様は私の隣に移動して、私の唇に軽く指で触れる。


「アリーチェ、いいかな?」

「き、聞かないでください・・」


 揺られる馬車の中で、サリド様の唇と私の唇が優しく触れた・・




「今日は僕の友人が絵画で賞を取ってね、美術館に飾られたんだ」

「まぁ、凄いですね!王都の美術館は来た事が無いので楽しみです」


 その日は半日かけて美術館を回った。


 サリド様は私との時間を埋めようと、色々な場所へ連れて行ってくれた。

 観劇やお祭り、植物園やピクニック。

 なかでも一番嬉しかったのは


「すごい・・すごく素敵な眺めですね!」


 初めてサリド様の、ルーベント侯爵領へ行ったこと。

 我が領地は海沿いのため山が無いが、ルーベント侯爵領は山沿い。

 真逆なのだ!


「ここからだと我が領地全体が見渡せるんだ。一度アリーチェを連れて来たいとずっと思ってたんだよ」

「ええ、ええ。すごいです!この見晴らしもですが、さすがですね。お義父様、いいえ、その前、そのずっと前からの侯爵様の思いが伝わってきます」


 屋敷から少し離れた山間の、更に登った高台から見渡す侯爵領はとても美しく、でもきちんと整備されていて・・


「この景色を見れば、侯爵領が繁栄する理由が頷けます」

「次期侯爵夫人にそう言ってもらえるなんて光栄です」


 そう言ってまた甘えてくる。

 最近では私もサリド様の甘えに慣れてきたのか、しっかりと受け止めている。


「アリーチェの領地も素晴らしかったよ。外国との貿易、漁師たちから買い取った魚介で市場やレストラン。宿なども整備されていたから、我が領地とはまた違った良さがあったね」

「ふふふ、そうなんです。色々な国の方が来て交流が生まれて発展する。父も祖父もそのまた上の・・そうやって私は生かされてきたんだと思うと、感慨深いですよね!」


 私はサリド様とルーベント侯爵領を眺める。


「これからは・・ここが私とサリド様が収める領地になるんですね」

「・・ああ、そうだよ。私と一緒にこの領地を守ってくれるかい?」


 後ろから抱きしめられながら優しく囁かれる。

 私は嬉しくも恥ずかしく・・頷く。


 この美しく広い領地を、いつの日か増えるだろう家族と共に守っていく。




 相手にされないからと婚約を解消しようとした人と、私は来週結婚します。


これにて完結です。


読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ