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「お姉さんはどこから来たの?」
「私は星の降り注ぐ街から来たの。
知っている?」
「分かんない。どこにあるの?」
「ここから下へ向かって進むだけよ。
この場所もとても素敵だけれど、
また違った色で溢れていて良い所よ」
「私も行ってみたい!」
「もう少し大きくなったら行ってみて。
楽しみにして待っているね」
モネはすっと立ち上がると、女の子へ背を向けて歩き出した。そして少し行ったところで振り返ると、まだそこに居た女の子へ手を振った。佇み見つめるその子にまた背を向けて、モネは上へ向かって歩き出した。女の子はモネの後ろ姿を見つめた後、足元に落ちている彼女から落ちた明るい緑色をした葉っぱを拾うと、両手に浮かべて眺めたあと、そっと懐へ閉まった。
モネは歩きながら女の子に自分を重ねて、樹に帰ったお爺さんを思い出していた。お爺さんは上へ行く事に、最後まで賛成はしてくれなかった。諦めにも似たように、渋々認めてくれたようなもので、自分が女の子へ言ったものとは掛け離れていた。確かにここまで来るのには、簡単では無かった。階段などの上へ登る道があったとは言えるものの、それなりには労の必要な道だった。ただ、それだけであんなにも反対するだろうかと、モネは内心でほんの少しだけ気掛かりだった。そんなことを考えていると、彼女の見た先に上へと示す古ぼけた立て札があった。そこにはまた階段が続いて、坂が続いた。しばらく登り続けた彼女は樹にもたれ掛かると、これならば反対するかもしれないと一息ついて、暗くなる前に一休み出来そうな場所まで行こうと、また歩き出した。