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はじまりー3

 学院に戻ってみると、最初来た時は、全くの無人だったが、放課後か休憩時間らしく沢山の同い年くらいの男女が沢山いた。他にも、いかにも教授のような老人もいた。しかし、全員がリリーと同じような服装をしている。だが、リリーとは違う所は、リリーには胸のところに、多くの勲章のような物が付いているが同い年くらいの男女は付けていない。老人も勲章のような物が付いているが、リリーと比べると全然少ない。リリーが学院長であり、王族ということが、実感できた。

 それに比べて、僕は、日本の普通の高校生の制服姿だ。皆、何者かという目で見て来ている。しかし、リリーに対しては、全員、頭を下げる。そして、その後ろにいる僕をまた何者という目で見てくる。そんな中でリリーは、

「私に付いて来て」

 と言って歩いていく。僕も、それに続いて、歩く。皆の視線を感じながら歩いていく。さすが、大きな城だと思うほど、どんどん歩く。そして5分くらいかけてやっとついたらしい。

 リリーが部屋のドアを開け入るように促す。

 入ってキョロキョロ見回していると

「ここは、私の部屋よ。ここなら他の人に話を聞かれる心配はないから秘密の話があったらここで話してね。」

 と笑顔で言われた。また、

「立ち話もなんだからそこのソファーに座って。あと、何か飲みたいものとかある?」

 僕は、ソファーに座ったが、好きな飲み物と言われても、この世界にどんな飲み物があるかなんてわからない。でもせっかくなので、

「オススメで…」

 と言うと、ちょっと待ってね、と言い魔法らしきもので湯をポットに出し、お茶を入れてくれた。そして、僕の座っていたソファーのところへ持ってきて、他にもイスがあるのに、僕の横に座った。

 リリーがポットからそれぞれのカップに注ぎ自分用を美味しそうに飲んでいる。

 だが、リリーが入れてくれたものとはいえ、異世界のお茶だ。恐る恐る飲んでみる…。すると、王様との食事の時と同様でこれまでの人生の中でここまで美味しかったものはない。というほど、とても美味しい。そうリリーに伝えると、リリーはそれを聞いて喜んでくれた。箸の件に引き続き、気に掛けてくれていたのだろう。さすが若くから学院長なわけだ。そんなことを思っているとリリーが、

「さっき、おじいさまが言っていた通り、今この世界は、とても荒れているの。だから君にこの世界を救って欲しい。君には、その力がある。だから勝手な話だけど君には私の学園に入ってその力を伸ばして欲しい。そして、この世界を救ってほしい。もし引き受けてくれるなら、私にできる事なら何でもするわ。この身を捧げてもいい。他にも、富や権力、私たちにできることは何でもする。だからお願い。でも…危険も伴うから、もちろん、断っても、構わないし、一切恨んだりしない。この世界の問題を全部押し付けようとしているのだから、断ってもおじいさまや私ともさっきまでとおんなじような関係で…」

 とリリーは言った。

 しかし僕は、即答で、

「僕は、どんなことができるかわかりません。でも僕にできることがあるならどんなことでもして、この国を、この世界を救います。」

 そうリリーに言った。するとリリーは抱きついてきて涙を流し、ありがとう、ありがとう…と何度もお礼を言ってきたのだ。僕は、当たり前のことをしただけのつもりだった為、とても動揺した。しかし、リリーが涙を流して喜んでくれて、まだ、モンスターを倒していないのにと戸惑いもあったが、嬉しく、必ずこの世界を救おうと誓ったのだった。


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