表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モネと樹  作者: I.me
8/49

8


いつもより少し遅く歩き出したモネの前にある道は、また障害物が重なっていた。草が生い茂り道を塞いでいたかと思えば、その先には虫の巣があった。草を掻き分け、虫の巣を駆け抜けて続くのは、また何も無い登り道。そしてまた暗がりが覆い始めると、モネは不安と孤独で押しつぶされそうだった。道は正しいのか、間違っているのか。自分は何をしているのだろうと、故郷の友人はもう皆、それぞれに役割をこなしている頃だろうかと。たった一人で、こんな所で、何をしているのだろうか、と。モネは道の脇に腰を下ろし、膝を抱えて顔をうずめた。


考えれば考えるほどに、考えることが嫌になり、何も思わないまま古い切り株を見つけた彼女は、その陰へ荷を下ろして身体を横にして、近くにあった大きくはない葉を被り小さくなって目を閉じた。上手く閉じられないのか、身体を横にした目からは涙が零れて、余計に閉じられなくなっていた。拭って、また拭ってして、拭った後に滲ませながらもモネは眠ることが出来た。そして気がつくと、辺りは明るかった。


風の音と、木漏れ日の音。虫達はまだ、眠っているようだった。葉の上に溜まった水玉で顔を洗うと、モネは辺りを見渡した。静かで心地の良いとても良い朝にも関わらず、彼女の気持ちは振り返るばかりだった。支度を終えようかという頃、モネは顔を上げて登り坂の先を見た。そこは曲がりくねり、その先は見えなかった。それを見てまたうつむき加減に支度を済ませると、古い切り株にもたれ掛かり上を見上げて深く息を吸い、ゆっくりと吐いた。先のことも、後のことも、もう何も考えたくはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ