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第五条 隠し通路 前編

「あ…その……え、えっと…」


拝啓 グリモワール様


長く苦しかった修行生活も終わり、希望に満ち溢れるこの頃、グリモワール先生も、ご健勝にお過ごしのことと存じます。さて、今私はこの上ない危機に瀕しております。…………助けてください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1時間前


「よし!ヒューレン行くぞ!」


「はいっす。」


「目指すはもちろん〜〜謎の通路!」


「…………」


ヘルは、長く苦しかった修行生活からの解放に、テンションが高くなってしまっていたのだった。その結果、普段はテンションが高く見えるヒューレンすら、軽めに引くほど、テンションがバグってしまっていた……


「………テンション高く無いっすか?」


「そんな事〜ないよ!!!」


……指摘されても気づかないほどに。


「変なこと言ってないで〜さっさと行こうぜ!!」


「…はいっす。」


30分ほど歩くと、かつての崖まで戻ってくることが出来た。不思議なことに、行き道に比べて息を切らすことは無かった。修行の成果が出たということだろうか。


「ひえー高いっすね。本当にこの下に通路があるっすか?」


「へへーん凄いだろ!」


「…………」


「…………」


「……でも、どうやって下に行くんすか?」


「ふふふ、見て驚け!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

頭お花畑の鬼でも分かる!崖下り講座! イェーイ


STEP1大きくて頑丈な岩を探します。


STEP2岩に強力な磁力を持たせます。


STEP3慎重に岩を崖の下に落とします。


STEP4ヒューレンと自分に岩と同じ磁力を持たせます。


STEP5飛び降ります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぎゃー落ちるっす!!何するっすか!!!死ぬっす!!!」


地面からの距離が8メートルほどになった時点で、岩と自分の反発する力が働き、重量に反発する。ボヨーン


「危ねぇー!よしっ!成功!」


「いきなり飛び降りるなんて聞いてないっすよ!!」


「ごめん!ごめん!でも、成功したからセーフっしょ!」


「…………」


「……すいません。」


「……でも、こうしてみると隠し通路っていうより、隠しダンジョンみたいっすね。」


そこには、岩と骨で出来た禍々しい入り口ができていた。


「ああ、そうだな…覚悟はいいか!?ヒューレン!」


「もちろんっす!」


ヘル達は目を合わせ、禍々しいダンジョンのようなものに足を踏み入れたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コツッコツッ

「ーーヘルさんは、この一ヶ月どんなことがあったっすか?」


ヘル達はただっ広いこの通路をただ歩いているだけだと、退屈だと思い、お互いこの一ヶ月間何をやっていたのかを語り合っていたところだった。ちなみに、ヒューレンは、''山口駆"という、1人の人間……俺の人生を調べていたと言う。あんまり成果は出なかったとだとか。

ーーなんか自分の人生他人に見られるって恥ずかしいよね。


「俺は、グリモワール先生っていう鬼のような先生の元できつい訓練をしてーーーー」ガヮァァ


コミュニケーション能力ゼロのヘルが送る、オチのない苦労話を、遮ったのは、一体の巨大な鬼だった。手には、鋭い槍、額には大きなツノが2本生えており不気味な笑みを浮かべている。


「オラっ!訓練の成果をくらえ!!『磁鉄 隼斬り』!」ゴギッ


その瞬間、グリモワール先生との実戦で、耐久力が少なくなっていたのか、槍が折れてしまったのだった。


「使えねぇ〜!」


<どうしたらいいんだ!?このままだと全滅する!!……そうだっ!>


「炎の魔石!!」


ポケットから、赤く染まった魔石を取り出し、強く握り込める。


[我。炎の魔石なり。汝の望みのあーー]


<急げ!なんか出来ないか!?>


「火球!…バーニング!…ファイヤーボール!…炎ーー」ブォー


ヘルが適当に魔法っぽい名前を連呼していると、何かが正解だったのか、魔法が飛ばされた。その魔法は、巨大な炎の魔球が飛ばせるわけではなく、炎の精霊を呼び出せるわけでも無かった。唯一出来たことは小さな火花が宙を舞った事だった。その火花も一瞬にして空中で儚く消えたのだった。シュン


「使えね〜!!」


「そうだっ!!ヒューレン!あいつどうにか倒してくれないか!?!」


<ヒューレンも一様鬼だし、戦えるんじゃないか!?問題は、閻魔様の部下のヒューレンが鬼と戦ってもいいのかというところ……もし、行けたら………>


「いいっすよ!!見ててくださいっす!!」クルックルッ


<よしっ!きたっ!!>


ヒューレンは、しなやかな動きで瞬時に近づいた後、鬼の頬にパンチを入れる。

ーーヒューレンは獲物を狩るかのような、真っ直ぐで、隙のない、普段と全く正反対な眼をしていたーー   

次の瞬間、鬼の頬は血の色に染まった。……ヒューレンの血によって。……どうやら擦り切れてしまったようだ。もちろん鬼にダメージは入っていないように見える。


「使えね〜!!!」


「い、痛いっす〜!!」


「こうなったら!喰らえぇ!!『磁鉄 三日突き』!!」


ヘルは拳を握り返し、一気に磁力で距離を詰めた後、折れた槍を鬼の目に突き刺した。……なかなかにグロい光景が広がっている。


「死ぬかと思った〜!危ねぇ〜!!」


「ヘルさんカッコよかったっす!!」


「もっと褒めてくれてもいいんだぜ!っと。」


ヘルは倒した鬼から新しく槍を回収した後ヒューレンに話しかけた。


「ここにいると増援が来そうな気がするから急いでーーー」ガヮァァ


予想通り、後ろから8体ほどの鬼が血眼になって追いかけてくるのが見えた。


「ヒューレン行くぞ!!『磁力瞬足』!」


ヒューレンを抱えて走り出す。


「逃げ切ってやるぜぇー!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後


「後少しっす!頑張ってくださいっす!!」


「これ…結構しんどい…」


走り続けて数分が経ち、ヘル達は……迷子になっていた。


<いや、方向音痴なわけじゃない。ちゃんと理由は…ある。この通路、道が多すぎて、複雑になっているんだよな。…だから、俺が方向音痴ってわけじゃないんだからね。>


ヘル達はそれからも数分、逃げながら走り続け、大きな十字路に迷い込んでいた。


「ヘルさんっ!やばいっす!」ウギャア


後ろは8体ほどの鬼、前方には1体の鬼…挟まれてしまったようだ。


<どうする…一か八か突っ込んで倒すか、どうにか避けて行くか、ヒューレンを囮にするってのは…無しだな。>


「なあ、ヒューレン。俺が"飛べ"って言ったら、飛んでくれ…俺が倒すかーーー」ドゴァーン



目の前の巨大な鬼が、より巨大なゴリ……巨人によって大きく吹っ飛ばされる。


「ふむ、人間か……状況は?」


「ゴクリッ うっ後ろに8体ほど、武器は全て槍のようなものを使っていましたっ!」


「ーー上出来じゃ。」 


<…俺、もしかして……殺される?>

『ヒューレンの技紹介』


『磁鉄 三日突き』

リニアモーターカーの原理である超電導リニアの原理を活用した突きっす。リニアモーターカーってなんすか?手にS極とN極を交互に配置し、引き合う力と、反発する力を使って高速の突きを、発動させているらしいっす。難しいっすね。最高時速500kmほどの素早さと威力を兼ね備えた中級技っす。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先週投稿できなくなってしまった原因にもなるのですが、受験が終わるまでの一年間、多少受験勉強をしなければならなくなってしまいました。なので、投稿ペースが落ちてしまうことが多くなると思います。ペースは落ちてしまいますが、これからも投稿し続けるつもりでいますので引き続きよろしくお願いいたします。


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