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11話

ゆっくりと意識が戻り目を開けると双丘くらいのアードラの胸が見えた。

状況的には膝枕のようで頭を撫でられているようだ。


「アードラ?」


「あッ。目が覚めましたか、アスト様」


すっと撫でていた手を放しゆっくりと起こしてくれた。

魔物除けの魔道具が効いているのかわからないが周りに魔物はいなさそうだ。

相打ちくらいには持っていきたかったが倒れたのは僕だけだったようで、

アードラに介抱されていたらしい。


「介抱してくれたんだね、ありがとう、アードラ」


ゆっくりと起き上がり体の調子を確かめながら、

かなりの疲労状態である事を確認した。

そしてあぐらをかきながら目をアードラに向ける。


「まぁ、そうですが、言っておく事があります」


そう言うと真面目な顔で


「あの最後の身体強化は使ってはいけません。

 あれは体の限界を超えて酷使する事で

 一時的に得られる強さで確実に体を壊します。」


あれかぁ~。

まぁレベル3がどういうものか見た目では解らないので、

体が壊れる寸前まで強化していたのだと思っているのだろうが・・・

ここはまぁ一般常識としての方を優先する。


「・・・はい。分かりました」


頭を下げて心配をかけた事を謝っておいた。


「それにしても・・・いつの間にあんな強くなってたんですか?

 昨日までの稽古では全く見せてなかったですよね?

 明らかに可笑しいレベルでパワーアップしてますよね?」


一体どういうことなの?と詰め寄るアードラ。

それも仕方ない事だろう。

いきなり素人が剣豪レベルになったようなものだからな。


「色々と裏でこっそり修行して、まぁ強くなった感じだよ」


「一か月そこらでそんなになるわけないでしょう」


何故か怒られた。

うーん、まぁ能力を高めるための知識が豊富にあってそれができた財力があっただけである。

そのため実は、もうお金がない。

貴族の子供といえど裕福ではない。

特にうちの家は大変な貧乏貴族である。

僻地で領民が少なく王都からも離れていて流通もなくかと言って特産品等があるわけでもない。

代々継いできただけの領地だ。

財政が結構厳しかったりするのだ。

そして貯めていたお小遣いをすべて使い切り、身体能力、

魔力の向上のため各ポーション購入へと費やしたためだ。

親にお金を出してもらっているのはアードラの雇い賃くらいだ。

さすがにこれ以上はない。


「まぁ実はちょっとばかりお金をつぎ込んでます」


「は?お金?」


理解ができないという顔でこちらを見るので説明することにした。

まずは、身体能力だが結局の所、身体能力は必要な運動とその回復で伸びていく。

素早く回復する魔法薬であるポーションを使えばその運動と回復を

繰り返す事が可能となるのだ。

次第に上がりにくくなって最後には限界はあるけれど。

魔法も同じで使い切ってしまって回復を繰り返す事で伸びていくのだ。

この回復薬にお金をつぎ込んで今のレベルの力を得たのである。


「アードラは何となくわかるんじゃない?

 強敵と戦ってたら段々と強くなっていく感じが」


そしてある程度の事を簡単に説明すると納得したのかしないのか・・・。


「そういわれるとそうだけれど・・・

 そこまで的確に能力が上げられるアスト様がやっぱりどこかおかしいと思う」


何故か僕を変な人風にのたまう。

まぁ、実際は経験則のたまものだ。

魔王時代の能力向上訓練を思い出してやったまでである。


「僕がおかしいかはともかく!

 これ以上の強化はちょっと難しいんです」


「なぜですか?」


「貧乏だからです!」


そうはっきり言う。貧乏が悪いのだ。お金が尽きたのだ。

能力向上はしたが全力では数分持たない程度だ。

体力、魔力共に全然足りていないのが現状である。

お金とそれに伴っての能力向上施策をしなくては!


「まぁ別にいいんじゃないですか?」


そのままでも。というアードラ。


「貴族であるアスト様がそこまで力に拘る事もないのでは?」


言いたい事はわかっているつもりだ。

貴族であるならばそのための能力を上げるべきと言いたいのだろう。


「言いたい事はわかるよ。

 僕もね、今までは兄さん達の補佐で領地運営をするつもりで頑張ってたんだけどね」


両親の庇護の元に兄達に甘やかされて育ってしまった。

今までの僕は選択支がそれしかなかったと言っていい。

愛されているのは解っているが少しあの人達は甘やかしすぎるだろう。


「それでは駄目だと思うんだよ」


魔王の最後の時に裏切りと圧倒的な力での弾圧。

それから学んだ事として必要なのが信頼できる者と

蹂躙されないための力と権力だと思っている。


「まずは僕は独り立ちする事に決めて、

 それに必要な事をしたいと思って君を雇い入れたんだからね」


真剣なまなざしを向けてアードラを見る。


「そしてまずは・・・」


ごくりとアードラが喉を鳴らす。

僕は貯め気味に言った。












「お金稼ぎだ!」


そう、貧乏が悪いのだ!

冒険者になって一旗揚げるのだ!

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