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出会った番(つがい)は同性でした  作者:
第2章 恋人編
14/35

14.番(つがい)登録

リアの家の前に着くと、既にリアは待っていてくれた。


「リア。おはよう」

「カミラさん! おはようございます」


私に気づいて、名前を呼んで嬉しそうに笑ってくれるだけで幸せな気持ちになる。

とにかく可愛い。


「会いたかった。荷物はこれだけ?」

「わ、ありがとうございます。1泊なのでこれだけです」


横に置いてあった小さめのバッグを持って聞けば、これだけらしい。この前も荷物は少なかったし、そんなに沢山持ち歩くタイプじゃないみたいだね。


「もう出れる?」

「はい! 大丈夫です」

「じゃあ行こっか。リア」


手を差し出せば一瞬きょとんとしたけれど、恥ずかしそうに手を握ってくれる。


「カミラさん、それ、くすぐったいです」

「んー? どれ?」


手の甲を親指で撫でていたらリアから抗議の声が上がるけれど、気付かないふりをしてみる。


「絶対分かってますよね?」

「ふふ、可愛いね」


どんな顔してるのかな、とリアを見れば見事な膨れっ面をしている。出会った時から素直だったけれど、色んな顔を見せてくれて嬉しい。


送ってきた時と同じように籠に乗ってもらって飛べばリアの楽しそうな声が聞こえる。前も思ったけれど、高所恐怖症じゃなくて良かった。

着いたら番登録について説明しておかないとね。


「着いたー! 2回目ー!」

「元気だね。楽しかった?」

「楽しかったです!」


到着するなり、普段よりテンションが高めではしゃいでいて、そんな姿をこうして近くで見られることを幸せに思う。


「それなら良かった。今日番登録しに行くけど、まだ説明してなかったよね」

「あ、そういえばまだ聞いてませんでした」

「人族の婚姻届と同じって話はしたよね。離婚と同じで、解除もできる。番同士なら関係ないけれど、他種族だったりして番同士じゃない場合もあるからね。ただし、番登録は1度しか出来ない」


入国の列に並びながら、リアに説明をしていく。解除が出来るなんて本当は言いたくないし、隠しておきたいけれど大事な事だから伝えておかないとね。たとえ解除したい、と言われても受け入れられる気はしないけれど。


「あとは人族とか番の概念がない種族みたいに、番じゃないけれど恋愛して、っていうパターンもある。番じゃないけれど番登録っていうのもややこしいんだけど。でも後から番が見つかるかもしれない、って登録をしない人の方が多いかな」

「番が見つかるのって珍しいんですか?」

「そうだね。番に出会うことなく生涯を終える竜人族はそれなりに多いかな。それぞれ恋愛を楽しんだりはしているけどね」


そう思うと、私に番が見つかったのは奇跡だと思う。番登録をする日が来るなんて思っていなかった。


「そうなんですね……」

「はい、次の方ー、ってカミラ隊長?! お疲れ様です!」


リアが何か言いたげにしていたけれど、ちょうど手続きの順番が来てしまった。


「お疲れ様。リア、手続きは大丈夫?」

「2回目なので大丈夫です!」

「隊長がご一緒ですが、規則通り一通り確認させていただきます」


リアが滞在期間や滞在先等のやり取りをして、無事に手続きが終わった。滞在先を伝えるのに恥ずかしそうで可愛すぎた。私今日持つのかな?


「リア、番登録の前に籠を返しに詰所に寄るね」

「分かりました」


番登録が終われば番のいる国への入国手続きは免除されるから、これからは直接詰所に降りれるようになる。リアの国の場合は竜を見慣れていないこともあって街中を飛ぶ訳にはいかないけれど。


「あれ、カミラさん? とアメリアちゃん」

「クロエ、お疲れ」

「クロエさん、おはようございます」


詰所に着いて中に入ろうとすれば、ちょうど当番だったクロエに呼び止められた。


「もうすぐ交代なのでそれ返しておきますよ。これから登録行くんですよね?」

「助かる。後でお礼するわ」


仕事モードなのか今日は落ち着いている。クロエは何が好きだったかな。


「もう、イチャイチャしてるのを見られただけで充分です! ふふふ、カミラさんが恋人繋ぎ……!」


訂正。やっぱり落ち着いてなんてなかった。ニヤニヤしているクロエは放っておけばいいや。



「手続きはあっという間なんですね」

「書類を提出するだけだからね。この後は登録証明のプレートを受け取れば終わり」


登録に必要な情報を記入して、今はプレートの発行を待っているところ。番登録には登録者の血が数滴必要なのだけれど、リアは血が苦手だから、気づかれないように手のひらを少し傷つけて担当者に渡してある。


「プレートなんて発行されるんですね」

「うん。ネックレスとかブレスレットにして身につける人が多いかな。バッグに入れておくでもいいけど、どうしたい?」

「無くしそうなのでネックレスかブレスレットがいいです」


理由はどうあれ、身につけてくれるのは嬉しい。


「ん、分かった。素材も色々あるらしいからこの後選びに行こうね」


身につける人が多いから、革紐もチェーンも色々な種類が用意されていて、チャームも色々と選べるらしい。どうせ知らないだろうから、と全部イザベラが教えてくれたんだけど。



「わ、名前がちゃんと入ってますよ! あれ、カミラさんどうしました?」


発行されたプレートを受け取って、刻印された2人の名前を見て喜んでいる姿に胸がいっぱいになってリアに心配されてしまった。


「幸せだな、と思って。リアが旅行に来てくれてよかった」

「私も来て良かったです。評判通り治安も良いですし、ご飯も美味しいですし。何よりカミラさんに会えたので」

「リア……」


リアは私をどうしたいの? 加工するのは明日でいいかな? もう家に連れ帰りたい。


「これ、ネックレスかブレスレットにしたらずっと持っていられますね!」


よし、すぐ行こう。明日でいいかな、なんて思いはリアの一言であっけなくどこかへ飛んで行った。



「うわ、すごい種類!」


どこのアクセサリーショップにも用意されているらしいけれど、指輪と同じ系列のお店に入れば、聞いていた通りに沢山の種類があった。指輪を選んだ時にリアの好みは大体分かっているから、この辺が好きそうかな、と目星をつけていく。


「ネックレスとブレスレットどっちにする?」

「うーん……ネックレスですかね」

「ネックレスだとこの辺かな。チェーンと革紐があるけど好きなのある?」

「このチェーンにします」


今回はこれがいい、って自分で選んでくれて、指輪に続いて2回目だし、少しお店の雰囲気に慣れたかな?


「おっけー。チャームはどれがいい?」

「えっ、チャームは大丈夫です」


チェーンはこれ、って言ってくれたけれど、チャームは絶対遠慮してるよね。要らない、って訳でもなさそうだし。指輪の時と同じような感じで決めていこうかな。


「遠慮しなくていいのに。この辺、好きそうかなって思うんだけどどう?」

「あ、可愛い」


いくつかチャームを手に取って見せるとぱあっと笑顔になる。指輪を選んだ時もそうだったけれど、素直だから分かりやすい。


「どれが好き?」

「じゃあ……これで」

「プレート貸してもらってもいい?」


選んでくれたチェーンとチャームと共に預けて、少し待てば加工されて戻ってきた。


「リア、付けてあげる」

「えっ、あ、お願いします」


後ろに回って付ける間、緊張しつつも大人しく待っていてくれて、無防備すぎる姿に信頼されてるんだな、と嬉しくなる。むき出しの首筋にどうしようもなくそそられるなんて気づいてないんだろうな。


「うん、いいね。よく似合ってる」


長さもちょうど良さそうだし、こうして身につけてくれるのを見ると番登録したんだな、と実感する。


「ありがとうございます! カミラさんは何にしたんですか?」

「動く仕事をしている人向けのチョーカーにしたよ」


リアのものと一緒に預けていたから、私の方ももう出来上がっている。こうして見ると同じプレートでもかなり出来上がりの印象が違う。


「へー、そんなものまであるんですね」

「うん。仕事中は外せばいいんだけど、皆外したがらないからね」


皆こんな所までも番への愛が重い。迷わずこれを選んだ私も同類だけれど。


「遅くなっちゃったけど、お昼食べに行こっか。何食べたい?」

「あれ、お会計は……?」


リアの手を引いてお店を出れば、困惑した様子のリアに見上げられる。上目遣いが可愛い。


「ん? もう終わってる」

「え?! 今度こそは少しでも払おうと思ってたのに……」

「言うと思った。そうやって身につけてくれるだけで十分」


本当なら沢山プレゼントを贈りたいくらいだし、これくらいはさせて欲しい。

もしリアが欲しがるならいくらでも貢ぐのに。そんなことしたら怒られそうだけれど、怒るリアもちょっと見てみたい気もするな。


これから色々な表情を見られると思うと楽しみで仕方がない。どんなリアの事も受け入れる自信があるから、リアにとって1番心を許せる存在になれたらいいな。

いつもお読み頂きありがとうございます。第2章完結になります。

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★新作もよろしくお願い致します★
黒狼と銀狼
― 新着の感想 ―
[良い点] 14/24 ・精神面の相性の良さを書きまくる。素晴らしい、今日の私に刺さりました。 [気になる点] 愛に溢れています。独占欲とかもうね、素敵
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