表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/33

歌練習

 その日から、クロナの猛特訓が始まった。

 歌の練習は、主に信二が担当している。場所はカラオケが主で、たまにスタジオなどを借りたりもしていた。クロナの課題は、高音のか細さ、発声の切り替えの二つだ。もちろん他にも改善点はあるが、真っ先に直さなければならないのはこの二つだ。


「まず、高音から改善していこうか」


 高音がか細くなる理由は、主に呼吸の質が悪い、というものがある。今のクロナの呼吸法は、胸式呼吸と呼ばれるもので、息を吸うときに腹部をへこませて吸う方法となっている。胸式呼吸でも歌を歌うことはできるが、このままの呼吸法だと、十分な量の息を吸うことができないため、発声が安定しない。所謂、芯がない歌声になってしまう。それを改善するために、まずは呼吸法から改善していくというのが信二の狙いだ。


「呼吸法って、どうやって改善するんですか?」


 歌に最適な呼吸は腹式呼吸といわれている。胸式呼吸は息を吸うときに胸を膨らませるものだが、腹式呼吸は息を吸うときに腹部を膨らませて吸う方法だ。腹式呼吸なら、胸式呼吸よりも発声が安定するため、芯のある歌声が出るようになるのだ。


「なるほど。それで、どうやってその腹式呼吸をすればいいんですか?」

「やり方は難しくない。というか、クロナだってやったこと自体はあるはずなんだ。まずは横になってみてくれ」


 クロナは信二の指示通りに横になった。


「その状態で、鼻から息を吸ってみてくれ」


 横になった状態で鼻から息を吸うと、腹が膨らむ。つまり、睡眠中などは腹式呼吸になっているということだ。


「結構簡単にできるんですね」

「まあ、問題はそれを立ったままでできるようにすることなんだけどな。これが結構難しいんだ。意識してやらないと見につかないからな」


 腹式呼吸のやり方は多くのアイドルも知っているが、それを完璧にできている人物はほとんどいない。腹式呼吸を身に着けることはそこまで難しいものではないのだが、やアイドルというものは単に歌をやっていればいいというものではない。

 テレビ出演や地方での営業など、やることは山のようにある。そのため、ボイストレーニングに集中できず、発声練習や呼吸練習がおろそかになりがちなのだ。


「普段から鼻から息を吸うことを心がける。そして腹がきちんと膨らんでいるかどうかを確認するんだ。それを毎日続けることで。いつの間にか腹式呼吸ができるようになるぞ」

「わかりました! 早速今から意識してみますね」


 クロナは腹部を膨らませることを意識しながら呼吸をする。

 まだまだ未熟ではあるが、徐々にコツを掴んできたようだ。


「よし、じゃあ今日は腹式呼吸を身に着けて終わりにするか。あんまりいっぺんにやると覚えきれないだろうし」

「はい!」


 クロナは元気よく返事をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ