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喋ったぁぁぁあ!

今回も短め?

貴方には神殺しになってもらうわ

よろしくね、私の神様」



そこまで言ったが、しばらくしても男が反応しないことに気恥ずかしくなったのだろう。自称管理者はごぼんと喉を鳴らして、大声で声を出した。

「と言う訳でコロシアイをしてもらおう!」


愉悦に浸る自称管理者が言う。

しかし黙っていた男にも疑問があった。


「何が『と言う訳』なんだ?大体俺はやると入っていないぞ

その…「猟人」そうそうそれ。」


その言葉を聞き神ににっこり笑われた男は厭味ったらしくニッコリしかえしてやった。

すると管理者は男の表情を意にも返さずに言葉を返す。


「いや。帰れないから。あんたが自分の名前を思い出すまでは帰れないようにしてるから。そんでもって記憶は管理者のところに置いといたから。あと今回、殺してもらうやつはチュートリアルとして弱いやつだから安心して」


男は真顔になった。


―――安心できない。



「記憶を置いといたってどうやって?あんたと半透明の管理者って敵対してるんだろ?なぜ化け物を殺そうとする。そもそも記憶って置いとけるもんなのかよ」


「できるよ。この世界は少々特殊でね。むしろ半ば記憶のようなもので成り立っていると言っても過言ではない。じゃ、いくよ〜」


そう言われて男は抱えらる。

布越しではあるが、柔らかな2つの感触に男は愚かにも一瞬硬直してしまった。

記憶を失っていても欲は有るらしい。

そしてそのままの勢いで投げられる。


『いってらっしゃ~い』

もう結構な距離ができているらしく女性の声はかなりぼやけていた。



肉の触感が離れたことにようやく愚か者は気がつき、声を荒げる。


「ちょっとまって!どこに向けて投げられてんの?!

他にも聞きたいことあるんだが?!第一そのゴリラみたいな怪力は何なんだーよー!」


ワチャワチャと空中での抵抗も虚しく、そのまま飛んでいく。物理の法則には抗えないのだ。

しばらくそうやって飛んで……いや落ちていると

徐々に地面が見えてきて…………着地。

どうやら先程までの場所はどういうわけか雲の上だったらしい。

と、同時に天の下は夜だったらしい。


着地地点はところどころ壊れかけた砂色のコロッセオのフィールド。

目の前には自称管理者の宣言どうり、化け物。

太古のグラディエーターよろしくここで暗闇の中戦闘を行なえということらしい。


目の前の化け物は見知らぬ男がジブ○の少女の二十倍の速度で降ってきたことに喫驚しているようだ。一方の男の方はというと、どこか遠い目をしながらもしっかりと目の前の化け物に焦点を合わせていた。


化け物が驚いているこの間に男は未知の生命体を観察しているのだ。勝負に勝つには情報だ。勝負以外の何事にも同じように言える。


見たところ化け物は右腕と下半身が獣のようになってる。どんな獣かというと一言に言い表して、犬。いや、どちらかというと黒狼が正しいだろうか。

その他の部分は腐りかけており、ここから距離にも関わらず腐臭が香ってくる。ウォーキング○デッドを想像してくれるとわかりやすいだろうか。鑑みるに、腐っても黒狼ゆえに足の速さには注意。狙い所は腐って損傷の激しい腹部もしくは首であろう。

全く違う性質のものが一つの生物に存在している状態はいかにも不気味であった。


服は中世で見られる質の良くない服を着ている。俗に言う麻布であり、少しダボッとしている。無論、肌の観察ができたところからわかるようにボロボロという特性も兼ね備えている。

武器は……長い柄と、長くて広がった歯を持ったいわゆるピッチフォーク。


元農民なのだろうか。




敵の突進!!

「うお!」

驚きによる硬直が終わったらしい。

なるほど、獣の足をやはりよく使っている…

加えて黒い毛皮が闇の中では保護色だ。


しかし感心している場合ではない。

男は脇目も振らずコロッセオの中を走り回る。


「うぉーー!!」


しかし驚くことは続け様に起こるものだ。

男の視界の上からなにか光ったものが突進してくる。


完全なる無機物。

日本人には言わずとしれたKA・TA・NA!である。


「嘘だろーー!」


今度は夜空から刀である。男は今度こそ死んでしまうのだろう。

刀は入射角八十度。空気抵抗の大きさを剣の先で受け流し、今や今やと男の頭上に墜落しようとしている。


そしてそのまま男の頭…ではなく後ろの地面に突き刺さった。

これは男に対する攻撃の意思はないという認識でいいのだろうか。

男は拍子抜けしながらも恐怖心を押さえつけ、わざとおどけた様子で言葉を発した


「Take two!

良かった!味方だ!刀に味方とかそういう概念があるのかは甚だ疑問だがな!」


後ろを振り向けば()()()面に刀が刺さった小粋な現代アート作品ができているはずだ。

男はゆうゆうと後ろを向いてやった……おまけに顔に手を当ててポーズまで取っている。


しかしその振り返った視線の先には五体満足の敵がいた。

どうやらまたもや空から降ってきた物体に驚いて動いていないだけのようだ。どうやらこの化け物は驚きに瀕すると固まってしまう特性でも持っているようだ。


今のうちに男は体を動かして逃げようとするが、急に走った弊害か足が動かない。準備運動の重要さがよく分かる。


ややあって男と敵が動き出したのはほぼ同時であった。


男は足をうならせて半歩前に出る。

すかさず刀を取り構える

そのまま敵に

下から切り上げる!


――よしっ獲った!


ガジャン!!


「グッ?!」


まさかの農具で刀を弾かれた。

薄暗い中に火花が走る。

恐るべきピッチフォーク。

化け物は腐った体に見合わぬテクニシャンだった。


続けて化け物はそのまま防御した勢いでクワ状の武器を上から振り下ろしてくる。


「あっばね!」

男は身体を横にのけぞらせる。

今、避けなかったら死んでいたでだろう。


しかし男は気にする場合ではないと、体を左に向ける勢いで心臓に刀を突き刺す。だがさすがはゾンビ。心臓はハナから動いていないようだ。それどころか胸骨に刀が引っかかり、かなり危機的状況であった。


化け物は男の顔面に向かってしっかり握った腐った拳で殴りかかってくる。


「せめて殴られる前に!」


男は敵の体を思いっきり蹴り、拳が届かないようにする。


それと同時に刀を強引に引き抜く。

その勢いのまま刀の向きを強引に変え、全力を持って化け物の首を落とした。


「…イッーよいしょ!」

元気に吹っ飛ぶ首。


かなり乱暴に扱ったにもかかわらず、刀は一切曲がっていなかった。そしてなぜか刀には血も残っていなかった。


「これで死んだだろ……」


フラグのような気もするが大丈夫であろうか。

そんな間にもゾンビと野獣のハイブリットは足から体をどんどんと崩壊させていく。


これで動くのであれば、男は勝つことが難しい。

既に体力は戦えるほど残っていなかった。

死を受け入れるしかないだろう。


突如、化け物がこちらを濁った目で見つめた。

「オイ……死ヌナヨ…」


「いや、あんた喋れたん…?」

男がこのように言うのもたしかに仕方ない。

誰も腐っても()()()()()が話すなど想像するだろうか。


「エ……」と言って敵は完全に消えた…


目玉を残して。

――いや…目玉なんかいらんのだが…


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