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新屋彩希①

 プロダクション内は、弱小事務所だからか狭かったので、三十分ほどで全てを見回ることが出来た。


「まあ中はこれくらいですね。後は、……クロナさんに合わせたい人がいるのですが」

「私に合わせたい人? それは一体誰ですか?」

「きっと君と意気投合すると思うよ」


 そういいながら飯田は社長室のドアを開けた。社長室には、クロナと同い年くらいの少女がソファーに座っていた。


「紹介しよう。福岡から来た新屋彩希(あらやさき)さんだ」

「あ、社長遅いよー。それで、この人たちが私に紹介したかった人たち?」


 彩希と紹介された少女は、クロナたちをじっくりと観察し、そして


「よろしくね。えーと……」

「あ、私はクロナって言います。よろしくお願いします」


 クロナは軽く自己紹介をし、彩希に向かって丁寧なお辞儀をした。


「クロナちゃんか、よろしくねー。というか、タメ口でいいよ。同い年くらいでしょ? 私は今十三歳だし」

「私は十五歳です」

「うっそ!! 私と背はそんなに変わらないのに二つ違いなんだ」


 彩希は気さくにクロナに話しかけてくる。クロナの様子を見てみると、どうやら初対面の人間にここまでフレンドリーに接されることに戸惑っているようだ。


「あの二人は仲良くなれそうですね」

「ああ。彩希さんは明るい性格で誰とも友達になれるような子だからね」

「ところで、なんで彼女をクロナに合わせたかったんですか?」


 明佳は飯田に質問した。


「ああ、そのことか。二人とも聞いてくれるかな」


 クロナと彩希は会話を止め、社長に注目した。


「実は君たち二人でユニットを組んでもらいたいと思っているんだ」

「……え?」

「ユニット!? ってことは私デビューできるんだ!!」


 突然の報せに戸惑っているクロナとは裏腹に、報せを聞いて喜んでいる彩希。


「ああ。クロナさんと彩希さんが力を合わせれば、きっと素晴らしいユニットになる。私はそう確信しているよ」

「よーし、燃えてきた! というわけでクロナちゃん、これからよろしくね」

「あ、はい……。よろしくお願いします」


 差し出された右手を握ったクロナは、この状況に混乱しているように見える。


「そして、彼女たちのユニットの曲を平野くんに、ダンスの振り付けを喜多さんに担当してもらいたい」

「え!?」

「あの、私はまだ」


 飯田の発言に、明佳は反論しようとする。


「わかっていますよ。これは私の申し出を引き受けてくださったらの話です。ですが、悪い話ではないと思いますよ。もちろん、お二人の報酬もそれなりのものとさせていただきます」

「おお! ありがとうございます!! 飯田社長は神です!!」


 太っ腹な対応を見せる飯田に心酔するかのように感謝する信二を、呆れたような眼差しで明佳は見つめた。


「何というか、こうはなりたくないなって思うわ……」

「私も、同感です……」


 クロナもそれに同意した。

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