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第6話

◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 週が明けて月曜日。

 朝から西園寺が封筒を寄越してきた。放課後に会いたいという。

 また告白か? 1日1回はモーション掛けてくる西園寺、いったい何回振られたら気が済むのだろう。さあて、今日はどう切り捨ててやろう。「鏡見て出直してらっしゃい」は先週金曜に使ったセリフだし「諦めなさい、この駄犬!」はその前日に吐き捨てた言葉だ。こうなりゃ三回まわってワンと言わせてやろうか? って、もしかしてあいつMなのか? だとしたら、僕は知らないうちに西園寺を喜ばせていたのだろうか――


 そんなことを考えながら出向いた体育館の裏、西園寺は既に待っていた。


「来てくれたんだね、姉小路さん」


 いつものキザっぽい彼だけど、今日はどこか張り詰めた空気を感じる。


「どうしたのかしら西園寺さん。何回、何十回、何百回土下座されても返事は同じですけど」

「姉小路さん、エンコーしてるよね」

「は? エンコー?」


 エンコーしてるって何? 『円弧してる?』じゃ意味通らないし、『エンコードしてる?』も理解不能だ。まさか『縁故してる?』って、僕と学園長の関係バレた?


「エンコーだよ、えんこう。援助交際。土曜に日本橋をおじさんと遊んでたよね」


 スマホを突き付けられた。

 そこには見目みめ麗しき僕と三崎さんが一緒に雑居ビルへと入っていく写真が。


「援交なんかじゃないわ。お知り合いの人と一緒に歩いていただけ」

「酷いよ! あんなオヤジとは楽しそうに遊ぶくせに、この俺は徹底的に無視するなんて――」


 いや、付き合ってるわけでも金貰ってる訳でもないんだけど。なんか、めんどくさいことになる予感。


「ねえ、一度でいいから俺ともデートしてくれよ。なあ!」

「イヤよ」

「1回だけ、ホントに1回だけ。それで諦めるから。頼む、この通り!」


 こんな写真、学校にチクられても怖くない。何も悪いことをしたわけじゃないし。まあ、脇が甘いと母に怒られるかもだけど。しかし、今こいつを地獄に突き落としたら、逆ギレするかも知れない。自棄やけになって写真をネットに拡散するかも知れない。西園寺は決して悪いやつじゃない。だけど人間追い詰められたら何をしでかすか分からない――


「分かったわ。一度だけデートしてあげましょう」

「ホ、ホント? ホントに?」

「ええ、女に二言はないわ。その代わり、この1回だけでわたくしのことは諦めて、その写真は消去すること。いいわね」




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