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出会った番(つがい)は同性でした  作者:
第2章 恋人編
11/35

11.制服

ヒロイン(アメリア)視点


カミラさんが挨拶に来てくれて、あの後復活したお父さんが大荒れで大変だった。今思い出してもげんなりする。


内容は教えて貰えなかったけれど、しばらくカミラさんと2人で話していて、最終的には渋々認めてくれた。


認めた、というか番ならもう認めるしかない、と諦めたが正しいのかな? お姉ちゃんの時に、番を見つけたら反対した所でどうにもならないと学んだらしい。


挨拶を終えたカミラさんは帰ってしまったから今は1人で自分の部屋にいる。

ちょこちょこ来る、とは言ってくれたけれど、次はいつ会えるんだろう? 


カミラさんの唇柔らかかったなー。……って変態か私。自分の気持ちを認めたらカミラさんのことばかり考えてしまって、我ながら単純だなって思う。


「アメリア、入っていい?」

「どうぞー」


ドアがノックされて、お姉ちゃんが入ってきた。


「あれ、義兄さんはいいの?」

「今お父さんのやけ酒に付き合ってる」

「あー、それは申し訳ない……」


家の中でも常にくっついているからいいのかな、と思えば私のせいだったらしい。義兄さんごめん……


「私も飲んでたけど抜け出してきた。旅行、楽しかった?」

「楽しかった!」


ご飯も美味しかったし、カミラさんにも会えたしね。


「それは良かった。まさかアメリアが竜人族の番とはねぇ……しかも同性。何があるか分からないね」

「ほんとそれ。お姉ちゃんに色々聞いておけば、って後悔したよ……」

「獣人族と竜人族じゃ違うんじゃないかな? 私も知らないけど」

「まあ、そうかもしれないけど」


予備知識があったら混乱してたのかな?


「大丈夫? 気持ちは追いついてる?」

「うーん、番登録が何か分かってなかったけど、嫌じゃないよ」

「まあ、私たちとは感覚が違うからね」


聞いたこと無かったけれど、お姉ちゃんも戸惑ったりしたのかな?


「お姉ちゃんは義兄さんとの番登録の時って戸惑った?」

「あー、初対面で番だ、って言われて。好みの顔だったし、誰かの唯一ってことにテンションが上がったのと、その時ちょっと酔ってたからそのまま勢いで登録しに行った」

「そうだったの?!」


まさかの新事実。


「そう。でも後悔してないよ。番同士だと会ってその日に登録、って普通みたいだし。私は人族だから旦那の方が戸惑ってたけど。私の方の手続き……あ、婚姻届ね。はさすがに親に挨拶してからじゃないと、って慌てて止めて来る旦那が可愛かった」


ものすごく想像つく。姉御肌なお姉ちゃんに穏やかな義兄さんが振り回されてるもんね。そっか、私の方は婚姻届になるのか。


「それに、今日ほど旦那が獣人族で、番でよかったと思った日は無いかもしれない」

「なんで?」

「あんなに綺麗な人を見たらそっちに気持ちが動くかも、って不安になるじゃん。でも番なら絶対無いから」

「あー、そういうことか……」


そんなことになったら修羅場だし本当に良かった。番じゃなかったとしても、あれだけイチャイチャしていたら心配ないと思うけれど。


「カミラさんと一緒に住むの?」

「まだ話せてないんだけど、どうしたらいいのかなって……」

「そっか。色々これからだね。カミラさんって竜人族なのに自制心が強いんだなって旦那が驚いてたよ。まだ手出されてないんでしょ?」

「はっ?!」


あー、義兄さんには分かるのか。うわ、それってかなり恥ずかしくない? シたら分かるってことでしょ?


「大切にされてるね」

「……うん」


大切にされてることは間違いない。帰したくない、って言ってくれてたし、恋人にはなったけれど、また沢山我慢させてるんだろうな。


お姉ちゃんが部屋を出ていってから、明日から仕事なのに色々考えてしまって眠れそうにない。変な事言うからだよ……



結局寝不足のまま、職場のカフェにやってきた。改装が終わって、全体的に綺麗になっている。


「おはよ……って寝不足?」

「エミリーおはよう。ちょっと昨日眠れなくて」

「旅行どうだったの? 楽しかった?」

「うん。休憩時間にお土産渡すね」


同僚のエミリーと話しながらもあくびが出てしまって、お客さんの前では気をつけないとな、と気を引きしめる。


「おっはよー! うわ、綺麗になってる!」

「アンジーおはよう。今日も元気ね」

「連休でたっぷり萌えを補充したからね!」

「そう……」

「あれ、アメリアどこ行くの?」


寝不足にはアンジーの相手は大変だからエミリーに任せようと思ってそっと離れようとしたら見つかった。


「そろそろ着替えてこようかなって」

「私も行くー! エミリーも行こ!」


更衣室に入って新しくなった制服に着替える。可愛いけど、なんかスカートの丈短くないかな……


「ちょっと丈が短いわね……」

「ふぉぉ……! エミたんの絶対領域、堪らんっ……!!」


エミリーを見ながら、アンジーの視線が怪しい。メイドさんとか大好きだもんね。時々私たちの呼び方もおかしいし……


「アンジー、発言がおっさん……」

「おぉ……! アメリアたんの太ももー!」

「ちょっと、触らせないからねっ?!」


アンジーが手をわきわきさせて近づいてくるのを押しとどめる。


「あれ? ……指輪?」

「え、アメリア結婚したの?!」

「まだ。番の登録と婚姻の届出をこれからする予定」


お姉ちゃんに言われるまでよく分かってなかったけど、カミラさんは番登録、私は婚姻届って別々なんだもんね。

というより、婚姻届って同性でも出せるものだっけ? 確認しておかないと。


「番?! いつの間に……私のアメリアたんが……」

「休憩時間に詳しく聞かせて!!」


今日は改装後の初日でとにかく目の回るような忙しさだった。常連さんはもちろん、新規のお客さんも多く来てくれて、評判も上々みたい。


「はー、疲れたー!」

「忙しかったわね。夜はもっとかな……」


ランチ時間が終わって、ディナー営業までは少し時間がある。交代で休憩を取っているとはいえ、さすがにみんな疲れている。私も寝不足だし、かなり疲れた……


「それで? アメリアのお相手は何の獣人さん?」

「えっとね、竜人族」

「竜人族ってあの? 美形しかいないっていうあのっ?!」


この国では竜人族は見ないもんね。見分けがつかないだけで、もしかしたら居るのかもしれないけれど。ぐったりしていたはずのアンジーのテンションが一気に上がった。


「アメリアのお相手もイケメン?」

「イケメンというより、綺麗なお姉さん。とにかくすごい」

「お姉さん?! アメリアたん、そのへん詳しく!!」


イケメンっていうのも間違ってないけれど。アンジー、クロエさんと気が合いそうだなぁ……


「私、竜人族の同性の番だったらしくて。隣国の騎士さんなんだけど」

「百合来たーっ!! 是非とも近くで見たい。いつ会える? 今日?」

「いや……今日は来ないんじゃないかな……」

「アンジー、落ち着いて??」


カミラさんも仕事だろうし、次に来るのはカミラさんがお休みの日かな? 事前に分かれば休み取るんだけど。

詳しく聞いておけば良かったな。



ディナー営業が始まって、夜はお酒の提供もあるからランチ営業とは雰囲気が全然違って、注文を伝えに厨房に入ってもホールのざわめきが聞こえてくる。

賑わってるなぁ、と思っていたら急に静まり返った。この感じ、なんか覚えがあるなぁ……


「アメリア聞いて! 銀髪で碧眼のすっごい美人な人が来た……あれかな? 2次元から出てきたのかな? ニコリともしないけど、その冷たい感じがまた良い……」


その特徴、来たのって多分カミラさんだよね。


「その人、さっき話した竜人族のお姉さんかも」

「えっ?! アメリアの番?!」


驚くアンジーを置いて厨房を出ると、すぐにカミラさんと目が合った。やっぱりカミラさんだ。


「リア。会いたかった」


優しく笑ってくれて、慌ててついて来ていたアンジーが驚く気配がした。


「私もです! 早速来てくれたんですね」

「お家に行ったらここだって教えて貰って。制服可愛いね」

「新しくなったんですけど、ちょっと短くて」

「よく似合ってるし、可愛いよ。本当なら見せたくないけど、仕事だから仕方ないかな」


似合う、って言って貰えるのは嬉しいけど、そんなに見られると照れる……


「何か頼みました?」

「ううん、これから」

「夜ご飯は食べました?」

「まだ。リアに任せてもいい?」


いい? って首を傾げて、可愛いな……


「分かりました、ちょっと待ってくださいね」


厨房に戻って注文を伝えると、歳下の子達がきゃあきゃあ盛り上がっているのが聞こえてくる。覗いてたのかな?


「さっきの笑顔見た?!」

「見た! アメリアさんが居る時との表情の変化が凄すぎ!!」

「眼福……」


たまに見る無表情もものすごく綺麗だけれど、笑うと可愛くて笑顔がまた眩しいんだよね。


「アメリア、番ってあの人? とにかくすごい、の意味が分かったわ……」

「うん。そう。分かるでしょ?」


他の注文を取っていたエミリーも厨房に入ってきた。


「あれはやばいって……恋人にだけ激甘な超絶美人、最高ですか? 妄想が捗るわー! これだけで1冊書けそう」


アンジー、大人しいと思ったら……どんな本書くつもりなの……


食事を持ってカミラさんの元に向かうと、沢山の視線を感じる。


「カミラさん、お待たせしました」

「ありがとう。リアは何時あがり?」

「今日は朝からだったので19時です」


終わったら少し一緒に過ごせるかな? すぐ帰っちゃうってことはないよね?


「あと1時間か。食べ終わったら外で待ってるから、もう少し頑張って」

「……っ、はい」


優しい手つきで頬を撫でられて微笑まれたら周りからの悲鳴が聞こえた。相変わらず目立つ人だなぁ。 さて、あと1時間頑張りますか。

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