表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モネと樹  作者: I.me
33/49

33




「もう僕からは、案内する所はない。

少し疲れたね」


「ありがとうございました。

でも上にも街があるのなら、

そっちも案内してほしいなーなんて思ったり」


「僕はもう、上の街へは入れないんだ。

ごめんね」


「入れない?どうして」


「ここよりも上にある街、樹師の街。

そこには、簡単に言うと一定以上の能力が認められた者しか入れない。

その街に居るのは、この街を造ったりだとか、僕達の在り方を決めるような者達が住んでいる。

僕は僕よりも優れた者が現れたから、居場所が無くなってしまったんだ。それだけじゃなくて、

もう僕の中からは、何も生まれてこない。

空っぽなんだ。だからもう、あの街へは入れない」


「病気、だから?」


「病気、ね。病気か。まあ、病気だよ。

もう僕には何も無い。この街の者にも迷惑だろうし、下へ行ってひっそりと樹に還ろうかと思っているんだ。街の者には軽蔑されるだろうけれど、僕は何も知ろうとせずに上の街に焦がれてこの街に縋りしがみつくこの街を、軽蔑しているから問題は無い。何を言われ何を思われても、気にはならない」


「そんな…。何も無いだなんて、どうして分かるんですか。こんなにも凄い街並みを造れたのに、

また何か造れるようになるかも、知れないじゃないですか!この時計塔だって、私はとても好きです」


「だから、もう出し尽くしたんだよ。

何にも、出てこないんだよ。

時間が経てばと思ったけれど、僕にはもう何も無いんだ。何度も何度も、時間をかけても何も出てこなかったんだ。君には分からないし、分かってほしくない」


ルヒはそれを言い放つと、辺りを見渡して「ごめんね」と呟き、その場を去っていった。モネは、彼を追えなかった。追い掛けて引き止めても、何も言えないことを感じたからだ。二人を避けて通る者達の目に気づいて、見失ってしまったルヒを思いつつ、モネは宿へ帰っていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ