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口へ放り込んだ甘酸っぱい木の実を噛み締めながら、通って来た大通りを見た。その先に見える大きいはずの時計塔も、窓からの景色に添えられている。指で摘めるほどだと、手をかざして遊んでいると、ルヒに会うことを思い出した。さらに思い出したように料理の前へ戻った彼女は、ようやく手を付け始めた。
少し料理を冷ましてしまった事を後悔する程に、おばあさんの作ったものは美味しかった。添えられていた小さなお団子は、食べてしまったと思うほどに、美味しかった。先程ソムが絶品だと言っていたのを思い出し、モネは納得した。食事が済んでしばらく、おばあさんが配膳を下げに来てくれた。
「あの、お料理とっても美味しかったです!
ご馳走様でした」
「あらあら、良かった。
お口に合って嬉しいわ。
朝食もお楽しみにね」
おばあさんの笑顔に、彼女は気持ちもお腹も満たされていた。湯浴みしたあと、モネは大通りとは逆の窓際へ腰を下ろした。吹き込んでくる澄んだ風は気持ち良く、風が当たった手足を見て、登っている時についた傷を思い出すもほとんどが治っていた。
明かりを消して布団へ入ると、ワイスと過ごした時を思い出していた。目を閉じながら微睡みの中で話をするのは、とても心地の良い事だったな、と。そしてルヒに関わった事を話したら、彼女はどんな反応をするのだろうかと。怒られてしまうだろうか、心配をかけてしまうだろうか、ワイスに聞いてもらいたい話が出来たな、と。ひんやりとした風と温かい布団は心地良く、モネは直ぐ眠りにつく事が出来た。




