2話
素人が細々とやってますので適当に流してください。
眼を開けると知らない天井だった。
「アスト!目が覚めたのか!」
大人の人族の男性が俺を見ながらそう叫ぶ。
見覚えがある。
記憶が確かなら父親であるリカート男爵だ。
隣の母も心配そうに見ている。
段々と記憶が鮮明になっていく中で
ここが自室のベッド上であり俺が寝かされて心配されている
という状況までは把握する。
そして知ってる天井だった。
アスト・ローグ。
それが今の俺の名前だった。
すぐに俺が持つ別の記憶と混ざり合うように
馴染んでいくのがわかったが
別の記憶がある事自体がおかしい事に気が付いた。
アストの記憶が鮮明になって行くにつれて心が
俺ではなく僕になって行く。
前よりも今の方が心の占める割合が大きいのかもしれないが
詳しくはわからない。
「父上・・・僕は一体・・・」
「ああ。お前は近隣の森へ遊びに出かけて魔物に襲われたのだ・・・
覚えているか?」
薄っすらとだが記憶が蘇る。
町から出たすぐのところにある森にこっそり飼っている動物たちに
餌をあげるべく訪れていたのだが・・・。
餌を食べる動物を思い浮かべて
・・・うん、小動物っていいよね?
だが、ゴブリンと呼ばれる魔物が
普段は現れないその場所に姿を見せ、
そして襲われた。
必死に逃げる僕に複数のゴブリンが襲い掛かる。
10歳児の身体能力では逃げ切れる事が出来ずに
こん棒のようなもので背中を強襲される。
倒れこみながらも何とか森を抜けたところで気を失ったはず・・・
「ゴブリンに襲われて気を失ったところまでは・・・」
と。その後は?一体どうなってここに?
「そうだ、そして偶然通りがかった人に助けられたんだぞ。」
父は答え。感謝しとけと言い隣に座る人物へと目配せする。
横たえた体を起こして改めて見やり、
「あなたが僕を助けてくださったのですか?」
と口にする。どう見ても普通の女性に見えているが
纏う魔力量が異質だった。隠ぺいしているようだったが
記憶の中にある魔力視を発動させて見れば明らかに
隣の父と比べるまでもなく強大な魔力を持っているのが理解できる。
「ええ、偶々。通りかかり森から飛び出してきたあなたを
私が保護させていただ来ました。」
そういうとぺこりと頭を下げる。
こん棒で殴られた怪我等も治癒魔法で治療をしてくれたようで
体の痛みはほとんど無い。が意識を失うほどの怪我ですぐに回復する
訳ではないのでこのまま寝かせてもらうことにした。
3日程安静にしていた僕は体も回復し、歩けるようになると
助けてもらった女性に礼を告げるべく町の一軒屋に来ていた。
最近、引っ越してきたらしくあまり生活用品が置いてない
質素な部屋に僕は一人で来ていた。
この数日、ベッドに横たわりながらも読書と称して
あらかた歴史書を漁っていた。
現状把握を先に行う必要があったからだ。
体を治すための時間が考えをまとめるいい時間になった。
現状から何らかの要因で前世の記憶が蘇ったと考えるのが妥当なところだろう。
今10歳を迎えたばかりの人間に精巧な魔力操作の方法やコツなど知りようがないのだ。
魔法学ぶのは12歳から学校で学ぶとされているからである。
これも一部の富裕層のみである。
さしあたって貴族の子供たちが大半で魔法技術もたかが知れているようで
魔力視すら満足にできていないようである。
西方歴705年
さらに言えば今は「俺」が死んだ戦争が終結して
すでに500年の月日が流れていた。
予約掲載というのをやってみたんですが
できてるか後で確認してみようとおもっています。