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モネの頭の中は、混乱していた。自分は何を言っているのだろうかと、それにワイスの忠告が追い打ちをかけるも、目の前から遠ざかろうとする者から目が離れたがらずに、考えも無しに口が開いて自分の中のものが溢れてしまって、もう一度自分の中へ閉まうことは出来なかった。
「そうなんだ。
それじゃあ、僕の色んな話も聞かされただろう。いいよ、無理しなくて。
じゃあね」
「き、聞いたわ。聞いたけれども聞いただけだし、あなたからあなたの事を聞いた訳じゃない。それに私はこの街へ来たばかりで、まだ知らないことばかりだから。あなたの事も、あなた以外に聞いた話だけで知った気になりたくないの。
だから街の事とか、あなたが本当に建物を考えたのかとか、色々話して教えて欲しいの」
「変わってるね、君。
君がこの街の者じゃない事は、知っているよ。
顔は見た事ないし、この辺の者はそんな香りしないし。僕は別に構わないけれど、街の者にもっと変な目で見られるよ。嫌われても、知らないからね」
そう言って歩き出したルヒに、後を追いながらモネはついて行った。街並みを見て回りながら時折建物を指しては、彼は当時の事を話してくれた。自分の考えや街並みの事を話すルヒの横顔を、モネは話を聞きながら見つめていた。その横顔には、彼が詰まっていた。大きな時計塔に辿り着くと、ルヒは立ち止まってそれを見た。
「今日はもう暗くなるから、このくらいにしておこうか。また別の日にしよう」
「次は、いつ案内してくれますか?」
「僕はいつでもいいよ」
「それなら、明日!
この時計塔の針が重なる頃に、ここで待っています」
「わかった。じゃあね」




