滅茶苦茶なクラス対抗戦 その当日 後編
あれから試合は順調に進み日が暮れ始めた。なんと、今回のクラス対抗戦は日没までかと思いきやそんなことは無かった。周りが暗くなりつつあるが闘技場のまわりに設置してあった火法台が灯り始める。そう、夜まであるのだ。いわばこれは一種のお祭りみたいなものになったのだ。観客たちも食べ物を配ってる学生から食料を貰って席から離れずずっとこの試験試合を見ている。朝からいるというのにそのボルテージは下がることなく、むしろ上りっぱなしで大盛り上がりだ。そして、完全に暗闇になり灯法台だけが闘技場と観客席を照らす中、遂に最終戦の試合が始まろうとしていた。その試合の審判にライとグラウがつく。
「ちゃんと審判しろよ、ライ」
アベルトがライに軽く拳を打ち付ける。
「もちろんさぁ」
「あやしっつの!」
そう笑い合う二人。それとは逆にグラウ達の方はというと。
「お願いします」
「あぁ」
この10対10のフィナクラスのリーダーであるファルシスがグラウと向き合っていた。十二彗よりも少ないが学生にしては充分多いチーム戦だ。リーダーであるアベルトとファルシスの支持がどこまでみんなに届くのかがこの試合のポイントでもあるだろう。今回は数も多いため、審判は二人係である。
それぞれ、所定の位置につき挨拶する。
「俺はアベルト、アベルト・バーナード。よろしくな」
「俺はファルシス・フェレウスだ、よろしく」
リーダー格である二人が握手を交わしたのを見て他の奴らも目の前の相手と握手を交わす。
「んじゃま、それぞれ位置について〜」
「試合を始めるぞ」
それぞれのクラスがバラけるように位置につく。勝負は位置につく時から始まっていた。今回は位置指定がない。つまり、最初のスタート地点を決めれるのだ。まるでサッカーみたいに!
まずはアリシアクラスの配置と剣士達を簡単に紹介しながら説明しよう。
まず、指揮等を行うリーダーであるアベルトは一番後ろのポジションに。
その前方に二人、アベルトを守ると同時にそれぞれ支持を伝達、サポートする係だ。そのサポート役にはクラスの中でも一二を争う実力の強さを持つモルド・バロンことモルーと疾走の異名を持つエルリナ・スカンシュことエルちゃんが配置につく。
その三人の更に前では二人いて、最前線に四人がつくポジションだ。
モルーとエルちゃんたちの前にいる二人は比較的に魔法剣士に長けてるクラスメートだ。一人は唯一このクラスで二重に魔法を行使できるデュアルムのクラス最強の魔法剣士アグナス・ベルフォード。ちょっとツンツンしたところはあるがクラス思いのいいやつだ、キャラ的にはグラウと同じ感じだな。もう一人は守護の異名を持つ魔法剣士フィール・エレクト。基本無口で無愛想な女の子だが褒めると照れるので弄りがいのあるクラスメートだ。そして、最前線を務めてくれる四人。真ん中の二人が自称バカ特攻のある意味異名を持つリグザとハルトだ。そして外側の左右にいるのがサリアとナルハだ。バカ二人の保護的なアレである。
作戦的には最前線の四人が突撃し後ろの二人がカバー、更にその後ろにいたアベルトを守護するモルーとエルちゃんが最終的なカバーと作戦の指示をだすのだろう。完璧といえば完璧だ。
ちなみに気になるフィナクラスはというとアリシアクラスでも驚くフォーメーションだった。
なんと、最前線にファルシスがいるのだ。そのまわりには団子のようになってフィナクラスが纏まっている。
それぞれ準備が出来たのを見てライとグラウは顔を見合わせる。
「それじゃ」
「試合開始だ」
グラウが剣を引き抜きそれを合図に試合が始まる。最初に動いたのはフィナクラスだった。アリシアクラスのみんなは相手がどう出るのか見てから動くつもりだったらしい、が。それが最初の欠点だった。フィナクラスは始まると同時に散開し全員で前線を攻めてきた。それを見たアリシアクラスの前線四人組は即座に反応しリグザとハルトが突っ込んだ。サリアとナルハは左右から合流する。
「バカ二人の援護するよ!」
「りょうかい!」
「「うらぁぁぁ!!」」
十人に対して四人で突撃するバカの行動にフィナクラスも驚くのだった。しかし、ファルシスは冷静に指示を出していく。
「テナ、ミリル、ザック、連携して翻弄しろ!」
「「「了解!」」」
ファルシスに名前呼ばれたフィナクラスの三人が前進する。
「女だからって容赦はしないぜ!」
「本気で行くぜ!」
「もちろん手加減なしよ!」
テナが馬鹿二人を相手にするのだった。
「サポートはいかせんよ」
「手詰まりね?」
ザックとミリルがサリアとナルハの相手をするのだった。しかし、勝負はあっけなくつくのだった。
「ぐはぁ!」
「ぐへぇ!」
「バカ二人がやられたわ!」
「やられたわね!」
テナに呆気なくリグザとハルトがやられるのだった。倒したテナは不思議な顔をして棒立ちになっていた。ファルシスはさっきから驚きばなしである。サリア達もザック達相手に善戦するもすぐにファルシスたちの増援に倒れるのだった。
「後は任したわよ」
「早くバカ二人を救助しないと」
そんなバカどもにアベルトは答えるのだった。
「任された」
というか、自ら倒されに行った気がしなくなくなくもない。そんなバカ4人にアベルトは笑顔で返すのだった。
「さてと、お前ら本気で行くぞ」
「うむ」
「おっけ〜」
「…」
「やるか」
フィナクラスは誰ひとりとしてダウンしたものはおらずアリシアクラスの方がどう考えても数的に不利なこの状況。それなのに、アリシアクラスは余裕、というかこれからが本番だみたいな顔つきになる。ファルシスは殿に速さで翻弄するクレスト・ティファナと唯一それについて行けるリラ・べナスを行かせる。二人は集団から飛び出しアリシアクラスの陣営に突っ込ませる。ファルシスは彼らのスピードを知ってる為、仮に相手が五人全員にかかってこられても倒されない自信があった。しかし、それは容易く裏切られた。
「これは私の特許だね〜」
「やれるか?」
「伊達にみんなから異名を貰ってないよ」
「なら任せた」
「任されました♪」
エルちゃんがアベルトにそう言う。アベルトはリーダーとしてバカ4人は仕方ないといえばなかったとはいえみんなを信じてる。特に、エルちゃんの速さでは右に出る者はいない。エルちゃんは剣を構えて前線へと出るのだった。まさか後方から一人出るとは思わず少しだけ、加速した。
「援護いるか?」
エルちゃんがアグナスたちの横を通り過ぎる際、アグナスはエルちゃんにそう問いかけるのだった。その一瞬の出来事にも関わらずエルちゃんはきちっと答えるのだった。
「よろしく♪」
そのままクレストとリラへと突っ込む。そしてそのままエルちゃんはその二人の間を通り抜けるのだった。
「なっ!?」
「っ!?」
てっきり交戦すると思っていた相手に不意をつかれて二人共スピードを落とす。ファルシスはそのまま突き抜けてきたエルちゃんに驚き対応が遅れる。
「もらったぁ!」
「くっ!」
ファルシスはスピードに乗ったエルちゃんの速撃をなんとかすべて弾く。
「ほほぅ〜」
エルちゃんはそのままスピードにのりフィナクラスの輪を突き抜ける。
「くっ、後ろを取られたか」
「へっへぇーん」
不意に次ぐ不意でフィナクラスは一転、僅かにだが形成を逆転させる。
「クレストとリラはそのまま前衛の翻弄!ザック、ミリル、テラは後ろに回ったやつの相手をしろ!あとは俺に続け!」
「「「「了解」」」」
ファルシスはなんとかそう指示をだす。
「モルー、俺とやれるな?」
「任せな」
「フィール、みんなのサポートを頼む」
「…」
「アグナスは好きにしな」
「おう」
ファルシスの指示に対応してアベルトもそれぞれ指示をだす。
「よし、やるぞ」
「「おう!」」
「…ん」
ここからが本当の試合の始まりだった。
ギリギリセーフ!ということにしておこう!
ということで、いつも読んでくださってる皆様方、ありがとうございます!
いよいよ次はクラス対抗戦のラストスパート!そしてなによりもキャラを多く出しすぎてしまった気がする…。今章は新キャラ多すぎぃ!
キャラ設定に時間がかかる!
しかし、主人公のライとグラウの設定が段々確立していってるのだ!だからたのしみにしておくのだ!ということで我は今日はここら辺でさらばだ!人間ども!
ライ「いやぁ、今回の試合はほんとやばいよな」
ルナ「そうだよねぇ〜」
グラウ「そういえばだが、お前入ってなかったよな?」
ルナ「…うん」
ライ「あっははは!はぶかれてやんの!」
ルナ「ふ、ふふ、ふふふふ」
グラウ「なんだ?」
ライ「何お前ら、キャラ崩壊するの流行ってるの?」
ルナ「ふふ、ライは覚えておくことね…。ふふふ」
ライ「なんだ、ものすごい怖い」
グラウ「それは後後に、ということだな」
アリシア「PPAPってなに?」
ネア「…私に聞かれても、ね」
ティル「なんかの呪文かしら?」
リーナ「…ペンで、なにか、を、さす?」
アリシア「刺す!?」
ティル「言われてみればペンってことなのよね、最初の文字は」
リーナ「ん、これ、を…」
アリシア「刺すのか!?」
ネア「人を?」
アリシア「ふぇ!?」
ティル「違うと思うわよ」
ネア「こう?(グサッ」
リーナ「なに、刺したの?」
ネア「私の騎士」
魔女騎士・色欲「ぐぉぉぉ…」
ティル「ほんとに刺すなんて…」
アリシア「いぃやぁぁ!!」
リーナ「びっ、くり」
ちょっとした流行にのったアリシア達でした。
アベルト「次回」
ファルシス「滅茶苦茶なクラス対抗戦 フィナーレ」
エルちゃん「お楽しみに♪」




