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去っていくルヒの後ろ姿が見えなくなるまで、モネは見送り続けた。そして時計塔を見上げたあと、宿へ戻って行った。暗がりになってから初めて歩く大通りは、明るい時よりも明るくある様にそれぞれに光っていた。
上を見上げると、暗がりは、より暗がりだった。周りの光は、暗がりを目に見せないようにするかのように、光という光に重ねられて覆われていた。街中に居る者たちもその明るさを表すように、明るい時よりも賑やかだった。モネは大通りの雰囲気をかじりながら、上着を深く羽織り直して歩いた。
「あらあら、おかえりなさい」
「やあ、君か。この宿に久しぶりのお客とは。まさか、こんなお嬢さんだとは」
モネが宿へ入ると、玄関でおばあさんと話すソムが居た。ふわりとした気分で入って来たモネだったが、突然な対面に我に返ったように慌てて挨拶をした。
「この街へ来たばかりなんだってね。
どこから来たの?」
「私は…、その。あんまり良い印象は無いかも知れないですが、下の町から登って来ました」
「下の町って?枯葉の集落かい?」
「いいえ、もっと下です。
星の降り注ぐ街、というところから来ました」
「星の降り注ぐ町か。懐かしい名前だ」
「ご存知ですか!?」
「ああ、勿論知っているさ。
私はこう見えても歳は重ねていてね。
星の降り注ぐ町、ねえ」




