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第一条 金ノ亡者


<お、俺はどうなったんだ?確か上から何か落ちてきて、ってここはどこだ?>

駆はなぜだか薄暗い部屋のようなところにいる事に気付いた。不思議なことに扉がない。

<どうやってここに入ったんだ?>

「お!やっと起きたっすか!」

気がつくと目の前に2つのツノと可愛らしい八重歯のある、文字通り、鬼のような小女がいた。外見を見るに歳は自分より少し若そうだと思う。

「なかなか起きないから心配したっすよ」

「ここは……どこなんだ?それに……俺はどうなったんだ?」

「ああ、ここは、、、地獄っす!あと、ヘルさんは隕石にぶつかって死んじゃったみたいっすよ」

「???」

「いまいち状況が掴めてないみたいっすね。ヘルさんは死んじゃったんすよ。そこまでいいすか?」

「俺の事をからかってるのか?まさか…死んだって……」

「からかってないっすよ!ヘルさん、本当っす!信じてください!」

自分が死んだなんて信じられるわけがない。しかし彼の目には少女が嘘をついているとは思えなかった。

「俺は本当に死んだのか………あと、ヘルって誰のことだ?俺の名前は駆だぞ」

「地獄には地獄のルールがあるっす!だから名前がヘルになったってだけのことっす!カッコいい名前でよかったすね。」

どうやらヘルと言う名前になってしまったようだ。突然の出来事に頭が回らない。

「まだ困惑してるみたいっすね。でも大丈夫っす!私がついてるんで!ああ、それと私の名前はヒューレンっすよ。ヒューレンって呼んでください!」

「ついてる?一緒にきてくれるのか?」

「そうっす!地獄の果てまでレッツゴーっす!」

どうやらこの鬼の娘、ヒューレンが地獄をついてきてくれるらしい。

「どうして……ついてきてくれるんだ?」

「ああ、理由は簡単っす。まず、ヘルさんが罪を犯したから地獄に落ちたはずなんですけどどうも不自然なんすよね。だから閻魔様の部下として地獄に落ちるべきか調査しにきたってことっす。

それで8つの試練をクリアして閻魔様のところへ行くまで案内するっす!」

「なあ、地獄の王………閻魔様の部下なんだろ。地獄の試練をスキップして閻魔様の所までいく、みたいなのはできないのか?」

「いや、前はできたんすけどいろいろしくじってできなくなっちゃったっす!できたら楽なんすけどね。」ドヤッ

なぜかドヤ顔である

「そうか、なあ試練って何するんだ?」

「本当は等活地獄からなんすけどなぜか最近異常に死亡者が多いせいで等活地獄がいっぱいなんすよね。だから大叫喚地獄からっす!簡単にゆうと舌を指してくる鬼から逃げながらゴールすれば勝ちっす!平均クリアタイムは8000年っす。でもハズレ値が多いんでヘルさんならチャチャっとクリアできるっすよ。大体の説明は以上っすね!詳しいことは行きながら説明するっす」

「ああ……分かった。」

「行きますよ〜」ピカア

周りが真っ白な光に包まれた。

<この鬼大丈夫かな?>

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あたりの光が消え気がつくと灰が降り積り尖った岩が、何十にも重なるまさにイメージ通りの地獄が広がっていた。所々溶岩が噴き出ていて頭蓋骨も転がっている。もうすぐ自分もそうなるのかと思い、ヘルは背筋が寒くなったのを感じた。

「ちゃんと転移できてるっすね。さっきも言った通りここは大叫喚地獄っす。鬼から逃げてあそこに見えるゴールまで行けば勝ちっす!」

とても遠くに旗が見える。そこまでゆくのに何十、何百の鬼がいる。また、かなりの距離がありあそこまでゆくのは文字通り、骨が折れそうだ。

「さっき言い忘れたっすけど8つの試練にはそれぞれ意味があるっす。この試練にはーーー」

『おいぼんくら、何くっちゃべってんだよ、そんなことしてる余裕があんなら、俺様がお前を利用してやるよ。俺を守るためにおとりにになりやがれ!!』

話しているところに近くにいた柄の悪い男が絡んできた。

「え、ちょっと!!」ドオン

言うまもなく突き落とされる。その様子を見た鬼たちがヘル目掛けて追いかけてきた。

「顔は覚えたからな!糞男!」

ドゴオオ

後ろから5、6匹砂ぼこりを上げ追いかけてくる。しかし、ヘルは、とっさの判断で入り組んだ地形を避けつつ逃げることを選んだ。結果、鬼たちは図体の大きい分追いかけるのに苦戦しているようだ。

「おっしゃ〜ここまで来ればまいただろ!」

喜んだつかの間目の前が崖なのにきずく。下を見てみると骨が転がっているのに気づいた。。

<ここから落ちたら即死か>

この道は進めなさそうなので別の道を探す

「左の方から行けそうだな」

そう思った次の瞬間、後ろからさっきの鬼たちの声が聞こえてきた。どうやら回り込んできたみたいだ。

急いで左の道へ行こうと走り出すヘルだったがその反動でポケットから宝くじが落ちる。

<俺のお宝、落としてたまるかぁ!!>

必死に宝くじを取ろうとする。しかし、宝くじに気を取られすぎてしまい足元が崩れ始めていることに気づかなかった。 グラッ

崖から落ちてしまう。上から鬼が見ている。この死に方は地獄側からして想定外だろうな、なんてと思った。

<今度こそ本当に死ぬ!でも地獄で死ぬとどうなるんだ?生き返るのか。死んだままなのか。想像するだけでますます怖くなるな。>

これから死ぬかもしれないのにやけに冷静だと自分でも思う。これはおそらく今、目の前で起きていることを完全に理解していないからだろう。

ーーーーヘルは目の前に何が道のようなものの存在に気づいた。

<あれ、なんだ?もしかして鬼が行き来するための道とかか?だとしたらすごい発見だぞ!>

そんなこと考えているうちに地面は刻一刻と迫る。

「ああぁでもやっぱ怖い〜、死にたくなーーー」グシャア

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