マイシスターの滅茶苦茶なお願い アリシア編
緊急お兄ちゃん会議の結果、俺は現在リーナとアリシアと仲良く手をつなぎながら街を散歩していた。
そう、昨日の今日で早速可愛い可愛い妹たちのお願いを聞いているのだ。
ということでそんな妹たちのトップバッターはアリシアだった。
なので今日丸一日は女神ことアリシアのお願いを聞く日になったのだ。
そんなアリシアは上機嫌に俺と手を繋いでたまにこちら見る時に目が合うとニコッと可愛く笑ってくれるのだ。
可愛いだろぉぉぉ!!
そして反対の手を繋いでるリーナの方見てみると、少しわかりづらいかもしれないがとても上機嫌なのか口角が少しだけ上がっている。
こっちも可愛すぎだろぉぉぉ!!
ちなみになぜライがこんなに気持ち悪く身悶えているのかというと話は昨日の緊急お兄ちゃん会議に遡る。
「じゃあ最初は私からだな!」
ライへの罰としてリーナ達の何でも言う事を聞くというのはそれぞれが言い出したらキリがないということで一日一日に分けよう、ということだった。
アリシアが中心となって始めたこの会議の結果はというと最初の一日目はアリシア、二日目はリーナ、三日目はネア、そして最後にティルの順番になった。
「じゃあお兄ちゃん!明日は私とリーナと一緒に街にでかけるぞ!」
とのことで、俺は両手に花元い両手に妹たちの手を握りしめ休日の街へとお出かけしているのである。
ちなみに今日一日アリシアがライを好きにできるわけだがなぜリーナも一緒なのか?
それについて聞いてみるとまた一緒に三人でお出かけしたかったと言ったのだ。
確かに、こうして三人でお出かけするのはまだアリシアがライの妹になったばかりの頃だった。
アリシアはその時のことを覚えていたのかこうしてまた三人でお出かけしているというわけだ。
でもまぁ、アリシアに関してはこの国の女神だしライもライで色々やらかしちゃったぶんこの国でもだいぶ、いや物凄く有名になっていた。
そんな二人が街を歩けばそれはもうお察しのこと…。
「女神様ーー!」
「アリシア様!!うちの自慢のパフェでも食べていってくだせぇ!」
「アリシア様!ぜひうちのパンケーキも!!」
「アリシア様ー!」
とまぁ、行きゆくお店からはこうして絶え間なく声をかけられるのである。
それに対してアリシアは笑顔で手を振って返す。
それだけでみんな満足なのかぽわわ〜ってしている。
すげー、これが女神効果と言うやつなのだろうか。
街を歩いてる中、見知った顔がこちらに手を振っているのに気づいた。
当然今日は神休日なので学生もチラホラと見かける。
手を振っていたクラスメイトはライ達のところまで歩いてくるのだった。
「お、ライじゃん」
「ん、デート?」
「それはこっちのセリフな」
そのクラスメイトとはモルーとフィールだ。
モルーは外出ようの服にしてはがっちりと決めておりいかにもオシャンティーな格好だった。
それに対してフィールもなかなかバッチし決まっているのかお淑やかなイメージがしっくりと来る服装だった。
ライは思った、確実にデート中だこの二人。
「今日はなにかの記念日か?」
「えーっとだな…」
「婚約記念日」
モルーが言うのを渋っていると横からフィールがズバッととんでもない爆弾を投下するのだった。
「お!!」
「フィール!?」
「いずれ、言おうとは思ったから。ちょうどいいかもと思って」
「ま、まぁたしかに最初に教えるならライだけど、心の準備が…」
「グダグダ言わない」
未だにうだうだ言ってるモルーに対してフィールは両頬を摘んで伸ばす。
「わ、わひゃっは、わひゃっははら」
「ん」
モルーは涙目になりながら許してもらう。
フィールはモルーに対してはちょっと強気でモルーはそんなフィールの尻に敷かれている。
パッと見、クラスの印象とかも加えると逆なのでは?と思う人が大半だろうが案外二人きりになるとこんな感じだ。
「まぁ、二人がようやくくっついたのならこれで一安心だな」
「それもライのおかげ、ありがとう」
「あいよ、っても大したことはなにもやってないんだがな」
「それでも、私は嬉しかった」
「そう言っていただけるなら光栄だね」
俺がそう大袈裟に方でリアクションを取っていると横で聞いていた女神ことアリシアが首をちょこんと傾げていた。
「む?二人は結婚するのか?」
「はい女神様、といってもまだその一歩手前ですが」
そんなアリシアの問いにはモルーが答える。
「そうなのか!それなら祝言が必要だな!」
そう言うとアリシアは俺と繋いでいた手を離してモルーとフィールの二人の真正面に立つ。
「二人が進む先の道に我らが神の御加護があらんことを!」
アリシアがそう言うと二人の周りにはキラキラとした魔力が漂う。
それはおまじないにも似たこの世界における幸せの加護の魔法。
本来なら神父さんがやることなのだがアリシアがやったせいか通常よりもその輝きは強い。
それはひとえにアリシアが女神だからだろう。
「め、女神様、ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
そんなアリシアから祝言を受け取った二人は驚きながらもアリシアに頭を下げる。
女神様から祝言を受け取るというのは婚姻においてとんでもなく凄いことなのだ。
そんなまさかの状況に周りにいた人たちも足を止めて二人を祝福する。
「まさか女神様直々に祝言を受け取れるなんて思いもしなかったよ」
「ん、この婚約はもう絶対だから」
「あぁ、もちろん」
「うむ!」
アリシアはそんな二人の様子を見て満足そうに頷くのだった。
時刻はもう夕方、あれからお祭りと化した街を歩き回り終始アリシアは上機嫌だった。
隣にいたリーナも今日はいつもよりはっきりと笑顔なのが目に見えてわかるぐらいに楽しんでいた。
そんな街を歩き疲れ、今はあのクレープ屋さんがある噴水前のベンチに座って休憩をとっているところだ。
もちろん、俺らの存在を確認したクレープ屋のおっちゃんが物凄いダッシュでこちらまで走ってきて三人分のクレープを渡してきたのは言うまでもない。
「はぁ〜、今日はすごく楽しかったぞお兄ちゃん!ぱく!」
「そいつはよかったよ」
「ん、たのしかった、ぱく」
俺を挟んで座る可愛い可愛い妹たちは幸せいっぱい口いっぱいといった感じだ。
「お兄ちゃんは、誰かと結婚するのか…?」
そんな中、ふとアリシアがこちらを真剣な表情で見つめる。
「それはわからないな、するにせよ少なくともそれは今じゃないな、何せ俺にはこんなに可愛い妹がいるんだからな!」
俺はそう言って二人を抱きしめる。
アリシアもリーナも急に抱きつかれて嬉しくなってにしてまたライに抱きつき返すのだ。
「にぃ、好き」
「私も好きだぞ!」
「俺も、二人とも大好きだぞ」
三人して顔をくっつけあって笑顔になる。
そんな幸せオーラが周りにも伝播しているのかそれを見る人達は微笑ましく三人を見守っている。
ライはずっと思っている、こんな幸せな日々がどうか続きますようにと。
たとえこの先にどんな未来があろうと必ず妹たちは守ると、ライはそう改めて胸に誓う。
ライ「今日は楽しかったな」
アリシア「うむ!また行こうなお兄ちゃん!」
ライ「もちろん、アリシアが行きたかったらいつでも付き合うよ」
アリシア「えへへ〜♪」
リーナ「あしたは、わたし」
ライ「あぁ、たーんとこのお兄ちゃんに甘えてきなさい」
リーナ「ん、だいじょぶ、もう、きめて、ある」
アリシア「そうなのか?」
リーナ「ん」
アリシア「じゃあリーナ、バトンタッチだな」
リーナ「んっ」
アリシア「次回」
ライ「マイシスターの滅茶苦茶なお願い リーナ編」
リーナ「つぎも、みてね」




