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陽向の道をしばらく行くと、木陰の道に差し掛かった。そしてちょうど境目付近から、手の入った道から樹が剥き出しの道になっていった。踏み締めた時に足に伝わる樹の感触に、モネは少し懐かしさを感じながら歩いた。虫の鳴き声を聞きながら歩いて程なく、衝立の付いた大きな筒のような物の前に辿り着いた。衝立を開けて中へ入るソムを他所に、モネは上を見上げていた。
「乗らないのかね?」
「乗る?これが噂の昇降木ですか!?」
「使ったこと無いのかね?!
その通りだよ。さあ、乗りたまえ」
昇降木を初めて見たモネは驚き、そんな彼女にソムは驚いていた。恐る恐るモネが中へ入ると、ソムは外側の衝立を閉じて、中にある衝立を倒した。そして彼が取手を引くと、小さな音を立てながら昇降木は上へ動いて行った。
「わあ、すごい!
登ってますね!上がってますね!」
「あ、あんまり身を乗り出すと危ないよ。
樹陽の街へ来るまでにもあっただろう?」
「散々これを言って笑われたので、言いたくないのですが。私…、登って来たので」
「登って来た!?
今どきそんな者が居るとはね。
いやー、馬鹿だねえ」
「…、はっきりと言われたのは、初めてです」
大笑いするソムと、不貞腐れるモネを乗せた昇降木は、二人の機嫌が変わらぬ間に上の道へ辿り着いた。降りて辺りを見渡すと、木陰の道が続いていた。ソムに続いて進んで行くと、少しづつ道が整えられているのを感じた。目立って変化はこれと無いものの、そのまま進んで坂道を行くと、その先で彼は「着いたよ」と言った。




