滅茶苦茶なフィナとグラウの急展開!
グラウとフィナは今にも沈みそうな夕日を見続けていた。やがて、その夕焼けは姿を消した。辺り一面は暗闇に包まれる。
「グラウ…」
「なんだ?」
顔を伏せながら、フィナはグラウに問うた。心の奥底から絞り出すような声で。
「グラウは、私の専属執事?」
「…俺はもう、お前の専属執事じゃない」
そんな声音にグラウは目を背けそう答えた。しかし、次の瞬間。グラウはその選択を公開することになる。
「ぅ、ぅう、っ!」
フィナはベンチから立ち上がり後方へと走り去っていった。グラウはその姿を見ることなく目を瞑る。きつく瞑っていた目はライの言葉で開けざるえなかった。
「グラウ!」
そこには緊迫した声を上げる親友の声があった。グラウは何事かと思い目を開ける。そして、それはすぐにわかった。たった今、後ろに走り去っていったフィナは、異形に捕まっていた。グラウは十二彗の誰かがきっと見つけるだろうと思っていたがそれは間違いだった。そして、それは後悔となる。
「おまえは…」
「お久しぶりですね~グラウ君。そして、お初にお目にかかりまーす。私、レベンと申します。以後、お見知りおきぉ~」
異質という言葉が一番似合うであろう者がそこにいた。そいつの腕の中にはフィナが収まっていた。そして、フィナがこちらを向く。
「いや~、君がぁね。まさかここまで女神の心をズタボローに砕いてくれるとはおもわなかったよぉー?」
「なん、だと?」
そいつはより一層にやけ顔を深くさせ手をフィナの肩に乗せる。自然とその行為に怒りを覚える。が、フィナを見ると。
「おかげでやりやすかったんだよ~?女神を手中に収めるのは。感謝するーよー。そして用済みなぁ君にはここできえてもらぅとするよ」
「さ、やりなさい」と奇巧師レベンがそうフィナに囁きかける。フィナの、あの綺麗な翡翠色の瞳が黒く濁っていた。その瞳から光が消えていた。そして、フィナは操られるように、機械的に右腕を上げて
「神風よ、風の妨げになる者を切り刻んで。フェレルストーム」
そう、フィナがグラウに向けて神魔法を放った。しかも、手加減なしの最大級の神魔法で。完全に殺す気の一撃を。風が荒れ狂い徐々にその面積を絞っていく。その中にグラウはいた。
「フィナ!」
大声で叫ぶがその声は風に遮られる。風がそれを許さないように徐々にグラウの居場所をなくしていく。やがて、このままじゃフェレルストームによってモミクチャにされた挙句、際限なくその風に身体を切り刻まれるだろう。フェレルストームとはそういう魔法なのだ。一度発動して、敵がその中に入ってしまったら最後。決して逃れることはできない。無理やり出ようとして風に触れればその時点で風に切り刻まれる。グラウはすでにその中。つまり、このままでは死んでしまう。グラウは必死になんとかしようとするが何も出来ない。これはそういう魔法だから。
「我の守りに心を捧げよ!クラッツセイント!」
間一髪というところでフィナの神魔法が完成した。それはこの国名前の由来となっている魔法。鉄壁の魔法であり必ずその者を守り導く。アリシアの最大神魔法。あと一歩で風に触れるというところでグラウの周りに多大な障壁が張られた。それは竜巻と化していたフィナの魔法を打ち砕いた。風は収まりそこにはグラウが五体満足で生き残っていた。とてもじゃないが、さっきまでのフィナは絶対にグラウにあんなことしないだろう。ネアじゃあるまいし。あの男が何かしたのは確実だろう。しかし、ほんとにその男はライから見ても気味が悪かった。それほどまでにその男はおかしかった。
「フィナ!」
グラウが必死に叫ぶもフィナは一向に反応しない。それどころか次の魔法を唱えている。
「神風よ、我が敵を撃ち抜け。シュタイフェ・ブリーゼ」
そう何でもなくフィナは唱えた。そしてそれがなんだったのか、理解するのに時間がかかった。
「っ!」
アリシアが苦い顔をする。と、共に次の瞬間何かが爆発した。
ドゴォォォォォン!
盛大な爆発音がなるも、誰かが爆裂魔法の類を撃ったわけじゃない。しかも、その爆発音は連発してなりまくる。その度にアリシアが辛そうな顔をする。実質、何発か狙いを外したのか地面に当たる。そして、その地面がありえないほどの大きいクレーターを作っていた。周りにあったアトラクションも無残に粉々に破壊されていく。防戦一方なライ達にレベンは笑う。
「アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。なんて愉快、なんて素敵なんでしょカーねぇ。さすがは女神だ。魔王様のハーレムに相応しい」
「なん、だと?」
グラウがそれに反応する。
「さぁ、もうあなたの幕は降りたはずですよ~グラウ君。とっとと退場してもらえまーせんかーねぇ〜?なにせ、私の欲しいものは手に入ったのですから」
そうして、レベンはフィナにより一層密着する。フィナは嫌がることもせずただ右腕をグラウに向けたまま固まっている。
「て、めぇ…」
グラウは怒りでどうにかなりそうだった。それほどまでにこの現状を許せなかった。しかし、この現状を作ってしまったのは…。
「何を怒っているんですか~?この状況を作り出したーのは紛れもなくグラウ君じゃぁないでぇすかねぇ?」
その言葉に今まで湧いていたグラウの怒りが一瞬にしてなくなった。代わりに湧き上がったのは。
「な、に…」
グラウの足が自然と震え出す。
「だってぇ~そうじゃないですかぁ?なにせ、あなたは過去に一度この女神に同じようなことをしたじゃないですかぁ。あの時と何も変わりないですよぉ?そして、今回は二度目、一度目はあなたから女神を遠ざけただけで済まされましたが今回はもうそんなチャンスはなぁいてぇすよぉ。これで終わり。結局あなたに女神は守れなかったんですよぉ」
「お、俺が…、俺がフィナを…」
終とは唐突にやってくるもの。それはいまだったり3秒後にだってありえることで予測できないこと。グラウにはそれが今やってきたのだ。また、守れなかった。しかも、今回はこんなにあっさりと、簡単に、ただ自分がフィナに言ってしまった言葉だけで。その事実がグラウに突き刺さり。よろめく。今にも倒れそうな気分だった。生きた心地がしない。自分がフィナをあんな目にしてしまったのか。自分がこの状況を作り出してしまったのか。いろいろな恐怖と共に動けなくなる。そんな中、誰かが肩を叩いた。振り返るとそこにはライがいた。俺は今どんな顔をしているだろうか。それは簡単な答え。しかし、その答えは親友の口から聞いた。
「そんな絶望した顔をすんなって、グラウ」
「だ、だが、これは俺が招いた結果で…。俺は、俺はまた守れなかった!」
何故守れなかったと言い切ってしまうのか。それはレベンがフィナに仕掛けた魔法のことを言っているのだろう。グラウはその魔法を知っていた。だから、絶望した。
「吸収魔法、あれは、闇魔法の中でも強力な、命を奪う魔法だ。発動したら最後…もうとめられない」
( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
なんかもう滅茶苦茶になってる気がしてきた、。デジャブぅぅ!
ということで、昨日ぶりだな人間共!そして、読んでくださってる皆様方ありがとうございます!
いやぁ、もう、なんかサービスシーンとかなしにほんとに急展開だよまったく。けど!いままであんまり膨らまなかった妄想がここに来てどんどん膨らんできたから頑張って書くぞ!ということで今日ここまでだ!
さらばだ!人間共!




