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覆い茂らされた縁門の向こうに広がっている街並みに、モネは息を飲んだ。白を基調に緑や茶、それに橙の光が足されていて、角張った物は見当たらない丸みを帯びた造りの建物ばかりだった。
「そこで靴の埃を落としたら、
片付けてしまいなさい。
この街へは、裸足で大丈夫。
靴が履きたければ、
この街用の靴を用意してね」
モネは言われた通り靴を脱いで、置いてあった布で足元や靴を拭ったあと、靴を袋へ入れた。そして一歩踏み出した足に伝わる感触は初めてのものだった。ペたり、そしてまた一歩、ペたりと。つるつるとしていて、踏み出す度に真新しさを感じた。
「ここが来客用の宿だよ。
私はこれから用事があるから、
街並みを好きに見ると良い。
何か言われたら、私の名を出せばいいからね」
街の入り口から直ぐにある宿へ案内され、中へ入るとそこには誰も居らず、宿と言うよりは来客用の家だった。室内は壁も床も、全て白色だった。モネは荷を下ろし丸い椅子へ座ると、ふわふわとしていて驚いた。大きな綿のようなその椅子へ座ると、疲れが流れ出ていくようでとても気持ちが良かった。だらりともたれ掛かるようになった彼女は、薄らと訪れた微睡みと戯れながら天井を眺めていた。
「あ、お団子」
徐に起き上がると、おばあさんにもらったお団子を取り出して、机の上に置いた。美味しそうな甘い香りに、苦味のある葉湯を足そうと、モネは部屋を散策し始めた。食器等が収めてある隣の棚には、種類豊富な葉が並んでいた。光る蟲を捕まえる必要も無く、透明な筒の中に飼われているような状態で置いてあり、水を沸かして少し濃いめの葉湯を入れた。




