滅茶苦茶なクラス対抗戦 その前日
キーンコーンカーンコーン、と最後の授業の終わりのチャイムが鳴った。ポル先はそのまま最後のSHRを終わらして急いで職員室に戻っていった。ポル先も明日の準備で忙しいのだろう。そう、明日はいよいよフィナクラスとの対抗戦なのだ。そして、放課後アリシアクラスはいつも通りに鍛錬に向かうのかと思いアリシアみんなの準備をするため訓練場に足を運ぼうとする。それをライが呼びか止める。
「アリシア、今日は鍛錬ないぞー」
「ふぇ?」
あまりのことにアリシアは足を止めて振り返る。振り返ればアリシアクラスの面々はにこにこしながら集まっていた。
「今日は鍛錬ないの?」
そんなアリシアの疑問にルナが答える。
「うーん、鍛錬はないんだけど他のことがあるかな?」
「他のこと?」
明日は対抗戦本番。そんな前日に鍛錬以外にもっと大事なことがあるのだろうか?とアリシアは不思議がる。それがそのまま表情に出ていて首をかしげてる女神様にみんなほっこりする。
「なんていうかな。アリシア、とりあえずうちのクラスは俺とルナ以外限界なんだ」
「限界?」
そんなライの言葉にルナとライ以外のクラスメイト達はふっ、と空気を変えた。みんな下に俯いていて一瞬で空気は変わった。
「え?え?」
アリシアは戸惑うばかりだった。さっきまで明るかったクラスが急に変わった様に暗くなったからだ。まだアリシアは知らないのだ。このクラスがどれだけ自由奔放なクラスかを。次の瞬間、人が変わったようにみんな暴れ出す。
「うらぁぁぁ!!今日は遊ぶぞーー!」
「「いぇぇーーーい!!」」
「遊び尽くせー!」
「「おおぉぉー!」」
「明日のことなんて知るかぁー!」
「「そうだぁー!」」
「勇敢なる剣士達よ!」
「いざ!」
「遊園地に」
「突撃ぃぃぃい!!」
「「「「うらぁぁぁぁぁ!!」」」」
さっきとは一変、遊びモードに入ったこのクラスを止められるものはポル先以外いないだろう。そのポル先は明日の準備でここにはいない。つまり、もう誰も彼らを止められないのだ。みんな叫び出すと同時に走り出す。というか、教室に出る際にちゃっかりとアリシアを誘拐する集団がいた。
「え!?ふぇぇ!?」
今のこのクラスには女神だろうが関係なかった。とりあえず、時間を共にした仲間という認識でアリシアクラスのメンバーはアリシア本人をそのまま連れ去るのだった。後に教室に残ったのはライとルナだけになった。
「あちゃー、やっぱ暴走しちゃったね」
「だな。でもまあ、よく頑張ったと思うぞ。この一週間であそこまで鍛錬をしたのはあいつら初めてだろうし」
「まだまだ、ね」
唐突にネアが割り込んできた。ネアは虚空から現れそのままライに抱きつく。そんなネアをライは優しく撫でる。
「ネアも付き合ってくれてありがとな」
「ん、驚いた」
「何に驚いたの?」
「人はあそこまで強くなれるの、ね」
「それが人だからな。というか、あいつらだからというのもあるかもな」
「それはいえてるかもね」
「??」
ライとルナのコメントにネアは頭の上に?マークを浮かべるのだった。
「とりあえず俺たちも行くか」
「そうだね」
「ん」
三人もクラスメイト達のあとを追うのだった。
「「ぎゃぁぁぁ!!」」
「「きゃぁぁぁ!!」」
ジェットコースターもといスカイコースターに乗ってるクラスメイトたちの悲鳴が聞こえる。ちなみにこの遊園地にいるのはアリシアクラスのメンバーだけである。貸し切り状態なのである。それはなぜか?簡単な話、アリシアがいるから。
最初、遊園地の入口ゲートで突っ立っていたお兄さんは驚愕した。約100人もの学生が全力で突っ込んできたから。
「くそ!阿呆共がやってきたぞ!!」
その言葉とともにゲート入口で警報がなった。ジリリリリリリという音ともに警備員が集まってくる。計15名の屈強な警備員が入口に固まる。誰ひとりとして入れさせまいと。
「「うぉぉぉぉぉお!!」」
そんな屈強な警備員に物怖じしないアホクラス、ではなくアリシアクラスの面々は突撃する。かと思いきや目の前でみんな止まる。止まる際に普通はぶつかったりするものなのだがそんなことが起きないのがこのクラス。目の前で止まられた警備員は皆一斉に不思議がる。そんな警備員にアホクラスは波を割るように左右に分かれる。するとそこには。
「!!」
警備員は皆瞬時に頭をたれた。そこには女神ことアリシアがいたから。未だにアリシアとしては困惑状態なのだが関係なかった。遊園地は即座に行動を移し現在に至るのだ。
クラスメイトたちはカオスの襲撃から復帰したこのテーマパークを余すことなく楽しむのだった。アリシアもアリシアでどうにでもなっちゃえー的なノリで遊園地を楽しむのだった。あとから合流した俺たちを待ってましたと言わんばかりに三人とも強制連行された。そこで初めてわかったのだ。ネアの弱点が。
まず最初に俺たちが連行されたのは絶叫系のなかで五本指に入るブーストスカイというスカイコースターやスカイワーチャーの強化版のジェットコースター。なぜ怖いのか、それは単純にして簡単。名前からしてスピードが早く距離が長い、その上この遊園地の中で一番空を飛ぶ乗り物だからだ。その高さ、およそ200メーター。たかすぎる。最初は何もわからなかったネアだが次第に早く高くなっていくにつれて涙目になっていった。隣に座っていた俺はそんなネアにびっくりするのだった。そして、最高峰から下る時。要は一番みんなが楽しみ怖がるところでネアは。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
可愛い悲鳴を上げていた。ただひたすらに。手も足も安全装置で拘束されてる為何も出来ずネアはひたすらに悲鳴上げていた。俺も俺で結構怖かったがネアの悲鳴のおかげで多少和らいだ。そして、ブーストスカイが終わる頃、ネアは目を回して気絶していた。そんな姿にみんな。やりすぎた、みたいな顔していた。俺はそんなネアを抱っこして介抱してやるのだった。少しして目が覚めたネアにみんな全力で謝っていた。なにせ、こんなにちっちゃく可愛いくてもネアは魔女だ。魔女の呪いを恐れた一部のクラスメイトたちは頭を下げてネアに謝った。そんなクラスメイト達にまだちょっと衰弱しているネアは許した。というか、こんなことでネアはクラスメイト達を呪ったりなんかしないだろう。しかし、それでも怖かったクラスメイトたちは許してくれたお礼にネアをいいところがあると連れていくのだった。アリシアもアリシアでクラスメイトたちと色々な乗り物を楽しんでいた。俺は少し疲れてベンチに座りそんなみんなの様子を微笑ましく見守るのだった。
「なんだか微笑ましいな」
「ね」
俺がつぶやくとそれに応えるやつがいた。いつの間にかルナが俺の座ってるベンチの後ろにたっていたのだ。
「いいのか?遊んでこなくて」
「私もちょっと疲れちゃった」
そう言ってルナはライの隣に座る。
「ライはさ、ネアちゃん恨んでたんだよね?」
「ド直球に言ってきたな。少しは前ぶりがあっても良くないすかね?」
「私、疑問に思ったことはすぐ口に出ちゃうんだよね」
「うそおっしゃい」
「まぁまぁ、それでどうなの?」
「そりゃあまぁ、恨んでるさ」
「いまも、なんだ」
「許せるはずがないだろ?」
「そう、だね」
「さっきから片言だけどしゃべれてます?」
「だ、大丈夫だよ!ちゃんと喋れてるよ!」
「ならよし。ネアは確かに許せないがな、それ以上に愛してやってんだよ」
「どうゆうこと?」
「結果的にはあいつの言葉通りになっちまってるんだがな。恨む以上にあいつを愛してやってる。憎しみが意味をなさいないまでに」
「…どゆこと?」
「お嬢さん?そこは理解してくれないと俺もちょっと恥ずかしいから困るんですけど?」
「あはは、滑稽だねライ」
「てぃや!」
俺は容赦なくチョップをルナの頭にかますのだった。
「あいた!?」
「もう言わん、話さん」
「まってまって悪かったから!ちゃんときくからぁ」
「初めから素直に聞いておけばよかったのよ、このおばかさん」
「なんでちょっとオネェっぽくなってるの?」
「気にしたら負け、ということでな」
「あ、さらっと戻した」
「要するに、憎しみ以上のものをネアに向けてるってことだ」
「憎しみ以上のもの…」
俺が真面目にそういうとルナは考え込む。
「なんだなんだ、グラウに続いて今度はルナか?」
「ふぇ!?今の私そんなふうに見える?」
「見えん、ただの綺麗なお嬢さんしか俺には見えてないよ」
「もぅ、ばか」
ふざけてライがそう返すとルナは照れてそっぽを向く。そんなルナの姿にちょっとドキッときたのは内緒だ。
「「あのリア充どもを捕らえろ!!」」
「「「「うらぁぁぁぁぁ!!」」」」
ライとルナの姿をちょっと離れたところで見ていたクラスメイトはルナが照れた瞬間、行動を即座に移した。
「なんだあいつら!?」
「なんで!?」
前から全力疾走で走ってくるクラスメイト達にライ達は驚きそのまま身動き取れずに捕まるのだった。そのまま日が暮れるまで連れ回されるのだった。
1日遅れてすまぬー!
ということで、お久しぶりだな!人間共!
今日は何も書くことがない!時間が無い!
ということでサラダバー!またな!人間共!
ルナ「次はいよいよ対抗戦!」
ライ「Congratulations!」
アリシア「次回」
ルナ「滅茶苦茶な対抗戦 本番」
ライ「次回もみてな!」




