マイシスターの滅茶苦茶なお願い ティル編
「さて、これからどうする?」
「そうね、手始めにこの国を支配するわ」
アリシアのお城の中でも一番高い場所から街を見下ろしてティルは怪しく笑うようにそう言った。
「ティルもそういう冗談言うんだな」
「花も恥じらう乙女よ、それぐらい言うわ」
「今日はいつもより暴走しておりますなぁ〜」
「当たり前じゃない、久しぶりにあなたと二人でいられるもの」
ティルは振り返り俺にそう微笑む。
普段は笑顔を見せないティルが優しく笑顔を浮べるものだから今日は始まったばかりだというのに初っ端から心臓を撃ち抜かれちゃいましたよ。
「それで今日はどうされますか、お嬢さま」
「せっかくだしエスコートしてくれるかしら?」
ティルはそう言って漆黒のドレスの裾をちょこんと摘み少し持ち上げる、よく偉い人達がやる挨拶だな。
「喜んで、お姫様」
「それじゃあお願い」
ティルのそっと差し出された手を優しく取ると俺はその手を繋いだままティルと一緒にお城から出ていくのだった。
女の子といえばショッピング、そして定番なのは服屋さんだ。
ということで今俺たちはザルバさんのお店『マーベラスキューティー』に来ている。
「ティルちゃァァァァン!!いらっしゃぁぁぁいい!」
「うざい」
「アーン!今日もツンデレっぷりが最高よぉぉ!!」
「うるさいわよ、ほんとに」
「あらごめんなさい、だってティルちゃん滅多に来てくれないんだもの。私寂しくてって」
「いつも来てるじゃない」
「そうだけどぉ!姿見せてくれないじゃないのぉ〜」
「姿もちゃんと見せてるじゃない」
「違うのぉぉぉぉソウジャナイノヨォォ!!」
「まぁまぁザルバさん一旦落ち着いて」
暴走しかけてるというかもう若干暴走しているザルバさんを宥める。
暴走の原因であるティルは涼しい顔でツーンとしている。
可愛い。
「もぉ〜、もうちょっと顔出しに来てもらえると私はとっても嬉しいのだけど」
「善処するわ」
「それはされないやつだな」
「もぉーいけず!」
ザルバさんは茶目っ気たっぷりにポーズまで決めて言ってるいるがガタイが良すぎるせいで色んな意味で凶器がかっている。
そんなことは口が裂けても本人には言えないけどな。
ティルもそんなザルバさんをスルーして服を見ている。
そんなティルにザルバさんが近づく。
「ティルちゃん用に取ってある服があるのだけどちょっと着ていってみない?」
「ふーん、いいわよ、持ってきなさい」
「んふふ〜ティルちゃんならそう言ってくれると思ったわよ〜」
ティルはああしてザルバさんに冷たい態度を取るがその裏、実は結構好いてたりする。
それは長年ティルを見てきた俺が保証しよう。
「これは少し露出が多すぎないかしら?」
「綺麗な女は肌を見せつけてやるものよ」
「まぁ…、あいつの前だけでなら…」
「んふふ、もちろんよぉ。それじゃあこれ試着室に置いておくから後で見せてあげて。私はしばらく外の花壇の手入れをしておくから」
「ふん、気が利くじゃない」
「うふふ、褒めくれて嬉しいわ。それじゃあゆっくりしていってね」
ザルバさんはそう言うと店の出口に向かっていった。
俺の横を通り抜ける際に「じゃあ後は任せたわよ」と投げキッスをして店を出ていった。
既にティルは試着室に向かったのか姿が見えなかった。
代わりにシャーッとカーテンが閉まる音がしてそっちを見てみると試着室の一つがカーテンで閉じられていた。
俺は試着室の前に置いてある休憩用の椅子に腰をかけて待つ。
しばらくして中でゴソゴソと動いてた気配が静かになった。
するとカーテンが再びシャーッと音を立てて開いた。
「どうかしら?」
そこには女神がおられた。
そんな女神様は純白のドレスを身につけていた。
普段は黒のゴスロリを着込んでおられる女神様だが今は全く真反対の色のドレスを着ている。
ヒラヒラしたものは一切なくシンプルなドレス。
いつもとのギャップが強すぎて眩しい!
それにティルの美しい黒髪が靡いてとても似合っている。
いつもよりすごく凛としていて大人っぽく見える。
「滅茶苦茶似合ってるよ」
「そう」
ティルはそう短く返事するとプイッとそっぽを向いた。
でもその耳は傍目から分かるほど赤くなっているので照れてるのがバレバレだ。
「普段来てるのとどっちがいい?」
「どっちも好き」
「ばーか」
俺の返事にさらに顔を赤くするティル。
「またそこで待ってなさい、まだ見せたいものがあるから」
「あいあいさー」
そう言うとティルはまたカーテンを閉じて中でゴソゴソとしだす。
今のドレスは俺がティルに似合うだろうなーって見てた服なんだがどうやらそれをティルに見られてたらしい。
さすがはティルお嬢様、お鋭い。
そして今着ているのはきっとザルバさんにおすすめされた服だろう。
どんな服なのかすごく楽しみだ。
何せザルバさんのセンスは世界一だからな。
しばらくしてまた中の様子が静かになると今度はゆっくりとカーテンが開いていく。
そこにティルが顔だけ出す。
「見すぎたら殺すから」
そこには既に顔を真っ赤にしたティルがいた。
ん?どういうことだろう。
カーテンはやがて全開に開けられティルの姿が現れる。
そこに至って普通のベージュ色のセーター服を着たティルの姿があった。
下のズボンやスカートが履いてないのが気になったがそういうことだろうか?
いやでも、十分セーター服が大きいおかげでちゃんと下も隠れているし。
一体何がそんなに恥ずかしいのだろうと悩んでいると、ふと後ろの鏡が目に入った。
そこには惜しげも無く綺麗な色白の背中を晒したティルの後ろ姿が…。
よくよく見れば両サイドも開けているのか少し服が前のめりになっている。
よく観察していると大事なところが見えてしまいそうで…
「おぅ…」
「このばかっ!」
ティルの罵声とともにカーテンは勢いよく閉じられティルのファッションショーはこれでおしまいとなった。
あれからザルバさんの店を後にして俺たちは人気のない少し街から外れた公園のベンチで休憩していた。
「こんなもので機嫌をとるつもり?」
そういうティルは生クリームたっぷりのクレープを美味しそうに頬張っていた。
意外かもしれないがティルはリーナと肩を並べれるくらいの甘党なのだ。
「んや、ここのクレープ屋さん滅茶苦茶美味しいからティルにも食べさせてあげたかっただけ」
「…そう」
あ、また照れてる。
今日のティルはデレデレで可愛いなぁ。
ココ最近はツンツンしてばっかだから癒される。
「ん、それでこれからどうする予定?」
クレープを食べ終えたティルはベンチから立ち上がり先程買った純白のドレスをフワリと浮かせるように半回転する。
その姿は正しく天使だ。
「そうだな〜」
一応プランは考えてあるが今から夕飯というのもな…。
クレープ食べさせちゃったし、ちょっと運動してからの方がいいだろうか?
「ねぇ、何も無いのなら少し私に付き合ってくれない?」
俺が迷っているとティルから切り出してくれた。
「もちろん、どこへでもお付きいたします」
「ふふ、ありがとう」
俺はそのままティルに手を引っ張られその場を後にするのだった。
ティルに連れてこられたのは何も無い平原だった。
ただただ平坦な平原が広がっている。
街からもそこそこ距離が遠い。
時刻は夕暮れ、日ももう沈みかけていて向こうの空では薄暗い闇の中で綺麗に星が瞬いている。
「綺麗だな」
「えぇ、そうね。私のお気に入りの場所よ」
「ほほぅ、ティルはロマンチストだな」
「静かなのが好きなだけよ」
そういうティルは俺に背を向けたまま沈みゆく夕日を眺めていた。
俺はそんなティルの姿にでさえ見惚れてただその様子を黙って後ろから見ているのだった。
もうほんの少しで夕日が沈む時、ティルがこちらに振り返った。
「ねぇライ」
「どうした?」
「魔剣の正体がなんなのか知ってるかしら?」
「唐突だな」
「そうでもないわよ」
「そうか」
「えぇ」
「にしても、魔剣の正体か。考えたこと無かったな」
「まぁそうでしょうね、魔剣は魔剣そのものだという考えが当たり前だもの」
「ティルは考えたことあるのか?」
「考えたことはないわ、ただ知ってるだけ」
「知ってるのか」
「えぇ、知ってるわ」
ティルはそこで間を置いて俺をじっと見つめる。
俺はそんなティルにじっと見つめられて少し気恥ずかしくなり話を続ける。
「それで、その魔剣の正体っていうのはなんなんだ?」
「あなたは私の主だし特別に教えてあげるわ」
「ほぅ、そいつは嬉しいな」
ライがおちゃらけてそう言うとティルは口角を少しだけ釣り上げて笑う。
その姿はいつも見るティルよりもあまりにも怪しく、それでいてなにか惹き込まれるようなオーラを放っていた。
「魔剣の正体は…」
そこで一度ティルは言葉を区切り、自らの手にティルフィングを顕現させた。
その剣を愛でるように一撫ですると彼女の鋭い眼光が俺を射抜く。
「魔女の成れの果て、よ」
彼女は静かにそう言った。
同時に日が完全に沈み辺りは紅い暗闇に包まれた。
1ヶ月半ぐらい更新が止まって申し訳ない!
元気にしていたか皆の者ー!
ココ最近暑さが半端ないな!!
コロナだけでなく熱中症にも気をつけるのだぞ!まじで!!
それはそうと近いうちにめちゃシスをもう一本更新できるように頑張るぞ!何せ次はこの章のラストスパートだからな!妄想が止まないうちに書いてしまうぞ!
ということで、こんな更新がと止まったりするような『めちゃシス』を読んでくださってる皆様、ありがとうございます。
少しでも皆が楽しめたらいいなって思ってます。
自己満のような妄想小説ですがこれからもどうぞ見てやってください。
それでは長くなったので我はここら辺でサラダバー!
ネア「ティル」
ティル「なにかしら?」
ネア「私も魔剣になる、の?」
ティル「なるんじゃないかしら?」
ネア「そうなの、ね」
ティル「不安なの?」
ネア「違う、もしそうなってもライに使われたい、の」
ティル「そっ、それなら好きにするといいわ。使い主を選ぶのはどちらにせよ貴方だもの」
ネア「そう、ね」
ティル「そんな先のことなんて考えなくてもいいのよ、ネアはまだちゃんと肉体があるんだから今を生きなさい」
ネア「励まし?珍しい、ね」
ティル「珍しくなんてないわよ、私はあなた達の姉でネアにとっては先輩なんだから」
ネア「先輩?」
ティル「そうよ、だから私の言うこともしっかり聞く事ね」
ネア「…ふふ、うん、そうするね」
ネア「次回」
ティル「血の宴」
ライ「次もちゃんと見てくれよな!」




