滅茶苦茶な勇者の妹ができました!!(泣)
「ライ」
「どうした?ルナ」
暗い顔をして立つルナに俺は優しく声をかけた。
「やっぱり、私は認められないみたい」
ルナはそう告げた。ルナは前にもグラウみたいになれないとか言っていたな。その言葉の意味が、ようやくわかった気がする。
「ルナは何が認められないんだ?」
「いまの、この全てが。だよ」
「全て、ときたか」
「うん」
ルナは顔を伏せる。そんな本当の妹の姿に姉であるソレーユは歩み寄る。
「ルナ…」
「わかってる!わかってるよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんがライの傍にいなきゃいけないことは。だからこうして告白したことも。だけど、だけど…。私はどうしたらいいの?これから私はどんな顔してライやお姉ちゃんに会えばいいの?」
今まで溜め込んでいたものを吐き出すようにそうルナは叫びながら訴えた。そんなルナの姿にソレーユは黙りきってしまう。今までずっと離れていてこの前、あの日に二人は久しぶりに再開したのだから。そうして、すぐにソレーユは俺の元へ来てしまった。ルナとしては耐えられないものがあったのだろう。
「ルナはいつから俺のことを知ってた?」
そんな二人の間にライが割り込む。きっと、今のソレーユがルナに何を言っても意味が無いだろうから。
「試験試合の時だよ。あの時、幻惑魔法かなにか使ったでしょ?その時にライの中にあるオーラに気づいた」
「それが…」
「そう、魔王のオーラ。勇者一族である私たちにしか見えない黒くて禍々しいオーラ」
「今も、見えるのか?」
俺が分かりきったであろう質問にルナは予想しなかった答えを告げた。
「みえない」
「へ?」
「みえないの、今のライにはなにも」
「そ、ソレーユは?」
「私にもみえない。だから、不思議に思った」
どういう事やねーん。もう意味がわからんぞ。
そんな頭をフリーズさせた俺にソレーユとルナは補足を入れる。
「正確にはみえてた。私が昔、あの森でライにあった時には確かにくっきりとみえてた。後に、ユグにその正体を聞いてそれを知った」
「私は試験試合が終わってから見えなくなった。ルナは元々勇者一族であるお父様の血をそんなに引き継いでないからぼやっとしか見えなかったけど。あれは魔王の放つオーラだってわかったのだろうけど…」
「けど?」
「おかしいの、私は常に見えるはずなのにそれが見えない。でもユグはライが魔王であることは間違いないって言った」
「なら、そのオーラはどこに?」
もうわけわかんないがこういう事だろう。ソレーユもルナについて言っていたがルナは母親の方の遺伝子を濃く受けていて勇者であった父親の力が使えない。逆にソレーユは父親の遺伝子を濃く受けているから勇者の力が使える。それに、俺に纏っていた魔王のオーラとやらもルナと違って常時みえるはずなのにみえない。ということだろう。じゃそれはどこにいったのか?そんな質問にソレーユは首を横に振るう。
「わからない。ユグにも聞いたけどわならないって」
「なるほどな、だけらこうして俺の傍で監視しようってことか」
「それもある」
「それも?」
「私はあの時からライが好き」
突然の告白にアリシア達がどよめく。
「今なら、あの時の言葉通りになれる?」
「ま、まぁ、あれから本当にソレーユの時が止まっているのなら。そういうことになる、だろうな」
若干どもりながらもそう答える。実年齢として考えるならそういう関係になるのか、な?
「ライ、私にはお父様みたいやお姉ちゃんみたいに強くない。けどね、これでも一生懸命頑張ったんだよ?強くなろうと、過去に失ったものを取り戻そうと。お姉ちゃんを見つけるために…。結局、今の今までどっちも出来ずにお姉ちゃんの方からこっちに来てくれた。けど、ライが魔王だってわかって、お姉ちゃんはそんなライのことが好きだって知って…。私たちは勇者で、もう何がどうなってるのか、どうしたらいいのかなんてわたしにはわからないよ!」
そんな錯乱しているルナに俺もかける言葉が見つからない。
そんな中、ソレーユはなにか思いついたようにぽんと手のひらを叩いた。そのままソレーユはちょっとしたにこにこ顔でルナに耳打ちをする。ルナは拒むこともなくそんなソレーユの言葉に耳を傾ける。そんなソレーユの言葉にどんどんルナは顔を赤くしていく。一体何を吹き込まれているのだろうか?
「で、でもお姉ちゃん私はっ!」
「大丈夫、私はライに受け入れてもらった。つまり、そういうこと」
「で、でもそんなの!」
恥ずかしいよぉ、とルナは小声で呟いた。しかし、覚悟を決めたルナは俺に歩み寄ってくる。
なになに?俺ちょっと怖いよ?
「ライ!」
「はい?」
「私も!私もライの妹にして!」
「ふぁ!?」
全然予想出来なかったルナの言葉に俺の脳内回路がショートフリーズ。そんな俺にソレーユは容赦なく追撃。
「ライは私のことを妹として受け入れてくれた。つまり、もう私はライの妹と言っても過言ではない」
「ん、うん?」
「ということは、私の妹であるルナもライの妹になる」
「あ、なるほど」
「なるほどじゃないぞお兄ちゃん!?」
「滅茶苦茶、ね」
「もう知らないわよ、私は」
「……」
なんだろこれ、収集つく気がしないのは気のせいかな?
「ど、どうなの?ライ」
ルナはルナで容赦なく追撃してくるし。そんなルナの顔は不安でいっぱいだった。それを見て俺は…。
「わかったよ、しゃーなしだ!この際みんな守ってやるよ!」
「ほんと!?」
そんなルナは、いつも見せてくれる、にこやかな笑顔で俺に抱きついてくるのだった。
「大好きーー!!」
「うぉ!?」
思わぬルナの告白にアリシア達やソレーユまで焦る。
「なぁぁぁ!!お兄ちゃんがとられたぁぁ!」
アリシアはルナに対抗しようと俺に飛びついてきた。リーナも静かにだが俺にひっそりと抱きつくのだった。ネアはネアで参加したそうにしているが、やっぱりまだ恥ずかしいのかとまどっている。
「賑やかね」
「そうね」
ソレーユとティルはそんなライ達を見て呟くのだった。
「ライは魔王にならないわよ」
「私もそうだと思いたい」
「例え、魔王になったとしても私はライについていくわ」
「そう…」
「あなたはどうするの?」
ソレーユはティルにそう問われて少し迷う。
「わからない、その時の私に任す」
「そう、あなたも揺らぐ時はあるのね」
「私も乙女だから」
「それを自分で言っちゃうのね」
「ふふ」
「まぁ、こんな時間が続けばいいと、私はそう思うわ」
「私も」
そう二人して、喧嘩し始めたルナとアリシア、それを仲介するリーナとライに戸惑っているネアの姿を見て微笑むのだった。
うぉぉぉ!頑張ってとりあえず3章は終わらすぞー!
ということで、いつも読んでくださってる皆様方、ありがとうございます!
とりあえずどんどんかいていこうとおもうぞ!
ということでサラダバー!にんげんども!
アリシア「うぐぅぅ」
ネア「ライバル増えすぎ、ね」
ティル「大家族になってきたわね」
リーナ「みんな、いうこと、ちゃんと聞くこと」
ルナ「わ、わたしも?」
リーナ「いもうと、なら、とうぜん(ドヤ顔」
ソレーユ「なんだか妹達の中で格差社会できてる」
ライ「まぁ、リーナが絶対だからな」
リーナ「ん!」
ルナ「今度からリーナちゃんの言いなりなのかな?私」
ソレーユ「頑張れ」
ルナ「お姉ちゃんもだよ!?」
ソレーユ「次回」
ルナ「ソレーユとライの昔の滅茶苦茶なお話」
ティル「次も見てよね」




