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ヤンデレ  作者: 呉武鈴
3/6

見えない影

何かがおかしい…。ボク、笹倉茂がそう感じたのはここ数週間前からだ。学校に登校してる時、下校してる時、友人とゲーセンに行った時、ボク一人で買い物に行ったときなど外出した時にたまに誰かの視線を感じ始めた。最初は自意識過剰かなと思っていたがだんだんとボクの行く先々で必ずその視線がボクを見ている。更には二日前から登校する直前と下校した直後にピンポンダッシュをしている。何のためにこんなことをするのかこの時ボクはまだ理解できなかった。


「センパーイ」

「茉奈、どうしたんだい」午前中の授業が終わり暇を持て余していたためたまには一人でゆっくりと読書でもしようと思い図書館に向かっていた途中、後ろから部活(文芸同好会)の後輩である真鍋茉奈が満面の笑みで大きく手を振りながらボクの方に走ってきた。

「偶然にもセンパイを見つけたから走ってきたっス!」

周りから見れば茉奈がボクに少なからず好意を抱いてるように見えるらしい。何故なら彼女自身は「尊敬するセンパイだからたとえセンパイが遠くに旅立とうが気持ちだけはいっつも一緒っス!」等と学校中に聞こえるのではないかと思うぐらいボクの教室内で大声で叫んだこともある。そのためボクは茉奈の気持ちに応えてあげない駄目男と言われるようになった。

「ところでセンパイは何処に行くつもりだったんスか?」

「いまから図書館に行くつもりだったんだけど…一緒にくる?」

「もちろんいくっス!アタシはセンパイが行きたいと言ったらたとえ火の中水の中、地獄の果てまでついていくっス!」

今時の女の子がよくそんなことを恥ずかしがらずに言えるなと苦笑しながらボクはどこかその言葉に何か不安を覚えた。


「じゃあ、〆切を今月末にするからみんなそれぞれくじに書いてあったテーマを書いてくる様に。お疲れ様!」

部長のその一言でそれぞれが下校の準備をし始めた。「センパーイ。センパイのくじ、なんて書いてあったんスか?」

「ボクはホラーって書いてあったよ。茉奈はなんだったんだい?」

「アタシは恋愛って書いてあったっス!アタシも小説の様なあま〜い恋とかしてみたいっス!」

そんなことを言いながら頬を紅潮させている茉奈を見ながらボクは笑った。


『茉奈の日記』6/13(木)

今日も朝一で笹倉センパイの顔が見たかったからいつも通りセンパイの家のチャイムを鳴らしに行った。電信柱の影でセンパイの姿を見たときはもう最高の気分だった。

センパイの見えない退屈な午前中の授業が終わりセンパイを捜しに行ったら第二練の渡り廊下でセンパイの姿を見つけた。いつもは教室でのんびりしているから遠くから眺めていることしかできないけど今日は堂々と一緒にいても大丈夫だと思いセンパイに向かって走っていった。更にセンパイが『いまから図書館に行くつもりだったんだけど…一緒にくる?』なんて誘ってくれた時はもう死んでもいいぐらい気持ちよかった。部活中はセンパイの悩んでる姿を久しぶりに見れたので退屈はしなかった。次の作品のテーマが『恋愛』だったので凄くラッキーだった。センパイとアタシをモデルにして書こうかなぁ。帰り道ではセンパイにバレない様に電信柱の影からセンパイを追ってった。特に何もなかったけどセンパイを見ているだけでアタシはいつも幸せな気持ちになれる。そうだ!今度センパイの部屋に盗聴器を仕掛けよう。合鍵もあるしセンパイが出掛ける姿を見れないのは残念だけどそのあとセンパイの声をずっと聴いてられるから良しとしよう。


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