7
疲労と傷と痛みと、また疲労とで挟まれていた彼女は直ぐに眠りについた。気がつけば辺りは明るみに溢れ、側にある花の光は掻き消されていた。モネは少し焦りを滲ませながら、辺りを見渡し荷を確認した。何も変わった様子は無く、自分自身も熟睡していた。身支度を整えながら、その違和感は拭えなかった。根から登る時も誰かとすれ違うことは無かった。あの時はわざわざ下の方まで来る者が居ないだけだと、考えることは出来た。しかし今は、違う。街と街の間の道のりなはず。それなのに誰も通った様子が無い。
そんな事を感じながら、彼女はその日も登った。分かれ道は特に無く、無理矢理よじ登ったり滑り降りたりしない限りは、ただ道なりを行くだけだった。それでも、誰ともすれ違うことは無かった。暗くなり始めた頃、道の脇からはみ出るように伸びる枝を見つけたモネは、その先で休むことにした。小さな木の実を摘み、甘酸っぱさが口に広がるも、彼女から出たのは虚しさ混じりの溜息だった。
風に揺れる葉の音に、虫の声。賑やかな暗がりに孤独なモネ、そこへ足されるのは寂しさだけだった。その日は眠りについた後、何度も目を覚ました。「まだ明るくない」と呟き、水を口に含んだ。目を閉じるものの、暗がりに明るさを探して、明るくなるまで眠れなかった。