滅茶苦茶な転入生
話は遡ること、ダンジョン攻略の話が出る二日前のこと。
いつもの朝、いつもの教室。そして、ニコニコではなくふくれっ面の女神様が隣にいる。
「なんだ?今日の女神様は不調か?」
「ご機嫌ナナメみたいだね」
「なにかあったのかな?」
と、いつも先に来ているクラスメイト達がアリシアのそんな表情をみて心配する声をかけてくれる。
「ちょっとな」
俺はそう苦笑しながら答えるのだった。そんな俺の返答にみんな疑問を抱く。そのまますぐに朝のSHRに入りみんな席につく。そこに、教室の扉を開けてポル先が入ってくる。一度教卓に上がりみんなを見渡す。
「今日も欠席者なし、なら次の連絡事項に移る」
ポル先はだいたい適当だ。しっかりしてる部分としてない部分があったりする。
「今日からお前達と学びを共にする転入生だ、仲良くするんだぞ」
最初にそう前置きしてポル先は今入ってきた扉に向けて言う。
「入ってきていいぞ」
「はい」
扉から入ってきたのは俺の幼なじみ?なのか?まぁ、俺の見知った顔だ。そして、このクラスの中では自分の姉だと言える子もいる。そう、もうだれかわかるであろう。
「ソレーユ・シュヴァルツ、です。これからよろしくお願いします」
「っ!?コホッ!」
唐突にソレーユが俺の性の名を使って自己紹介したため盛大にこっそりと飲んでいたお茶を吹き出した。
「うわ!?おまっ!きたねぇって!」
隣の席のバカ四人衆の一人、ハルトに盛大に吹きかけてしまった。というか、俺の名をだした謎多き美少女転入生にみんながやがやと騒ぎ始める。しかしこのクラス、一致団結はダントツで早く。然るべき行動も決まっていた。
「「「「なんだ、ライの妹か」」」」
「私のお姉ちゃんだよ!!!」
そんな、もういつもの事みたいにみんなは分かっていたつもりでそういった。いやまぁ、実質間違ってはいないけど。そこに、ルナが訂正するように叫んだ。ルナの言葉にみんなは一度ポカーンと頭を打たれたように動かなくなった。が、次の瞬間。
「ルナの姉です」
ソレーユが一言、そう補足して。
「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」
全員が驚くのだった。
「って!ライは知ってるでしょ!」
「あ、そうだった」
みんなにつられて驚いていた俺にルナが突っ込む。
一方フィナクラスの方は…。
「これで朝の連絡事項は終わりです。ちょっとみんなには申し訳ないけど、このまま授業にはいってもいいかな?」
相変わらずスレンダー美人教師である、レアーナ先生がフィナクラスのみんなにそう確認をとる。思った以上に朝に伝えることが多くて一時限目までに休む時間がなくなってしまったのだ。そのため、次の授業が自分の科目だったため、授業をやろうと思いみんなの許可をとるところだった。もちろん、フィナクラスはみんな真面目なので答えは一つだった。
「「「「いいでs」」」」
「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」
「あ、えと…、ごめんなさい!」
レアーナ先生はちょっと半泣きでクラスを飛び出してしまった。
レアーナ先生は美人で優しくて人気のある先生だが、その反面ちょっと臆病で可愛い先生なのである。廊下から聞こえてきたであろう声の主をみんな知っていた。というか、この学院に通い始めていつものこととなっている。
「あのクラス…」
「毎度毎度、どこからそんなに声が出るんだ」
「師匠曰く、馬鹿なクラスなのはもう間違いようがないからな」
「それにしてもやってくれたな」
「どうするの?レアーナ先生思いっきり勘違いして出ていっちゃったよ?それもちょっと半泣きで」
「ううん、あとで冷静になれば俺たちじゃないって分かってくれるんだろうけど」
「このままじゃ、午前中の授業は全部自習になるぞ」
「どうすんだよ」
「励ましに行くしかないでしょ」
と、フィナクラスはレアーナ先生をどう励ましに行くかで相談するのだった。
「うぇぇぇぇん!」
廊下を誰かが泣きながら走っているのが聞こえた。その声も足音もどんどん遠ざかっていったが。
しかし、そんな声はいまのアリシアクラスのみんなには聞こえなかった。なぜなら、ソレーユのことがみんな気になり、質問攻めをしているからだ。そんながやがやと騒がしいクラスをポル先は我慢するように収まるのを待つのだった。こうなったらポル先でも収集がつかないのであとの授業に差し障りがないよういまここで終わらせるようにしてるのだ。でなければこのクラスは纏まらないのだ。
ソレーユもソレーユで質問攻めにあって困惑しているが何とかやっている。そんなソレーユにルナがみんなの和を割いて止めに行ってる。
「むぅ」
相変わらず俺の膝の上でふくれっ面なアリシア。そんなに嫌だったのかな?
「アリシア、ソレーユは受け入れられないか?」
頭を撫でながらそうアリシアに聞くが首を横に振られた。どうやら違うらしい。
「じゃ、どうしたんだ?そんなほっぺを膨らまして」
みんながソレーユの方に集中しているのでアリシアの不満を聞くことにした。このままじゃ丸1日不機嫌なのが続きそうだから。執事として女神様の悩みを解決するのも俺の仕事だな。
「しばらくお兄ちゃんと会えなくなるのがやだ」
「会えなくなる?なんでだ?」
「うぅ!」
俺の疑問には答えてくれず抱きついてくるアリシアに俺は優しく頭を撫でてやることしか出来なかった。
会えなくなるってアリシアはなにかこう、女神同士の付き合いとか、国のなんちゃら的なやつがあるのだろうか?こんなにちっちゃくても女神様には変わりないしな。その分、ネアは楽かもな。国を後継させて来たって言ってたし。
アリシアを宥めているとみんながソレーユから離れ始めて最後の1人がまたあとでね、と言って自分の席につく。ソレーユもみんなの質問攻めにあってちょっと疲れてる。みんながそれぞれ席についたのをみてポル先が教卓に立つ。ちなみにもう一時限目の半分ぐらいの時間を使っている。
「よーし、このまま授業始めるぞ」
「「「「はーい」」」」
好きにやらせてくれたぶん、このクラスは案外素直になるのだ。
午前中の授業が終わり昼休み。
「初めての学校はどうだ、ソレーユ」
「楽しい」
学院の庭でシートを広げてソレーユとアリシアと一緒に食事をとる。ちなみに俺はアリシアが作ってきてくれた弁当でソレーユは自作だ。俺達の他にも何グループかちらほらといる。まぁ、ここは昼食スポットの一つだからな。春や秋なんかは特に人気のある場所だ。訓練場とは他に目の前にはグラウンドがある。そこではボールを蹴ったり打ったり斬ったりしてスポーツしてる人もいる。
「はむはむ」
アリシアは小動物みたく、サンドウィッチを齧っている。可愛い。ちなみにルナはグラウのところで食べてる。
「みんな、優しい」
「私の国だからな!」
ふとしたソレーユの一言にアリシアがドヤ顔でかえす。
「いい女神様」
「当然だ!」
ちょっと褒められて嬉しかったのかアリシアは照れてる。ソレーユも本気でそう思ってるから出た言葉なんだろう。
「ルナは恵まれてる」
「そうかもな」
俺は弁当をガツガツ食いながら相づちをうつ。
「ライのおかげ」
「それはない」
「どうして?」
「まぁ、俺が手を出したところもあるにはあるんだろうけど、結局はルナもソレーユも自分で決めたことだ。むしろ、俺は一番の原因と言ってもいいんじゃないのか?」
「ううん、ライと会っていなかったらここに来ることは無かった。きっと、私は今もドラゴン狩りをしてると思う」
「うーん、一番最初にユグドラシルに会いに行ったのが正解だったかもな」
「ユグにも感謝してる」
「そういえば今あいつどこにいるの?」
「女神様が龍の泉を作ってくれた」
「うむ!」
またもドヤ顔なアリシア。
「龍の泉?」
「うん、最初にあったあの泉」
「あぁ、なるほど」
確かにあそこなら人通りは少ないし、ユグドラシルのでかい図体も泉の中に半分は隠れる、国のみんなには訳を説明しておけば大丈夫だろ。なぜなら、龍はユグが初めてではないからな。今度、おちょくりに行こう。
そんな楽しくアリシア達とお昼ご飯はあっという間に過ぎていった。
放課後、アリシアとソレーユには先に帰っててもらい俺はとある場所に向かう。
『ふむ、主から来るか』
「よ、あれから体調はどうよ?」
俺が向かったのは龍の泉。そう、ユグドラシルがこの泉だ。
『好調じゃ。この泉は体が癒える』
「そんな効果あるのか、ここの水」
『主らにはあまり効果がなかろうがな。それより、何しに来た?』
「ちょっとな」
俺はそう前置きして一つ咳払いをする。
「二つ、頼みたいことがある」
『聞くだけ聞こう』
「サンキュ、まず一つは俺達はしばらく地下に潜る事になる」
『それは学院と言う奴の指導か?』
「まぁ、そんなところ」
『それではあの女神も魔女も入れぬぞ。ダンジョンは神が創りしもの。神であるあの子達は入ることすらできんじゃろぅ』
「あぁ、だからしばらくの間、何かあった時に守ってやってくれないだろうか?」
『ほぅ、主のことだからついダンジョンには入らぬものと思っていた』
「出来ればそうしたかったが今回はそういうわけにもいかない。だからこうして頼みに来た」
少し、ユグドラシルは黙りこむ。やがて、答えが出たのか言葉を続ける。
『よかろう、最初の頼みは引き受けよう。して、最後のもう一つの頼みはなんじゃ?』
「もう一つは…」
「ただいま」
俺はユグドラシルとの話を終えて城に帰った。今やすっかり感覚が鈍ってしまい城の門番をしている女神騎士さんたちにそう挨拶する。
「お帰りなさいませ、ライ様」
「今日は一緒にご帰宅されなかったのですか?」
「あぁ、アリシア達はまだ帰ってない感じ?」
「はい、一度帰っきてはいるのですが…」
「リーナ様たちとお外にお出かけされました」
「そっか、じゃあいまは誰もいないんだな」
「いえ、ソレーユ様がいらっしゃいます」
「ソレーユはついて行かなかったのか?」
「はい、なにやらライ様やソレーユ様には内緒のお買い物だそうで」
「わかった、ありがとう」
「いえ、今日も学院お疲れ様です」
「お疲れ様です」
ビシッとお互い敬礼をして俺は城の中に入るのだった。
さっそく、城の中に入るとまるで待っていかのようにソレーユがそこに立っていた。
「おかえりなさい」
「おう、ただいま」
そのまま二人して俺の部屋に行く。俺は与えられた個室に入りバッグを机の上に置く。
「ねぇ、ライ」
「なんだ?」
さも当たり前のようにソレーユは入ってきているが、何もやらしいものを置いてないライにとっては別段気にすることではなかった。
「今度の学院行事」
「あぁ、ダンジョン攻略のことか?」
「うん、あれほんとに入るの?」
ちょっと興味津々なソレーユにライはちょっと悩みながら答えた。
「えと、その年によってダンジョンに入るか入らないかが決まるらしい。どういう基準かはわからないけどな」
「そんな…」
ちょっと残念そうなソレーユ。よほど、楽しみにしてたのだろう。
ダンジョンねぇ、魔物がうじゃうじゃいるところにおいそれと入っていくのははっきり言って自殺行為。しかし、俺達は騎士を目指す学院に入っている。覚悟なんてとっくに出来てるんだろう。あのクラスもだけど、フィナクラスも同じなんだろうな。雰囲気からして。というか、フィナクラスはどうなるんだろう?
と、すっかりグラウたちのことを気にしていると裾を引っ張られた。俺はハッとなってそっちを見てみるとソレーユが裾を掴んでいた。
「ねぇ、こっそりはいるのは?」
「ダメだ、アリシアに怒られるぞ?」
「むぅー」
最近、ソレーユがちょっと子供っぽいのは俺の気のせいかな?
「ま、今年は入れるんじゃないか?」
「どうして?」
「まぁ、おおよその推測だ。あってるならきっとはいれる」
「ん、じゃあライの言葉信じる」
「おう」
ソレーユは俺の言葉を信じていつも通りに戻った。というか、よくこの姿で俺達のクラスに入れたな。恐らく、クラスの中じゃソレーユが一番小さいだろう。なーんて思いながらソレーユを撫でてやる。普通に同じ歳だと思えない。まぁ、実際同じ歳ではないんだけどな。それにソレーユはみんなと違って頭を撫でられてもほぼ無反応。だけど、ほっぺたをちょっとピンク色に染める、そんなソレーユが可愛くて仕方のないライだった。
うーむ、最近投稿がグダグダしてきた。
ということで、いつも読んでくださってる皆様方、ありがとうございます!
あぁ!四章になってインスピレーション湧いてるけど時間が無くてかけなーい!
やることありすぎなのだよ!この年は!
おかげで他の作品は何一つとして進まないし!一応全部続けようとは思っているが流石にそれは無理!なんでやったし…。しかし、いろいろと一部一部がかけていったら他の作品の続きを書こうとも思う。まぁ!メインはこれだからな!
投稿日がグダグダすぎていつだすのかわからないのがあれだがな。
本当は昨日出す予定だったのだよ!
忘れてました、申し訳ございません!
あとは、滅茶シスのみなさんにおまかせするぞ!
ということで、さらばだ人間ども!
ライ「いやぁ、無事ソレーユも学院に入れて一件落着だな」
ソレーユ「学校楽しい」
ルナ「♪」
ライ「ルナも超御機嫌だし」
グラウ「今回の章は学院のみんながメインの話だな」
ライ「そうだな、せっかくみんな3章で出したんだから出なきゃ損損」
グラウ「キャラ説明やら設定やらが大変そうだな」
ライ「人事のようにいうね」
グラウ「人事だからな」
ライ「そういえばダンジョン攻略はグラウは誰とチーム組むんだ?」
グラウ「さぁな、でもまぁ目に見えている」
ライ「グラウ君も大変ですなぁ〜」
グラウ「お前ほどじゃない。というか、今回はメインヒロインの女神様方はダンジョンに入れないが話的に大丈夫なのか?この話の二代ヒロインじゃないのか?」
ライ「それいうならグラウもでしょ」
グラウ「まぁ、それはそうだが。しかし、カオスは入れるぞ?」
ライ「ちっちっち、グラウも甘いな。そして俺にとって一番大事な存在を忘れてますなぁ」
グラウ「あ…」
ポル先「次回」
ソレーユ「滅茶苦茶なチーム分け」
レアーナ先生「次も見てくださいね」




