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お腹が満たされても話し足りない二人は、窓からの明かりだけになってからも、夢を見るまで話をしていた。翌日の遅い朝、モネは着替えやらの自分の荷物をまとめていた。借りた衣類や長椅子を片付けている様子を、歯を磨きながら壁に寄り掛かりワイスは見ていた。
「しばらくはこの街に居るんでしょ?」
「うん。まだ見れていないところが、たくさんあるから。ほんとに、お世話になりました」
「いーえ。
また何かあれば声を掛けてね。
いつでも歓迎よ。
じゃあ、気をつけてね」
モネが握手をと手を差し出そうとすると、ワイスはモネをそっと抱き締めた。「頑張ってね」と見送られたモネは、嬉しさに笑顔が溢れると同時に、寂しさに涙も溢れていた。ワイスの姿が見えなくなるまで、何度も振り返って手を振りながら、彼女は宿へ向かった。
大通りへ辿り着くと、立ち止まって涙を拭った。そして深く息をして、吐き出して。荷袋の紐を引き締めると、大通りへ出た。モネが景色に慣れてしまったせいか、宿への道のりは長く感じた。ようやく辿り着いたと一息ついたあと、そっと扉を開いた。カランカランと音が鳴り、モネが呼び声を出そうかとすると、おばあさんが現れた。




