グラウとフィナの過去
祝!10000PV突破!!
いつも読んでくださってる皆様方、本当にありがとうございます!
「早く帰るぞ、お前の国に」
「うん!」
まだ幼いフィナはこりゃまた幼いグラウの手をとって歩き出す。さっきまでフィナを狙っていたリガロウはこの周辺にはいない。それに、それから救ってくれたグラウにフィナは絶対の信頼と安心があった。二人はこうして自分たちの国へと歩を進める。フィナはグラウがいれば何も怖くなかった。何故ならいつもグラウはピンチの時は助けてくれたから。グラウはとても強いから。それともう一つ、大好きな人だから。彼のそばにいると安心する。この頃からフィナは自分の気持ちに気づいていたのだ。グラウが好きだという気持ちに。幼いながらもそれははっきりとしていた。ちなみにグラウはにぶちんなのでそんなフィナの気持ちに気づいてない。今回のこの騒動だって実はグラウの気を引きたくてフィナがやった悪戯なのだがグラウがそれに気づくことはないだろう。二人は並んで歩く。それはまるで仲のいい兄妹みたいに。そんな二人に絶望が舞い降りてきていた、それは空からこの地へ。
「グルァァァァアア!!」
「!?」
「ひゃ!?」
森を抜けたところに絶望はいた。そこにはまるで、グラウ達を待ち構えてたかのようにその場を立ち塞ぐものがいた。
「な、なんでこんなところに!」
「ど、ドラゴン?」
フィナは腰を抜かすもそいつの名を口にした。闇夜の月が照らしあげているのは黒く硬い鱗を全身に身にまとい、更には背中から四枚の翼を生やしたドラゴンだった。カオスネスドラゴン。それがこのドラゴンの名だった。ドラゴンとは魔物にも人間にも属さない種族で未だにその存在は解明されておらず未知数を秘めた存在でもある。それ故に人間の中ではレジェンドモンスターと属されている。その理由は二つ。一つ目はさっき話したとおりわからない存在故に。そして、二つ目はただ単純にその強さ故にだ。過去の記録に、女神が三人が力を合わせないと勝てない記録とされている。そして、現在確認されているドラゴンは七体。
焔龍
ボルカニクス
氷夜龍
リヴァイアサン
大樹龍
ユグドラシル
雷桜龍
シュガルゼクス
神聖竜
レイア
神闇竜
ヴリトラ
そして目の前にいる黒く禍々しく、そこにいるだけで恐怖を生み出す黒き龍
混沌龍
カオスネスドラゴン
なぜこのドラゴンだけそれぞれの総称である『ドラゴン』という名前が入っているのか、簡単な話。この龍こそがこの中で一番に厄災と呼べる存在だからだ。過去にカオスネスドラゴン、レイア、ヴリトラを除いたこの四体のドラゴンはそれぞれ聖地と呼べる場所で姿を現した。
焔龍であるボルカニクスは摂氏10000℃を超える炎が荒ぶる、全てが死滅する炎の海。死炎海と呼ばれる『ボルケファラナ』という場所に。
氷夜龍であるリヴァイアサンは満月の夜にしか姿を表さない湖。満月湖とよばれる『ムーンティーア』という場所に。
大樹龍であるユグドラシルはいくつもの神木が集う神山。そのまま神山と呼ばれる『ラタトクス』という場所に。
雷桜龍であるシュガルゼクスは雷で荒れ狂う中、たった一本だけしか生えていない大きな桜の木の下。天雷桜と呼ばれる『オウライ』という場所に。
それぞれほぼ同時にこの聖地に出現した。それも、決して普通の人が出入りすることは出来ない死地とも呼ばれる場所に。しかし、残りの三体であるレイア、ヴリトラ、カオスネスドラゴンは違った。レイアは魔女の国が密集する地帯に、ヴリトラは女神が密集する地帯に。レイアは聖を放ち、ヴリトラは闇を覆い現れた。それは一瞬の出来事であったが、人の目を惹き付けるには充分のものだった。
そして、最後にカオスネスドラゴン。この龍は六体の龍とは違い、少し遅れて出現した。しかしそれは、混沌の出現だった。最初にカオスネスドラゴンが出現した場所、そこは…。
「くそ!なんでこんなところに!そもそもこいつはあのフェデルカを襲った以来、姿を現したことは無かったはずだ!」
フェデルカ。そこはこの世界最高の中立都市というべき場所であった所。それはまだ、ほんのちょっと昔に女神と魔女と呼ばれる存在の他に勇者と呼ばれる第三勢力がいた場所。そして、そのもっと昔には第四勢力である魔王が治める国があった。女神と魔女が争っていたように勇者と魔王も争っていた。女神や魔女が複数いるのに対して魔王と勇者はただ一人だけだった。それ故に戦争の規模は小さい。否、そんなことはなかった。むしろ、女神と魔女が争うよりもそれは大きかった。
魔王の魔法が飛び通い勇者の剣が奮われる。
魔王の魔法は大地を焦がし、凍らせる。山は吹き飛び海が裂ける。天が割れ大地が揺れる。
勇者の剣はその大地を抉り、空を斬る。山を斬り捨て海を切断する。
その一つ一つの攻撃が世界を滅ぼすほどのものだった。
しかし、そんな戦争は長く続かなかった。勇者が魔王を封印し幕を閉じた。その時に第四勢力である魔王の国は壊滅した。そして、第三勢力である勇者の国、フェデルカは次に魔女と女神の争いを止めたとされている。
そして、今では伝説になってしまったが実在していた勇者の国フェデルカ。
それは女神と魔女の争いを止め、約三十年もの長い平和が訪れた後のことだった。一体の黒き龍がフェデルカを襲った。フェデルカは一夜にして跡形も無くその姿を大地から消した。その時に発見されたのが混沌の意味合いを持って名をつけれられた龍、カオスネスドラゴンだった。
そんな奴がいま、グラウとフィナの前にいるのだ。
グラウは即座にデュアリスエンブレー、プロミネンスとエターナルを抜刀する。そんなグラウをカオス(以下省略)はひと睨みする。その鋭い眼光に睨まれただけでグラウは怯む。それにつられてフィナはもう動けなくなってしまった。
「グァァァア!!」
カオスはまるで怒り狂うかのように暴れだす。グラウはなんとかフィナをお姫様だっこして攻撃をかいくぐるが何を思ったのか、それを見てより一層カオスが雄叫びを上げた。
「グルァァァァァアアア!!!」
その瞬間だった。グラウがつまづき決定的な隙をつくってしまった。カオスがそれを逃すことなくその驚異的な爪を振るう。グラウはなんとかフィナだけでも守ろうとフィナに覆い被さる。しかし、待っていた衝撃は来なかった。なぜなら、すんでのところで爪が止まっていたからだ。グラウをの一歩手前で。そして、カオスはそんなグラウをまじまじと睨む。蛇に睨まれたカエルのようにグラウは動けなくなる。しかし、フィナの行動で時が動いた。
「ぐらう!」
フィナが俺を突き飛ばした。グラウはそんな小さな力に押され、否、風に押されてその場から少しばかり吹き飛んだ。そして
「フィリルウィンド!」
風魔法の中でもずば抜けて貫通力の高い烈風魔法を放った。しかしそれは
「グルァァ」
全くもって効いた様子がない。むしろ、より一層怒らせただろう。カオスが今度はフィナに明確に敵意を持って振り下ろす。フィナはたじろぎ避けることが出来ない。グラウはなんとかフィナを守ろうと体を動かすが次の瞬間
「!?」
なにかに縛れるようにして、体が動かなくなった。そして、コンマ何秒という超スローモーションになった世界で見た。グラウの視線の先、フィナのいるもっと向こう側に
道化のような仮面を顔に貼り付けたような笑顔をした悪魔が
「はっ!」
気づけば時は動いていた。カオスの爪は容赦なくフィナの体に深い傷をつけた。
「ぁっ!」
かすかにフィナの声が掠れただけで、フィナは勢いのまま後ろに吹き飛ばされた。
「フィナ!!」
グラウは急いでフィナの元へ駆け寄った。それはもう今までにないぐらいの速さで駆け出していた。倒れていたフィナをグラウはそっと支える。切り裂かれたフィナの傷口は深く、血がとめどなく溢れ出す。普通の人ならその一撃で死んでいるレベルの傷だった。それでもかろうじて生きてるのは女神故の力なのか。
「フィナ、フィナ!」
「うぅ…」
その時だった。グラウの中で何かが弾けた。気づけば、グラウの双眼が蒼と朱に光り輝いていた。何かが覚醒したかのように。両手に持つデュアリスエンブレーは今のグラウでは到底出せないような魔力の光り方をしていた。そんな異常にカオスが目を見張る。それは、まるで懐かしいものを見たような目で。
「はっ!」
一瞬だった。その一瞬でカオスの頑丈な黒鱗に数十もの傷がついた。
「グァァァ!?」
流石に何が起きたのかカオスは把握しきれず戸惑う。しかし、そんなことでグラウの攻防は止まらない。氷と炎がまるでカオスの周りに纒わりつくようにして舞っていた。これはやばいと感じたのかカオスは無鉄砲にブレスを放つ。そのおかげでまとわりついていた氷と炎は消えた。撒き散らされたブレスの跡は死んでいた。ブレスが当たった場所は何かもが、細菌でさえも、焼いても冷却てしても死なないような存在までもが死滅していたのだ。その場所だけが完全に黒ずんでいた。それを危ないと判断したのかグラウが動きを止める。しかし、それが限界だったのか、グラウに宿る魔力の光は徐々に小さくなりやがて消える。しかし、グラウはデュアリスエンブレーを支えにしてかろうじて立っていたのだ。
「はぁ、はぁ…」
息が切れていて何もしゃべれないような、そんな状態なのにも関わらず。何故ならその後にフィナがいたから。だからこそ、ここで決して倒れるわけにはいかなかった。ただそれだけの意志がグラウをここに立たせていた。しかし、その意志もあともう少しで途切れそうとなった時、誰かの声が聞こえた。
「総員、女神様と執事を全力で守れ!俺が出る!アルガとレオは俺のサポートに回れ!」
「「「「了解」」」」
そんな声とともに体が宙を浮く。誰かに抱き抱えられたのだ。そんな掠れゆく意識の中で十二彗のレグナスとアルガがあのカオスと戦っているのが見えた。そして、その奥で、見た。リガロウを連れたあの、不気味な笑顔を貼り付けた道化のような悪魔が…。
「っ!?」
目が覚めた。そこは真っ白な部屋だった。周りを見渡しても白が一面に張り巡らされていた。そんな部屋だった。頭が朦朧とする。そんな中、光り輝く丸い物体が目の前に現れた。
「うお!?」
唐突に現れたためベッドから転げ落ちる。かと思いきや、落ちる前に体がふわりと浮いて着地した。白く光る球体はそんな俺をまじまじと見つめていた。
「ここは、どこなんだ?」
そんな球体に俺は質問した。ここは俺の知っている場所ではなかったから。一瞬、治療室かと思ったがそうではなかった。ここまで白い部屋なんてなかったはずだ。しかし、球体は何もしゃべらない。しかし、その体?を使って光の跡で文字を描いていた。その文字には。
『我が友、我が家族。私たちはずっとあなたを見守っている』
どうゆうことなのか、わけがわからなかった。しかし、そんな俺の疑問をよそに光の球体は消えた。と、同時に俺もまた闇の中へと意識が落ちた。
「はっ!」
再度、目が覚めるとそこには見覚えのある景色があった。独特の薬品の香りがする。そう、こここそが本物の治療室だった。外の景色を見てみると真っ暗だった。あれからまだそんなに時は経っていないのだろうか。急いで部屋を出る。 そして、そこにはレグナスがいた。俺は迷わずに問い詰めた。
「あれから、あれからどうなったんだ。フィナは無事なのか!?」
「おちつけ」
「ぐっ」
そんな慌てるグラウにレグナスは落ち着かせさせるためにきつく言った。そして、現状を語った。
「まず、あれからだが。既に一週間もの間、お前はずっと眠っていた」
「俺のことなんかどうでもいい!フィナはどうなったんだ!?」
「はぁ、少しは冷静になってくれると思った俺がまだ甘かったか。まぁいい、女神様はなんとか一命を取り留めた」
「…」
グラウはその言葉が聞けてほっとする。しかし、レグナスは後ろめたく次の言葉を語った。
「そして、お前には執事の剥奪命令が出されている」
「…」
それについてグラウは驚くこともなく冷静に受け止められていた。でもまたそれは、瓦解する。
「それで急遽代わりの執事がきた、そいつとは一度、試合をしてみたが俺よりも腕が立つ。安心してそいつに任せるといい。その間、お前はもっと鍛錬を励め。さすればまた女神様の執事になれるだろう」
「代わりの執事とは誰だ?」
グラウは何人かの十二彗の面子を思い浮かべるがそのどれもが違った。そいつを見た瞬間、背筋が震え上がった。なぜならそいつは。
「どぅもー。私が今日から君の代わりを務めることになったレベンでぇす。よろしく」
あの時の悪魔だったから。
ふはは!ということで皆のものよ!遂にこのシスコンラノベも10000PV突破したぞ!正直ここまで来るとは我もびっくりしたぞ。よほどシスコンの需要があると見えたぞ(^ω^)
とりあえず!読んでくださってる皆様方、本当にありがとうございます!※2回目
いやぁ、正直な話。プロットが出来てたのは1章までで2章目はノープロット・ノーライフで書いてたのだが…。まぁ、おかげでいろいろ滅茶苦茶になったがな。しかしそれこそがこのタイトルなのだよ!あ、そうそう、タイトルのことだけど唐突だが改変するぞ!正確にはするつもり、だ。2章が終わってからタイトルを変えようと思うぞ。今の二章があれだからいうが※主人公はライです。
グラウの方がいいと思った方は首長くして待つことだな!麒麟になる前には投稿するから!
ライ)「なんか、二章なのに俺の出番少なくないですかねー?(泣)」
リーナ)「おに、ちゃん。ちゃんとでてる。わたし、のほうが、すく、ない…」
とまぁ、いろいろキャラのご不満ありでしょうが二章は我慢!今回はグラウに譲ってやるのだな。
アリシア)「私の出番をもっと多くするのだ!」
あ、はい。
ということで!一つ忠告だ読者様よ!三章もノープロット・ノーライフ!どうなるか我でさえ考えてないからお覚悟しておくのだぞ!ちなみにあとがきは今度からこいつら(ライ達)にほぼほぼまかせるからな!出番がないキャラはここで挽回だな。
シェル)「あらあら、私たちの出番もあるのかしら~?」
ラン)「あるんじゃない?」
もちろんあるから心配するでないぞ!
ザルバ)「私の出番はあるかしらぁん?」
ない!
ということで!今後ともこのシスコンラノベ事、滅茶苦茶な日々!をどうぞよろしくお願いします!サラダ油ー!※要約 さらばだー!
人間共!




