はじまりー1
僕は意識を失っていた。そして目を覚ますとどこかの中世ヨーロッパのお城の図書館のような部屋にいた。しかしここには誰もいない
「ここはどこだ」
こう呟き、あたりを見回していると一人の女性がやってきた。この女性は歳は20歳前後のような感じでとても可愛い。格好は大学の卒業式でよく見かけるような感じの服だ。
「こんにちは、ここはエレファスト王国国立第一学院よ。私は、ここの学院長で、名前はエレベスト・リリーっていうの。リリーって呼んでね。君は岡野コウキ君よね」
とっさに、僕は、
「なんで僕の名前知っているのですか」
と尋ねると、
彼女は、
「手紙が送られてきたでしょ。あれを送ったのはわたしだから」
と答えた。
「でも、なんで僕なんですか。確かにあんな世界は嫌ですけど…」
すると
「その話はおいおいするわ。それより王様があなたをお待ちよ」
僕は、王様?僕を待っている?と、訳がわからなかった。しかし、リリーが、王様の所へ行こうというので、ついて行くことにした。
図書館のような部屋を出ると、中世ヨーロッパの城そのものだった。それもとても大きくて、よくアニメやゲームの中で出てくる世界そのものだった。しかしリリーと僕以外には誰もいない。僕はリリーに、学院って言っていたのにどうして誰もいないのか尋ねると、今は講義中だから、でもこの学園には生徒が1200人ほどいると言う。僕としては、城の大きさからするともっといると考えていたため、少ない気がするのだが…と思いながら歩いているとリリーが、ここよ、と言って止まった。広間中心で立ち止まったリリーは何かを唱え始めた。するとこの世界にやって来た時のような大きな輪が目の前にでき、リリーは僕の手を握って来た。僕が戸惑っていると、
「さぁ、王様のところへ行くわよ」
と言って僕の手を引っ張りながらその輪に入っていく。僕もそれにつられてその輪に入っていった。