滅茶苦茶なダンジョン攻略作戦!4F
なんとか破廉恥階層を抜けて四階層に辿り着く。終始俺はエレナの盾にされていたが、それもここで開放される。
「なんとか次の階にいけたわ」
「そうだなー」
「もう絶対にあの階層には行かないわ」
既にトラウマなのかエレナは憎々しげに後ろの三階に上がる階段見て呟く。
「にぃ」
リーナが少し袖を引っ張り俺を呼ぶ。
「どうした?」
「きゅう、けい」
「ん、そうだな」
リーナがそう提案してきた。別段、リーナはそんなに疲れてるようには見えないが…。
「はぁ、はぁ…」
「あぅっ…」
サラちゃんやレナちゃんは歩き疲れたのだろう、表情を見れば一目瞭然だ。
「よし、それじゃあ休憩しようか」
「そうね、それがいいと思う」
「は、はい」
「すみません…」
「謝らなくていい、充分あなた達は頑張ってるわ」
そう言ってエレナは優しいお姉さんのように二人の頭を撫でてあげる。
「ぅ〜」
「えへ、へ」
心なしかサラちゃんもレナちゃんも嬉しそうだ。
そんな三人を見て俺は少しこの場を離れることにした。
「エレナ、少しの間だけサラちゃんたちを任してもいいか?」
俺の提案にエレナは少し不思議がる。もちろん、ここはセーフゾーンだから魔物に万が一襲われることはないだろう。
「それは別に構わないけど、どこに行く気なの?」
「ちょっとな、もし俺が戻ってこなかったらポル先が来るまで待っていてくれないか?」
「何しに行くか言わないと、私もどうしようもないけど」
「うーん、ちょっと後ろからつけてる人とお話をね」
「後ろ?私たちの後には誰もいないはずだけど…」
エレナが後ろを振り返ってみるが、当然そこには誰もいない。サラちゃんたちもつられて後ろを見やるがもちろん誰もいない。
「も、もしかして、おば、け?」
レナちゃんが身を震わせながらそんな答えにたどり着いた。それにサラちゃんがビクリと反応する。
「ひっ…」
サラちゃんは幽霊の類に弱いらしいな、この反応を見るに。
「にぃ…?」
もちろん、リーナにも俺の言ってる後ろの人が誰なのか分かっていない。けれど、そこにリーナを連れていくわけにもいかないのだ。その相手は俺にとって危険な相手でもあるからだ。
「リーナもここに残っててな」
ふるふる、リーナはそう短く首を横に振るった。
(いまここにはソレーユも、アリシアもネアもいない。最悪、また瀕死の状態まで持っていかれるかもしれない。そうなるとこの子達を守りきるのは難しくなる)
それほどの相手だからこそ、リーナたちを連れて行くこともできない。
「なに、する、き?」
「ちょっとお話してくるだけだよ」
「…」
まぁ、場合によっては戦闘になるだろう。その時はティルに少しばかし頑張ってもらうしかない。
「早く帰ってきなさいよ」
「おう」
エレナは諦めたのかそれだけ言って俺を見送る。未だにサラちゃんはおばけと思って怖がっているが、レナちゃんが慰めているから大丈夫だろう。
俺は今もふくれっ面なリーナに「ごめんな」と謝り、元きた螺旋階段の方へと戻る。
「おやおやぁ〜、まさか戻ってくるとはぁ思っていませんでしたぁねぇー」
俺が三階層の階段を登りセーフゾーンに出た時にそいつは姿を現した。俺はそいつを知っているからこそ最大限の警戒をし、ティルの柄に手を置く。
「レベン、なぜこんなところにいる」
「おやぁ〜?そこは死んだのでは?とおききになるところでぇはぁ?」
その顔をあの白黒の不気味なお面で隠してるため表情は読み取れない。あの時、最後の時と同じ紳士服を身にまとっていたが黄色いオーラが見えることは無かった。
「じゃあきこう、なぜ生きているんだ?」
「であらば、私はこう答えましょう。私に命の概念はございません」
「なっ」
その回答には驚かざるえなかった。命無きものがあそこまでの力を扱えるものなのか?ネアの魔法で出される騎士/(メネフェストサーバント)でも限りある命がある。その命を魔力で代用しているからこそアレらはあそこまでの力が発揮できるのだ。なら、レベンは一体何なのだ?いや、問題はそこじゃない。レベンが仮に道化師ではなく操り人形だと仮定すると…。
「お前のバックには何がいる?」
「おや、お気づきですか?」
「…だとしてもだ。お前みたいなものを現界させれる人物を俺は知らない」
「おやおや、そこもお気づきでしたか」
レベンは至って表情の読めない仮面越しに首を傾げる。その動作一つ一つに俺は警戒を怠らない。
「そうですね、少しだけお話に付き合ってもらえますかぁ?」
「あぁ、お前の存在がある限り、ここから先の攻略は安心して進めそうにないからな」
「ご安心を、そんなに時間も取りませんし。なにより、今私が貴方達を攻撃することは万が一にもございませんので」
「なんだと?」
「あの時は貴方様が追いかけてきたので余興ついでに遊んだだけでございます。もっというと私の目的は別にございますので。それに、今回はこのダンジョンを攻略をする際に我々が邪魔することはお止めいたしましょう」
「どういう風の吹き回しだ」
なにか裏があることは確実だろう。それにレベンは奇術師だ、どこかに嘘がある可能性もある。
「おっと、私は道化師ですがこれは嘘ではございません。そうですねぇ、ピンチなったら私が身を呈して守って差し上げましょう」
「何が目的なんだお前は、それにそんなのが信じられると?」
「目的を教えることはできませんが、証拠ならおだしになれるかと?」
「どうやって?」
俺の問いかけにレベンはゆっくりと人差し指を立て俺の後ろを指した。俺はその先に目線をやるとそこには俺の愛しい妹が立っていた。
「リーナ!?」
俺は慌ててリーナの元へ行き、庇うようにして立つ。
対するレベンは変化が見られない。まぁ、リーナを傷つけようものなら今度こそ葬り去るが。
「にぃ?」
リーナは不思議そうに首をかしげて俺の背中にしがみつく。
「あ、一つ言っておきますとその方には私の姿は見えておりません」
「なんだと」
「一種の奇術でございます。貴方と戦った際にもお見せしたあの技の応用と言った所でしょうか?」
丁寧にレベンは解説してくれるがその声さえもリーナには聞こえていない。なので、リーナの目には自分の兄が虚空に話しかけているという傍から見たらとりあえずやばい奴にしか見えないのだ。
「にぃ、へいき?」
けれど、そんな兄に対してもリーナは焦ることなくそう聞く。リーナは感情に乏しいがその分相手の感情に人一倍鋭い。そのため、兄が今どんな状態なのかよく分かるのだ。
「だい、じょ、ぶ」
だからこそ、優しく兄に抱きつき安心させるように頬ずりをする。
そんなリーナにライは落ち着く。
『大丈夫よ、何かあったら私が全力で守るわ』
ティルもライを安心させるためかそう言う。
そんな妹達に励まされライはいつもの感覚を取り戻す。
「ありがとな、二人とも」
「ん♪」
『〜♪』
リーナの頭をいつものように優しく撫でる。そんないつもの兄の手つきにリーナも安心する。ティルも、今は人化の状態でないから撫でてやることは出来ないがその柄を優しく撫でる。
「それで、本当に俺たちに危害は加えないんだな?」
「えぇ、もちろんですよ」
俺はレベンに向き直り、確認する。レベンの言葉は全てを信じることが出来ない。だからこそ危険が生じる。だが、それでも構わない。やつの言葉が本当ならどういう目的であれ俺達にとって有利なのは変わりない。問題はその目的とやらだが…。
「教えてくれる気はないんだよな?」
「教えることはできませんね〜、何があっても。ですが、場合によっては貴方の味方でもありますのでご安心を」
「場合によっては、か…」
「あなた次第ですよ?」
レベンは俺に答えを任してそう問いかける。この答え次第では今この時にレベンを敵に回す可能性が出てくるわけだ。
そこで改めて俺はリーナを見る。リーナはただ優しく微笑むだけだったが兄としてはそれで充分だった。
「わかった、だがもし俺の妹たちや周りの人を傷つけようものなら…」
「重々承知しておりますとも」
レベンは言葉を割り切りそう答え、小さくお辞儀する。と、同時にその場から姿を消した。
半年も更新せずにすみませんでしたァァァァァ!
という訳で、とっくにもう更新ないんじゃね?て思ってしまってもおかしくないほど休んでしまっごめんなさい!
就職が決まってあとはコンクールとテストを終えるだけ!そんな中、ようやく暇を見つけてかけるようになってきたのでこうして出したわけなのだよ!本当に楽しみにしていた読者様申し訳ない!
これからは週一のペースでまた出せるように頑張るのでみていってほしいぞ!
ということで我は早速次話を書くためここらへんでサラダバー!人間ども!
ライ「うっわ、超久々」
リーナ「ひさ、びさ」
レベン「強いて言うならぁ〜、私は二巻ぶりぐらいの久々になりますかぁねぇ〜?」
グラウ「なんでまたいるんだ?」
レベン「よろしいではないですかぁ〜、敵役だって出たいんですよぉぉぉ」
カオス「そういうものじゃな」
???「それはいいから早く吾をだせー!」
レベン「まぁまぁ、ちゃんもでばんとってありますのーでぇ、大丈夫ですよぉ」
???「むぐぐ、未だ名前がhatenaだし」
ライ「というかまだ新キャラだすのか?」
リーナ「らい、ばる、いっぱい、もえ、る」
ライ「なるほど」
グラウ「いや、納得してる意味がわからないんだが…」
ルナ「アホだから仕方ないんだよ」
ソレーユ「アホだから」
ライ「姉妹揃って酷くないすかね?」
ソレーユ「そういうもの」
アリシア「ネア」
ネア「なに?」
アリシア「私達ってメインヒロインなんだよね?」
ネア「そう、ね」
アリシア「この後って出番は…」
ネア「神のみぞ知る、というやつね」
アリシア「うわぁぁぁぁん!」
ライ「次回」
エレナ「滅茶苦茶なダンジョン攻略作戦 5F れっつらーボス部屋」
リーナ「みて、ね」
エレナ「私、本来はモブ扱いだったはずだと思うのだけど…」
リーナ「ここに、モブは、いな、い!」
エレナ「!?」




