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開いた扉から出ていったモネの、無邪気に喜ぶ声を扉越しに聞いていたルヒは、緑の光が差し込む方へ入って行った。扉から出てきた彼は、緑に圧倒されていた。懐かしいよりも、もっと古い記憶に出会ったような面持ちで緑を眺めているルヒの腕を、駆け寄ってきたモネが引っ張った。
「これ!この四角いの。
私、これに思い切り躓いて転んだの」
「これか、懐かしいね。
この敷き詰めてあるのは、
皆がやってくれたんだけれど。
この一欠片は、僕が埋めたんだ」
「どうしてこの一欠片だけ、
はぐれさせたの?」
「意味なんて無いよ。強いて言うなら、
登って来た時にもうすぐ街だよとか、
足下が変わるから気をつけてねの合図になるかなって」
「とても理由があるじゃない」
「こんなのは、理由にはならないよ」
「そんなこと無いわよ」
「ならないよ。
でも、君は本当に登って来たんだね。
変わっ…」
「変わってる変な子ですよ!」
「躓かないようにね」と、ルヒは彼女を揶揄いながら和気藹々として二人は扉へ戻ると、モネが扉を開きながら立ち止まった。




