滅茶苦茶なダンジョン攻略作戦!2F→1F
リーナは相変わらずライの腕にくっついたままダンジョンをうろついているのだった。
「にぃ」
「どうした?」
「これが、階段?」
「そうみたいだな」
目の前の階段は不思議な形をしたものだった。簡単に説明すると螺旋階段だ。しかしそんなものはまだライたちの世界には存在しないため珍しいのだ。
「ぐる、ぐる」
「ぐるぐるだな」
そんな階段を上っていくのだった。その際に、誰かと遭遇することはなかった。もちろんだが、モンスターがリポップすることもない。それは、授業で習ったとおりモンスターには絶対に立ち入れないセーフゾーンという場所がある。その場所の一つがこのダンジョン内の階段だ。もちろん、ほかにもその場所はあるがそれを知っているのはDCTの人たちぐらいだ。俺達はそのゾーンを自力で探すしかない。でも見ればわかるとのことなので案外簡単に見つかるかも。
そうして登っていくこと数分、やっと一階への出口が見えてきた。
「とう、ちゃく」
「だな」
階段から登ってきた先はとても広い空間だった。外には魔物がうろちょろしてる。しかし、そんな魔物達はライたちがここにいるのにも関わらず襲ってくる気配がない。
「なるほど、ここもセーフゾーンになるのか」
この階段の入口になる広い空間は魔物が入ってこれないセーフゾーンなのだろう。まぁ、階段を上った先に魔物に出待ちされたらたまったもんじゃないが。
「さてと、ちょっとやってくるな」
「うにゅ」
とりあえず、周りの安全を確保するためこの空間の出口からチラホラしている魔物を倒すためティルを抜く。リーナは安全なここで待ってもらい、サクッとやっちゃおうかと思ったんだけど。
「はぁ!」
「らぁ!」
唐突に横から出てきた人影に目の前の魔物はやられ、その身を小さな魔石に変えるのだった。それをやった奴は俺に気づくなり呆れ顔で近づいてくるのだった。
「どうやって追い抜かしたんだよ、お前最後に入ってきたはずだろ?」
「いやぁ、それがちょっとした罠に引っ掛かっちゃって」
アベルトはそんなライの答えに苦笑するのだった。
「あぁ、それで人数足りてないのか。他の子達はどうした?」
「ポル先が面倒見てくれてるよ」
俺の答えにアベルトではなくその後ろから返事が返ってくる。
「それで大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫」
そこにはファルシスとリグザにハルトの姿もあった。どうやら、アベルトのパーティーが二番乗りのようだ。
「うお!?なんでライがいんだ?」
「確か最後じゃなかったっけ?」
「いろいろあったんです〜」
「「へぇー」」
「あわあわ」
何も疑問に思わずそう生返事する二人に後ろであたふたしてる魔法学生の女の子、リーナ達よりは年上かな?それでも俺たちよりは低いだろう。ま、みんな無事で何よりだ。
「ほかの奴らは?」
「俺達も罠ではぐれた感じだ」
「なるほどそんな感じかー」
どうりで少ないわけだ。アベルトのパーティーにはあと他にアグナス、エイラ、サリア、ナルハの四人がいるはずなのだがいる気配がない。さっき言ったとおり、俺たちみたいな宝箱の罠にでも引っかかってはぐれたのだろう。DCTの人もそっちにいるみたいだな。
「あ、ちなみにここセーフゾーン」
「「しってた」」
俺の親切なアドバイスにアベルトとファルシスは突っ込むのだった。
「とりあえず俺達はここであいつらを待つことにする」
「警護がいるなら付いてってやろうか?」
ファルシス達はどうやらアグナスたちが来るのをここで待つらしい。アベルトは暇なのか俺の警護について行こうかと提案してくるが俺は丁重にお断りするのだった。
「いやいい、入れ違いになったりしたらやだろ?」
「ま、それもそれうだな」
「ありがとなー」
「んやいいさ、気をつけてな」
「おう、お前らも気をつけてなー」
「「おう!」」
そう元気にアベルト達のパーティーと別れるのだった。
なんだか遠足みたいだ。
☆
それから歩くこと数分、流石に最初に入ってきたチームはダンジョン階段の近くまで来ている。そのためいろんなチームと出くわし挨拶を交わしていく。挨拶する度に皆が驚くのはもう慣れてしまった。むしろなんか違うバリエーションが欲しくなった。
「よ、ラック」
「えぇ!?」
いたわ、面白い反応しそうなやつ。
「な、なんでライがここにいるんだ?確か君は最後だったはずだろ!?」
「ばかだな、もうとっくにみんな二階にいってるぞ」
「うそ!?」
「うそ」
そんな俺の回答にラックはずっこけるのだった。
「一瞬焦ったよ、ものすごく」
「あはははは!」
「魔法使いの学生さんもいるんだから少しは抑えようよ」
そんな俺には関係ない、それにいるのはリーナだしな。
「ま、頑張れよ」
「お、おう。ライも頑張ってくださいね」
「おうともよ」
そうしてラックのパーティー(ハーレム)とも別れを告げて俺はこの一階層で恐らくポル先と一緒にいるであろうサラちゃんとレナちゃんを探しに行くのだった。
☆
「なにかいうことはあるか?」
俺はダンジョンのど真ん中で頭にたんこぶを作り正座していた。
「あれが最善だったんです」
「ほぉ、何故か聞こうか?本来ならあの時点でお前は失格なのだが理由ぐらい聞いてやろう」
「リーナと二人っきりになりたかったからです!」
ガンッ!と一際痛そうな音がダンジョン内に響く。
「ぃぁぁぁ!」
俺はポル先に容赦なく愛剣の峰で殴られ痛みに悶えるのだった。その姿を後ろでサラちゃんとレナちゃんが苦笑いで、リーナが心配そうに見ているのだった。周りには当然ダンジョンなのだから何度も言わずとも分かる通り魔物がいるのだが、ポル先の気迫に圧倒されて曲がり角から出てこないのだ。
「さて、お前の制裁をどうするか…」
「まって!次はちゃんとやるから!」
「何度聞いたと思ってるんだその言葉は!」
足にすがりつく俺にポル先は気持ち悪いと罵りながらげしげしと蹴るのだった。
「はぁ〜、ったく、次やったら鉄拳制裁だからよく覚えておくように」
「うぃっす!」
俺はポル先に敬礼しそそくさとサラちゃんとレナちゃんもつれてダンジョンを進むのだった。
そんな道半ばで俺はサラちゃんとレナちゃんに聞く。
「どうだった?うちの担任は。強いし少しぐらいは安心できるだろ?」
そう聞くとサラちゃんとレナちゃんは一度後ろにいるポル先に振り返って笑顔で答えてくれた。
「「はい!」」
作戦通り。ポル先のおかげでサラちゃんとレナちゃんの恐怖心はある程度は和らげてくれたようだ。ポル先はああ見えて子供大好きだ。ここだけ聞くとただのロリコンの危ない教師だがそっちの大好きではない。ただ単純に子供の味方ということだ。だから俺達のことにも真摯になって対応してくれるしな。そんなポル先にだからこそ任せてみたがどうやら正解だったみたいだ。
「よし、じゃあ改めてダンジョン攻略しようか」
「はい!」
「えいえい!」
「おー」
リーナもやる気なのか三人揃って勢いよく腕を振り上げるのだった。
「それじゃあさっそく二階層に向かおうか、もう道も階段のばしょもわかってるら」
「え?」
「え?」
そうやって迷わず進み出したリーナとライにサラちゃんとレナちゃんは頭にハテナを浮かべながらついて行くのだった。何故かと言うとなんであの部屋に閉じ込められていたのにどうやって二階層に行ったの?そもそもあの部屋からどうやって出たのかがそもそもの謎だった。そんな疑問に頭を悩ませてる二人にライとリーナは関係なしにすすんでいくのだった。
うらぁぁぁぁ!!
ということで何もなく約二ヶ月間ほど更新がなくてすみませんでしたァ!
まぁ、いつかの最初に言ったかもしれないけど我は魔王である前に就活時なのだよ。本気で色々とやばいと思う中、夏休みに入ったんで復帰なのだ!
正直、愛想つかされてもおかしくないぐらいに更新しなかったので今回ばかしは本当に申し訳ございません。まぁ、この夏休みに頑張ってかけるだけ書くのでどうか、これからも見続けてくれる方がいたらお願いします!そして、こんな長い期間更新されなかったのにも関わらず読んでくださってる方々、本当にありがとうございます!
ほんと、こっちに集中したいのだがいろいろあるのだよ。
ということで、今日はここまでだな。
さらばだ、人間ども!
ライ「長っ」
リーナ「?」
ライ「いやだって、ねぇ?せっかくのリーナとのラブラブストーリーなんだか、ねぇー」
リーナ「ねぇー」
ティル「一応わたしもいるのだけど」
ライ「もちろん忘れてないさ」
ティル「除け者したら刺すからね」
ライ「ど、どこを?」
ティル「ひ、み、つ」
ライ「くそぉ!こんなところだけ可愛こぶりやがって!かわいすぎだろ!」
ティル「わかったからそれ以上は言わないで」
リーナ「ティル、かわ、いい」
ティル「り、リーナまでからかわないの」
リーナ「ほんと、の、こと、だから」
ティル「もう!」
ライ「次回」
ティル「滅茶苦茶なダンジョン攻略作戦!2F」
リーナ「つぎ、も、みて、ね」




