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滅茶苦茶なシスコン剣士の妹件  作者: 魔王
過去よりも未来よりも今を生きる血族たちへ
79/83

マイシスターの滅茶苦茶なお願い リーナ編

1時間ほど投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでしたァァァァ!

昨日はあれから何事もなくアリシアとのデートを終えた。

むしろこんなことでいいのだろうかとこちらが不安を覚えるぐらいに。

でもそんな不安も最後にアリシアの飛び切りの笑顔を見て吹き飛んだ。

きっとアリシアにとってはこんな何気のない日常が何よりも大切なんだろうなって思った。

ほんと、心の底からいい子なんだなって。


ということで本日は二日目、リーナの日だ。

なのでみんなとの朝食を食べ終わるとリーナは早々にライの手を取り城を後にするのだった。

何も聞かされずに辿り着いた先は…。

「どうした、なんか忘れもんか?」

ラッフ亭の入り口でリーナと一緒に立っていると、ちょうど中から玄関前の掃除に出てきたのか宿主であり俺たちの恩人でもあるらいがるが姿が。

ライガルは俺たちが扉の前にいるのに少し驚きはしたが何事も無かったようにそう聞いてくる。

そんなライガルの問いにリーナは首を横に振る。

「おうそうか、そしたらどうした?ここが恋しくなったか?」

ライガルはそうおちゃらけてリーナに男ながらに好印象がある笑い方でそう聞いた。

そしたらリーナはその答えに首を縦に振る。

「ん」

「お、おう、そうか」

予想外のリーナの返答にライガルは少し照れながら掃除に向かう。

「あー、部屋はそのままにしてあるから好きに使え」

「んっ」

そう言ってそそくさと行こうとするライガルの手をリーナが掴む。

「リーナ?」

ライガルが不思議そうに首を傾げるとリーナが面と向かって言う。

「てつ、だう」

そう言ってライガルの持っていた箒を奪って掃除を始める。

理解が追いつかないのかライガルは俺の方を見て不思議そうにしてる。

そんな俺を見られてもお兄ちゃんだからって妹のことが全てわかるわけじゃない。

ただ分かるのはリーナはライガルのお手伝いがしたいということだ。

だったら俺がとる行動も決まっている。

「ライガル、まだ箒余ってたよな」

「お、おう」

俺はそれだけ確認するとラッフ亭の中に入り掃除用具入れから予備の箒を取り出してリーナと一緒に掃除を始める。

「ここはやっておくから中でゆっくりしたら?」

「ん、ん」

俺の言葉にリーナもそうだと言わんばかりに頷く。

「あー、んー、そうさせてもらうか」

歯切れは悪かったものの俺たち二人に押されてライガルはラッフ亭の中に戻るのだった。

「♪」

リーナも嬉しいのか箒が踊っているように見える。


掃除を終えてラッフ亭の中に入るとライガルが両手に俺たちが使っていたマグカップを持ってきた。

「ありがとな、せっかくの休日なのに手伝ってもらっちまって」

そう言ってココアの入ったマグカップを手渡してきた。

俺とリーナはありがたくそれを受け取り一息つく。

「俺はいいよ、今日一日はリーナの言うことをなんでも聞く日だから」

「なんだそりゃ、そんなのいつもの事じゃねぇか」

そう言って三人でテーブルに着く。

リーナも貰ったココアを小動物みたいにちびちびと飲んでいる。

そんなリーナも可愛すぎる。

「んで、最近どうよ」

「んー、最近はリーナ達のお怒りを買ったのでこうして贖罪をしております」

「はぁ、珍しいな。シスコンのお前さんが可愛い可愛い妹を怒らせるとは」

「まぁ、色々あってな。お兄ちゃん体一つだと大変なのよ」

「何でもかんでも妹にするとか言い出すからだろ」

ライガルの言っていることは最もだ。

隣でリーナも同意するようにこくこく頷いてるしな。

「まぁ、放っておけないやつもいるんだよ」

「だからってあまり背負いすぎない事ね」

俺がそうキメ顔で言うと後ろからティルが抱きついてきた。

「て、ティル!?」

普段姿を現さないティルが出てきたことにライガルが後ろに倒れる。

「いつつ」

「久しぶりね店主、大丈夫?」

「あ、あぁ平気だ。にしても珍しいな、嬢ちゃんが出てくるなんて」

「気まぐれよ、と言いたいところだけど今回は訳ありよ。ねぇ?」

そう言ってティルはリーナの方を見やる。

「ん、みんな、いっしょ」

「そういうことらしいわよ」

「なるほど、それがリーナのお願いだな」

「ん」

リーナがどうしてここに来たのかお兄ちゃん察しました。

一番最初にリーナがここが恋しいと答えたのもそれで分かった。

久々に家族水入らずで過ごしたかったんだな。

だからティルにも出てくるように言ったんだろうな。

「ティルはいいのか?」

「いいわよ、それに私に拒否権はないみたいだし」

「ん、一番、わたしが、お姉ちゃん」

「なるほど」

リーナのドヤ顔を久しぶりに見た気がする。

「じゃあなんだ、今日はこっちに泊まるのか?」

「ん、泊まる」

俺が答える前にリーナが答える。

それぐらい今日を大事に思ってるのだろう。



「にぃ、ここ」

そうリーナが示す場所は天下無敵の妹のお膝元。

リーナにラッフ亭の中庭まで連れてこられた。

そこにはリーナが大切に育てていた色とりどりの花たちが綺麗に咲き誇っていた。

その中心にある神木に座り膝枕の合図を出したのだ。

ただでさえ神秘的な光景にライの足がすこしだけ止まってしまう。

「にぃ?」

「んや、やっぱりリーナは俺の女神だよ」

俺はリーナに甘えて膝枕させてもらうのだった。

「んっ」

リーナの膝はとっても柔らかくて、それでいて女の子の特有なあまい香りがする。

ずっと一緒にいたけれどこうして触れて改めて女の子として成長してるんだなって実感する。

そんなことを思っていると不意に頭を撫でられた。

「にぃ、よく、がんばり、ました」

「ん?俺よりもリーナの方が頑張ってるよ」

俺もお返しとばかりにリーナの頭を撫でる。

「そんな、ことない。にぃ、いつも、やくそく、守ってくれてる。わがまま、ぜんぶ、きいてくれる」

「そんなのはお兄ちゃんとして当然、可愛いリーナの頼みをの断るお兄ちゃんなんてこの世にも別世界にもいません」

「ん、ありがとう。でも、そのせいで、にぃ、いっぱい、つかれてる、から…」

そこで区切ったリーナは少しだけ緊張しているように見える。

やがて決心したのかリーナはきゅっと引き締める。

「だから、にぃ、ごほうび」

リーナはそのままライに顔を近づけて、優しく口付けした。

リーナの柔らかくて水々しい唇がライの唇にそっと触れる。

それでいて少しココアの香りと味が口に広がる。

短い口付けではあったけど、それでもご褒美にしては余りあるものだった。

「んっ」

顔を上げたリーナはこれまで見た事ないぐらいに赤面していた。




「やっと起きたか、寝坊助」

「おうよ」

しばらくしてラッフ亭の中に戻るとそこには豪華な料理が並んでいた。

というか、なんだなんだ?もはやパーティーと言ってもいいぐらいの豪華な晩御飯に俺とリーナは驚く。

「いや〜なんだ、ちょっと張り切っちまってな。遠慮なく食え」

「この人、余程あなたたちが戻ってきたのが嬉しかったみたいよ」

「嬢ちゃんそれは言わない約束だろう!?」

ライガルが焦ったようにあわあわしている。

俺らにその事を知られるのが恥ずかしかったのだろう。

「いいじゃない、たまには素直になったら」

「そういうのは柄じゃねぇんだよ」

でもまぁ、その事を聞いてリーナも俺も安心する。

正直、仕事の邪魔だったかなと言う不安もあったがライガルはあれから店を閉めていたのだ。

扉にも急用のため店休日という掛札もされていた。

俺らには休みの日だと言っていたがそれがあからさまな嘘だというのは分かっていたしな。

何年ここで暮らしてると思ってんだか。

「んなことはいいから!ほら!食うぞ!」

ライガルは誤魔化すようにライたちを席につかせてさっさと準備する。

そうしてみんなで席についたのを確認してみんなで合唱する。

「「「「いただきます」」」」



「ねぇ、なんで私が真ん中なの?」

ご飯も食べ終えてお風呂も入りサッパリしたらあとはもう寝るだけ。

俺らがいない間もライガルが部屋を綺麗にしてくれていたのかホコリはひとつもない。

そこにはつい前までは寝ていたいつものベッドがある。

そこで俺とリーナとティルで川の字になって寝ることに。

もちろんこれもリーナのお願いだ。

しかしそのお願いの中にはティルも含まれており、ティルはいま俺とリーナに挟まれるようにして寝ている。

「普通あなたが真ん中じゃないのかしら?」

ティルはそうムスッとした顔で横で眠るリーナに抗議する。

「んーん、これで、いい」

そんな抗議もリーナは一蹴してティルに抱きつく。

「ちょっと」

「えへへ」

り、リーナが笑っている!?しかし、ティルに抱きついてるため俺からはその御顔を見ることができない。

くぅぅぅ、リーナの貴重な笑顔が見られないのは残念だが二人がこうして仲良くしているのは微笑ましい。

「ちょっとあなたまで」

我慢できずにライもリーナごとティルを抱きしめる。

「ん、にぃ、せいかい」

「よかった」

混乱するティルに構わず二人はぎゅーっとティルを抱きしめるのだった。

「もう、二人してなんなのよ。これじゃ最初の時みたいじゃない」

「ん、だから、なのです」

「だそうだぞ」

「もぅ」

そう、まだこの国に来て日が浅い頃。

ライガルからこの部屋を与えられた時はこうして三人で一緒に寝ていたのだ。

いつしかティルは剣の状態で寝ることが多くなっていたが最初はリーナが無理やりティルを引きずり出して今みたいにティルを真ん中にして一緒に寝ていたのだ。

それが懐かしいのかティルも観念してリーナを抱きしめるのだった。

「たまに、ならしてあげるわ。でも、毎日はダメだからね」

「ん、わかった」

リーナもティルもそれで落ち着いたのか二人して寝息を立てはじめる。

俺も二人が寝たのを確認してゆっくりと眠りにつくのだった。

なんだか今日はいつもよりぐっすり眠れそうだ。

それもきっとリーナのお願いのおかげだろうな。

リーナ「ライガルの料理、美味しかった」

ティル「私も手伝ったのだけど?」

リーナ「よし、よし」

ティル「ありがとう」

リーナ「いっぱい、うれしい、まんぞく」

ティル「ほんとに満足そうで良かったわ」

リーナ「つぎ、ネア」

ネア「ほんとにいいのかしら、ね」

リーナ「みんなで、きめたから、いいの」

ネア「そう、ね。わかった」

リーナ「ん、たのしんで、きて」

ネア「ありがと、ね。リーナ」

リーナ「ん」


リーナ「じかい」

ティル「マイシスターの滅茶苦茶なお願い ネア編」

ネア「次も見て、ね」

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