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舗装路を進むと幹に少し大きな戸、いや扉と言った方が見合う様な物が取り付けられていた。蔓や蔦に覆われながらも、存在感のあるその扉にモネは触れた。重たく見えたそれに少し力を込めて開くと、想像よりも簡単に扉は開いた。開いた扉から覗き込んだ彼女が見たものは、今までに見たことの無い物ばかりで溢れる街並が、幹の中に広がっていた。
木造では無い角張った建物に、下の街で見た色合いとはまた異なっていた。陽の光とも蟲の光とも違う橙色の光がいくつも灯り、街は照らされていた。扉から街へ入り見上げると、樹の窪みとは思えないほどの場所。行き交う住民達も、下の街とは違い良い雰囲気だった。星の降る街のように、挨拶が行き交うようなことは無く、彼女を少し見ても素通りしてすれ違って行く。それでも、違和感は感じられなかった。肩に掛かる荷物の紐を握り締めながら、初めての景色に圧倒されているモネは、口を閉じる事を忘れているようだった。
様々なそれぞれを見渡しながら階段を登っていると、大きな十字路に差し掛かった。右の階段の先には、外の光が見えた。モネは迷うこと無く他の道には見向きをせずに、その階段を登っていった。階段を登った先にある外への出口は、彼女が初めて見る景色への入り口だった。出口と入り口の間に触れながら、モネはその光景に「…わあ」と、言葉にならない声を漏らした。




