二話~悪魔の天敵?1~
これは夢だ――
ハッキリと分かった。でも、肌に感じる風も、手に触れる草木も、踏み締める土も、現実味を帯びている。
それでもこれが夢だと分かった。
見たことのない景色だった。
木々に囲まれた古い教会。蔦に覆われたそこは、来る者を拒んでいるようにも見え、何かを封じているようにも思えた。
オレは、しかしゆっくりとそちらに向かっていた。
足が止まらない。拒まれているのに、呼ばれている。矛盾している。
だから、夢だと思うのかな?
古びた扉は、半分開いていた。これ以上触れたら、壊れてしまいそうだ。
だが、オレはそれに触れる。ひんやりとした感覚が伝わってきた。
大きく軋んで、扉が開いた。視界も同時に開ける。
かつて人々を導き、癒していた場は、荒れ果てていた。誰も訪れなくなったそこは、外見の小ささを想わせずに、ただただ広い空間だった。天井が高いためか。とても明るい。でも、陽ではない。窓には分厚い板が打ちつけられていた。
何の光だろう?
人の気配はない。でも、誰かがいる。そんな気がした。
『誰かいるのか?』
声が罅割れた床や壁に反響した。一歩踏み出す。時間と共に朽ちた椅子は、小さな破片となって、床を覆っていた。それを踏み締める度、足音は無数の声のように鳴り響く。
礼拝堂の奥に、ステンドグラスの窓と女神の像があった。女神の像はキラキラと何かに照らされている。いや、それ自身が光を放っている。そしてその光は、段々と強くなった。
『……』
オレは無意識だった。
『…………』
夢だから、意識も何もない。
でも、オレは確かに知っていた。
この像の――女神の名前をオレは……




